８：おまけ２　イタリア紀行

前橋市の友好都市であるイタリアのウンブリア州オリビエート市は長靴型のこの国のちょうど真ん中あたりにあって、海なし県の前橋市と立地が良く似ている。イタリアの古都の一つであり、日本でいうと京都みたいな街だ。上記の説明にある大訪問団が訪問した翌年の2002年、だんべえ星人はよく一緒にだんべえ踊りのインストラクトをしていた２人の女性と３人で前橋市長（当時は萩原弥惣治氏だった）の親書を携え、だんべえ踊り協会オリビエート支部を結成すべくオリビエート市役所を訪問した。

イタリア人はそうとうアバウトな国民性と聞いてはいたが…前橋市役所から何度も打ち合わせの連絡を取っていたにも関わらず親書を受け取るはずの市長は不在。支部会員になってくださる方たちが集まってだんべえ踊りの講習会を開くことになっていたのに会場が決まっていなかったり、急きょ決まった会場に時間になっても人が集まらなかったり…会場がエアコンがなくて蒸し風呂状態だったり…やれやれ

言葉はまるで通じない、通訳の人はいるけれどだんべえ踊りのことはまるでわかってない。でもボディーランゲージならまかせろ！とばかりに教えてもらったイタリア語の「１・２・３・４」「ウノ・ドゥエ・トゥレ・クワットロ」だけを頼りに汗だくで必死の踊り講習。「そんな難しいのはできないわ」みたいな表情を浮かべるイタリア人オバサンたちを表情とジェスチャーだけで笑わせてどうにか一応踊れるくらいには・・・

きっと翌日には「なんか昨日おもしろい東洋人がきて一緒に運動したのよ」くらいなものだったのだろうけど、イタリア人にだんべえ踊りを踊らせたことは間違いない

予定を終えてオリビエートの街を歩いていたら「前橋中心商店街でのイタリアンフェア」のときに前橋にやってきたイタリア人の一人とバッタリ出会った。「オー！イートー！」と、私の名前を大声で叫びながらマフィアの中堅幹部みたいな中年の禿親父が駆け寄ってきて私に飛びつくように抱きついた。禿同士が街角で抱き合っている図はたぶんあまり美しくはなかったろうが、とてもうれしかった。彼の前橋滞在中に私は御接待役を仰せつかり毎晩のように一緒に飲み歩いたのでよく覚えてくれていたようだ。興奮気味にイタリア語で早口にまくしたてられ何がなんだかさっぱりわからなかったが、「一宿一飯の恩義」みたいな感覚は世界共通らしく彼は私たちを食事に招待してくれた。

イタリアについて勘違いしていたことがいくつかある

前橋あたりではイタリアンレストランというとピザがつきものだが、オリビエート滞在中にお世話になったレストランにはピザはなかった。地方によって違いがあるのだろうが、ピザはピザ屋さんに行かないと食べられない。ピザは日本でいうお好み焼きみたいな存在らしい。日本料理屋で刺身や天ぷらは出て来るが一緒にお好み焼きは出てこない。でも日本のイタリアンレストランはそれをやっちゃってるってことだ。

それとデミタスカップにほんの一口ほど注がれて出されるエスプレッソコーヒーは、スティックシュガーを2，3本入れて（激甘！）ガチャガチャかき混ぜて一気に飲む。バールに入ってきた屈強そうな男たちも激甘で飲んでいた

またカプチーノは午後飲まない。作ってくれる店もあるけど、たいてい午後になって注文しているのは外国人、イタリア人は朝食か午前中しか飲まない。

それと当り前ながらタバスコはどこの店にもなかった。「あれはメキシコの調味料だ」といわれ、料理と一緒にタバスコを出すことを日本風と呼ぶというジョークがあるくらいだ。もちろんピザ屋さんにもタバスコはない。辛味には唐辛子を漬けてあるオリーブオイルを使う。ピザにタバスコをかけるのはアメリカから入ってきた習慣なのだろう。ピザも日本やアメリカの宅配ピザみたいにいろいろゴチャゴチャのってる奴は見かけなかった。