第2回勉強会のご案内

★☆★IDDP2020/2021 第2回勉強会★☆★

テーマ:「卒業生が語る『わたしの大学院留学』 〜開発のキャリアを考える〜」

日時:2020年11月28日(土)10:00-12:00(英国時間), 19:00-21:00(日本時間)


会場:オンライン(Zoomを使用致します)

※参加人数に限りがありますので、お早めにお申し込み下さい。


講師:坂本 和樹さん、津村 優磨さん、本田 悠平さん 


講演概要:

昨年度「国際開発」に関する分野でイギリスの大学院に留学されその後活躍しておられる3人の卒業生をお呼びして、様々な開発分野でのキャリア形成を軸に、大学院留学生活そして現在将来のプランを語っていただきます。

「国際開発・国際協力」という分野でこれから留学を考えている方、現在留学中の方、ネットワーク形成したい方、仕事として関わっておられる方などに向けた講演となっております。

今回の勉強会はオンライン開催となりますので、イギリス・日本はもちろん、世界中からのご参加をお待ちしております。


講師紹介:

坂本 和樹さん(ビジネス×国際開発)

関西生まれ・育ち。小中高大と野球に励む。東京大学教養学部で国際関係論を専攻後、2012年に消費財メーカーP&G のマーケティング部門に入社。3 年間のシンガポール勤務を含め、洗剤・柔軟剤ブランドのマーケティング・P/L責任者を歴任。2019 年9月よりサセックス大学院開発学研究所 (IDS) のビジネスと開発コース(MA Globalisation, Business and Development)に進学。国際開発における産業政策やインフォーマル経済の雇用問題などを学ぶ。2020 年 7 月より国連WFP日本事務所において、政府連携担当コンサルタントとして勤務。日本政府からWFPへの拠出金を最大化するための政策議論や折衝をおこなう。


津村 優磨さん(都市・交通計画×国際開発)

関西生まれ・育ち。京都大学理学部で宇宙科学の道を志すも挫折、留年を経た後に修士課程から都市地域計画分野(工学研究科)に専攻を変更する。 長期休みにバックパッカーとして海外を放浪する中、ベトナムでのJICA インターンシップをきっかけに開発業界を知り、修了後に開発コンサルタント会社に入社。入社後、開発途上国の都市・交通計画にかかるプロジェクトに従事し、交通調査の計画・実施管理、交通データ解析・需要予測、現地での各種調整業務などを担当。2020年にUniversity College London 修士課程(MSc Transport and City Planning)を修了。


本田 悠平さん(公衆衛生×国際開発)

早稲田大学文学部で社会学を専攻後、機械メーカーで 2 年間ポンプの海外営業を担当。その後、NGO 駐在員として 3 年間スーダンで水衛生や緊急支援などの事業運営を担当。2019年9月、London School of Hygiene and Tropical Medicine の MSc Public Health for Development コースに進学。2020年10月よりUNICEFジンバブエ事務所で水衛生、COVID-19対策を担当中。


参加費:£0 *事前チケット購入必須* 


言語:日本語

※講演後の12:10(BST)/21:10(JST) より、同じくオンラインで懇親会を開催させて頂きます。講師の方や他参加者と交流する機会となりますので、奮ってご参加ください。懇親会参加人数を把握するため、お申し込み時に参加の可否を伺っておりますが、当日参加も可能です。 

事前にEventbriteサイト(https://www.eventbrite.com/e/iddp-2-tickets-128386546617 )よりお申し込みをお願いいたします。

 


★IDDP第2回勉強会レポート(後日更新)★


▼11月28日にIDDP第2回勉強会をzoomにて開催致しました。講師として、イギリスの大学院をご卒業され、現在様々な分野でご活躍されている坂本 和樹様、津村 優磨様、本田 悠平様をお招きし、大学院留学に至った経緯、大学院での学びや進学後のキャリアなどについてご講演をいただきました。

