この文章は2005年に書いた「コムネットQだんべえ屋本舗企画 だんべえ神社『おだんべ様』」からの抜粋です
まず御神体…名前は東北や北海道で「だんべ」というと隠語になるというのを承知の上で、ちょっとコミカルな感じがする「おだんべ様」に決定。しかし形をそういったモノにしてしまうとしゃれにならないので・・・オオイチョウ(だんべえ踊りに使うイチョウの葉型の鳴子)にしよう!ということになりました。
次に、神社にはたいてい由来というものがあって「賢者が剣を刺した地面から泉がわいた」とか「何かを奉納したら云々」といった逸話があるようです。そこで我々が開帳する「だんべえ神社」にもなにか由来めいたストーリーを考えることにしました。…とにかく御神体にオオイチョウを飾ることになるようなストーリーにしないと…前橋の昔話を読んで参考にすることに…名城といわれた厩橋城が利根川の氾濫によって天守閣が流されたこと、江戸末期から領主がいなかったこと、明治の廃藩置県の際に前橋市民の富裕層が画策し前橋に県庁を誘致した際に市民総出で高崎からの引越しを手伝ったということなどを元に、また、コムネットQの目的である「まちづくり」推進の精神にもふれ、後に記載する子供向け「だんべえ昔話」を作りました。(ウソ八百の話とは言うものの史実とかぶっている部分が多いのです)
また「おだんべ様の招福札」という木札の袋にストーリーを書くことになりましたが、説明文としては長すぎましたので大人向けにストーリーを要約し「おだんべ様とは」といった文章を作りました。
おだんべ様とは
前橋は昔、城下町として繁栄していました。厩橋城は「関東の華」と呼ばれた名城です。しかし、江戸時代の後期、利根川の氾濫によって天守閣を流されてしまい、以来長い間領主はよそに移り住んでしまいました。そして前橋の町は寂しくなってしまいました。さらに干ばつによる飢饉も発生し人々は身も心も荒廃しきっていました。
そんなあるとき見慣れぬ一人の旅人が町に現れます。自分の食べものさえままならない町人に旅人は歓迎されませんでした。そんな中一人の心やさしい娘が旅人をもてなしました。旅人はもてなしの礼に一組の銀杏の葉の形をした鳴子を娘に渡し去っていきました。
娘は旅人が残した鳴子を鳴らしてみました。するとなんだか楽しい気分になりました。それを見ていた町の人も思わず笑顔になりました。やがてそれは「そうだんべぇ」という大きな掛け声となり踊りとなって町中お祭り騒ぎとなりました。そしてそのとき町人達は気づいたのです。町が寂れて以来、笑顔を忘れていたことを…
それをきっかけに町人達は一念発起しました。自分達で城を建て直し、領主様を呼び戻し、またあの賑わいを取り戻そうと…そしてやがて城は見事に再建され、領主様も戻り、前橋は再び賑わいを取り戻しました。
たった一組の鳴子が町を建て直したのです。おだんべ様はそんな鳴子に感謝する気持ちとまちづくりの象徴としてここに奉られています
(この物語はフィクションです。あしからず!)