About ECSRA

若き研究者との協調

身体性に基づくロボットの知能に関する研究は身体や環境の理解、運動の獲得、認知発達など多岐にわたり、研究者の層も薄く、発展途上と言えます。そのため、統一的方法論が確立されていないため、各研究者が個別のアプローチをとっているのが現状です。

次世代を担う研究者となるべき学生の研鑽も、個別の研究室に閉じることなく、様々なバックグラウンドを持った学生が自発的に集い、密に意見交換し議論する中で自律的に行うことが重要です。これにより、未知の領域を開拓できる独創性を備えた研究者が育つことを期待しています。

そこで、このような学生同士が集い、議論し合う場を設けることが本会の目的です。この研究会を通して、身体性認知科学という挑戦的な分野において新たな研究や知見が得られることを私たちは期待しています。

身体から創発される知能を探る

自然界には多様な生命が存在し、それらは多様な身体とそれに伴う運動と知能を持っています。粘菌やアメーバは柔軟な身体と原型質量保存則を活用することで神経系を持たずとも変化する環境に適応することが可能です。また、脊椎動物は筋骨格系を持っていて、その構造や弾性によるエネルギーの蓄積・放出という機能がダイナミックな運動を実現しています。さらに、人は複雑な身体を活用するために、環境とのインタラクションを通じて脳を学習・発達させるメカニズムを持っています。本会では、このような身体性を通して獲得される運動と知能の原理を追求しています。また、これらは実世界で活動するロボットにとって必要不可欠であると考えています。そこで、多様な生命が実現している身体・環境・制御の相互作用を活用することで、私たちは知的なロボットシステムの実現を目指しています。身体性とそれに基づく実世界応用による応用例を下の図に示し、詳しく説明します。

運動獲得

生命はその身体構造を巧みに利用することで、実世界で多様な運動を創発し、実現しています。特にダイナミックな運動においてはそれがよく見られます。そこで私たちはどのような身体と制御系を構成することで多様な運動を実現できるかを研究しています。

認知発達

人の赤ちゃんはその身体をもって周囲に働きかけることによって知能を発達させていきます。これによって運動の多様性とタスクや環境への頑健性を得ることができます。私たちはこの巧みな人の認知発達のメカニズムを探求し、如何にしてロボットシステムへ応用するのかを研究しています。

環境への適応

「運動獲得」と「認知発達」で、環境への適応性実現について説明しましたが、これらは環境への適応性における方法論であって、その本質が何であるのかを議論していません。私たちは様々な方法によってロボットが環境に適応する過程を議論することで、知能の本質に迫りたいと考えています。

身体の理解

これまでに身体を活用することで運動や知能の獲得について説明してきましたが、まだまだ生命の身体利用には解明されていない部分が多いです。そこで運動や知能を獲得するためにどのような身体が適しているのか、また人のような複雑な身体が巧みな運動を実現している本質とは何なのか、私たちはこれらの問題に挑みたいと考えています。