【本田 悠平様】

本田様は、早稲田大学文学部で社会学を専攻されたのち、機械メーカーで海外営業を担当され、NGO駐在員としてスーダンの水衛生事業や緊急支援事業に携わられました。昨年9月に、London School of Hygiene and Tropical Medicine (LSHTM) の修士課程 (MSc Public Health for Development) に進学されたのち、現在はユニセフのジンバブエ事務所で水衛生やCOVID-19対策を担当されています。

まず、ご自身が担当されている水衛生の仕事に興味を持つことになった経緯、大学院留学までの経緯についてお話しいただきました。大学在学中、日本や中国のハンセン病問題に取り組む学生NGOに所属され、ハンセン病の発症により生じた困難とともに生きるハンセン病患者・元患者と会い、病気などによる制限がなく生活できることは当たり前ではないと気づかれたそうです。そして、病歴や国籍に関係なく誰にとっても不可欠なものに携わりたいと考え、水に関する仕事を探されるようになったそうです。その後、機械メーカーでポンプの海外営業をご担当される中で、恵まれた地域や組織に利潤が行き渡っても、届くべき地域に届いていないのではないかと違和感を持たれるようになります。そこで転職し、NGOのスーダン駐在員として、2016年以来、水衛生に携わられるようになり、ご自身の仕事にやりがいを感じるようになったそうです。その後、人との出会いにより、修士ご進学を目指されるようになり、LSHTMの修士課程に進まれます。大学院での選択科目では、水衛生のほかに感染症疫学や栄養学などを選択され、それらの知識・研究をどのように実践に活かすかという内容も学ばれたそうです。修士論文では、保健医療施設の水衛生の定量分析について研究されたそうです。また、公衆衛生と社会科学の密接なつながりについてお話いただき、文系の学生が公衆衛生を専攻することは十分可能とのお考えを共有いただきました。

次に、イギリス留学のメリットや、修士課程での勉強のコツなどについて具体的なお話をいただきました。イギリスでの人との出会いやご友人との助け合いは何にも代えがたく貴重な経験であったそうです。また、初夏のロンドンの気候は最高だったとのことです。勉強のコツとしては、難解なリーディングは朝に読む、良いアカデミックペーパーの構成を真似て書いてみるなど、具体的なアドバイスもいただきました。

海外での職歴がない場合の海外キャリア展開として、海外インターン、JICAの青年海外協力隊、大使館職員などがあり得る、というお話をいただきました。また、大学院でこれから開発を学ぶための知識をつけるには、関心分野の文献を読むほか、実際に途上国での仕事を通じた実体験や、途上国で仕事をした人が書いた本を読んで追体験をするのが良いのではないかのことでした。

【津村 優磨様】

津村様は、京都大学理学部で宇宙科学、留年を経た後の修士課程では都市地域計画分野(工学研究科)を専攻されました。バックパッカーとして海外を旅される中で、ベトナムでのJICA インターンシップをきっかけに開発業界を知り、修了後に開発コンサルタント会社に入社されます。入社後、開発途上国の都市・交通計画にかかるプロジェクトに従事し、交通調査の計画・実施管理、交通データ解析・需要予測、現地での各種調整業務などを担当され、2020年にUniversity College London 修士課程(MSc Transport and City Planning)を修了し、現在は開発コンサルタントとしてご活躍されています。

まず、ご自身が開発コンサルタントに興味を持たれるようになった経緯についてお話しいただきました。修士1年生でJICAのインターンシップをご経験され、開発コンサルタントの方と一緒に働かれる中で、現地の肌感覚を大事にする働き方に魅了され、開発コンサルタントを目指されるようになったそうです。開発コンサルタントの仕事では、JICAや国際機関等から案件を受注し、現地プロジェクトを回しているとのことです。特徴として、専門性を持ち合わせ、日本を拠点にしながら、現場に寄り添った活動を展開している点が挙げられます。現職の開発コンサルタントには、イギリスの大学院を卒業された方や、JICAの青年海外協力隊を終えられた方も多いそうです。

