だんべえ踊り誕生
高知の「よさこい」は昔から高知にある「よさこい節」をアレンジした曲で鳴子を鳴らして踊ります。札幌の「ソーランよさこい」は北海道の「ソーラン節」をアレンジした曲で鳴子を鳴らして踊ります。そこでプロジェクトチームでは昭和30年代に作られて市内の盆踊りなどで踊られていた「前橋音頭」をアレンジした曲で鳴子を鳴らす踊りを「だんべえ踊り」と命名し、前橋市の木であるイチョウの葉をかたどったオオイチョウという鳴子を考案し、これを振って踊る踊りを前橋まつりの核とするというコンセプトを作りました。また「よさこい」のようにコンテスト方式を取り入れることも検討されました。しかし当時、自分たちで曲作りをして振り付けも考え音響車まで仕立てないと参加できないという方式を前橋で取った場合 、参加できる団体は数が限られてしまい、市民総参加のお祭である前橋まつりの活性化策としては不向きであるとの判断をし、 当初は見本の音楽と振り付けをつくり、将来的によさこい方式へ移行することとしてスタートをきりました。
だんべえ踊りの特徴
スタートの時点で前橋の「だんべえ踊り」は全国あちこちで行われるようになったほかの「よさこい」と明らかに違う特色を持つことになりました。ひとつは参加者全員が同じ音楽で踊るということ、見本の振り付けがあるということ、名称に「よさこい」という呼び方が入らないこと、それと独自の鳴子を開発したということです。
当初は「将来的によさこい方式へ移行すること」となっていましたが、移行の時期を逸してしまい、その間にこの独自の特徴が定着しました。
最近は独自の振り付けを自前で考案して踊る団体が多くなってきましたが、会場に主催者が大音量で一つの音楽を流して参加者全員で踊るという、いわば盆踊り形式は、他の土地で行われている「◎◎よさこい」にはない独特のものです。
また、「◎◎よさこい」のほとんどは、高知のよさこいで使われている長方形の鳴子を使用していますが、前橋は市の木の一つである銀杏の葉をかたどった独自の鳴子を使用します。(ちなみに高崎の「雷舞」ではだるまの形の鳴子が使われています。)
だんべえ踊りの曲と振り付け
見本の曲は有名なミュージシャンのアレンジを手がけていた土師一雄氏に依頼して作りました。
テンポ120という躍動感のあるリズムでできていて、間奏部分に世界のいろいろなリズムが取り入れてあるために踊り手が飽きないようにできています。
見本の振り付けは、あえて地元既存の団体とあまり関わりのない人に依頼することにしたようで、当時ちょうど新聞などに取り上げられていた前橋出身のダンサー Uさん(ご本人の希望によりお名前を伏せています)に依頼して見本の振り付けを作りました。
リズミカルでバリエーションに富んでいるわりには負担の少ない振り付けになっているため、一見むずかしそうですが、練習をすれば誰にでもできるため、 一体感や達成感があります。この見本の曲とUさんの作った振り付けの完成度の高さが後のだんべえ踊りの発展に大きく影響をすることとなります。
・・・「3:始動…コミュニケーションツール」に続く