さらに、ご自身のイギリス留学経験について詳しく語っていただきました。修士取得をイギリスに決めた理由としては、ロンドンは都市交通・都市計画発祥の地である点、University College Londonは途上国に関するモジュールが多い点、さらに1年で済む点などが挙げられるそうです。学習を効率的に進めるには、短期間の作業のメリハリを強くつけ、自分で優先順位をつけた上で課題やリーディングに取り組むことが重要だそうです。他にも、アカデミックライティングの作法は早いうちに身につけておくこと、エッセイはクリティカルに書くこと、さらに課題はその場しのぎではなくしっかりと時間をかけて取り組むことについてアドバイスいただきました。ご自身のご経験から日本とイギリスの大学院の比較し、両国の大学院事情についてお話しいただきました。例えば、日本では研究に学術的な新規性を求められる一方で、イギリスでは学生自身のオリジナリティが求められるそうです。

最後に、開発コンサルタントに求められる専門性や、コロナによる開発への影響等についてお話いただきました。専門性は3-5年といった短いスパンで醸成されるものではなく、現地のプロジェクトのサイクルの長さからも分かるように、長い時間をかけて培っていくものだそうです。コロナの影響で現地経験が積めなくなってきていることは若手には厳しく、また渡航の必要性が今後減少することで現地の「肌感覚」が希薄になり、結果としてプロジェクトが日本側主体の独りよがりな計画策定になりかねないと現在の状況に懸念を示されました。

【坂本 和樹様】

坂本様は、東京大学教養学部で国際関係論を専攻後、2012年に消費財メーカーP&G のマーケティング部門に入社され、3 年間のシンガポール勤務を含め、洗剤・柔軟剤ブランドのマーケティング・P/L責任者を歴任されます。2019 年9月よりサセックス大学院開発学研究所 (IDS) のビジネスと開発コース(MA Globalisation, Business and Development)に進学され、国際開発における産業政策やインフォーマル経済の雇用問題などを学ばれました。2020 年 7 月より国連WFP日本事務所において、政府連携担当コンサルタントとして勤務し、日本政府からWFPへの拠出金を最大化するための政策議論や折衝をご担当されています。2021年3月よりJICAインドネシア事務所民間連携を担当される予定です。

まず、これまでのご経験、開発の道を志すようになった経緯などについてお話しいただきました。大学4年生でフィリピンのスラムを目の当たりにし、途上国への貢献として民間企業が貢献できると考え、入社された民間企業ではマーケティングを主に担当され、シンガポール駐在もご経験されます。しかし、利益追求と社会性のジレンマに悩まされ、日々わだかまりを感じながら仕事をされている中で、開発分野に強いイギリスサセックスへのご進学を次第に意識するようになったそうです。

次に、大学院留学中に実践されていた効率的な学習方法やキャリア形成について共有いただきました。学習のコツとして、リーディングでは、キーワードをしっかり日本語で理解してから、5S (Searching,Skimming, Scanning, Sharing, Summarising)を意識して読んでいたそうです。ディスカッションでは、事前に授業で扱う内容を教授に確認し、意見をまとめておくのが効果的だとのことです。ライティングでは、書き始める前に構成を練り、その分野で権威のある教授をマッピングした上で、自分の立ち位置について考えることが有用だそうです。キャリアに関しては、2月頃に業界研究を始められ、3-4月頃に応募、そして5月に面接というスケジュールだったそうです。具体的には、LinkedInを活用して興味のある分野で活躍されている方に連絡をとり、業界を細分化し研究をすることが重要とのことです。

最後に、現在ご担当されている国連WFP日本事務所での仕事全般についてお話しいただきました。WFPは、人道の分野でZero Hunger達成のために働く巨大な組織でミッションが非常に明確なため、モチベーションが下がりにくいそうです。マイナスをゼロにする人道支援と、ゼロをプラスにする開発支援とが互いにシンクロすることで良い価値を生み出せるのではないかとのことです。現在の職務は、民間とは異なりオペレーションが既に出来上がっているため自分の色を出しにくい面があるそうですが、自分だからこそ出せるユニークな価値とは何か、日々模索されているそうです。