2021年度 東北大学幾何セミナー

セミナー情報

次回の予定

本年度の幾何セミナーは終了致しました。ご講演並びにご参加頂いた皆様、ありがとうございました。

後期セミナー予定

10月5日(火) 15:00--16:30

講演者:Chris Bourne 氏(東北大学AIMR)

タイトル:Index theory, coarse geometry and locally equivalent ground states 

形式:Zoomを用いたオンラインセミナー

概要:The Fredholm index is an analytic quantity that often encodes spectral and geometric information of elliptic operators on compact manifolds. Coarse geometry and the coarse index provide a way to extend some of these properties to non-compact spaces. In this talk, I will review these concepts and describe how coarse geometry methods can be used to give topological information for a special class of fermionic ground states. I will try and do this without assuming any prior knowledge of physics. 

10月12日(火) 15:00--17:10(終了時刻が異なります)

形式:Zoomを用いたオンラインセミナー

講演者:Sonia Mahmoudi 氏東北大学)

タイトル:Classification of Combinatorial Weaving Diagrams

概要:A weaving diagram is a two-periodic four-regular graph embedded in the Euclidean plane, representing a three-dimensional entangled network called "weave". As in knot theory, a crossing information is given at each vertex of the graph indicating which arc is over or under the other one. In this talk, we will give a methodology to construct such objects, using combinatorial arguments, as well as a way to classify them according to their number of crossing, and finally define their equivalence classes. 


講演者:Serban Matei Mihalache 氏(東北大学)

タイトル:Invariants of framed 3-manifolds from Hopf algebra 

概要:本講演では, 有限次元Hopf代数を用いてフレーミング付きの閉3次元多様体の不変量を構成する方法について述べる. これは, 1. フレーミング付き3次元多様体を分岐スパイン(付加構造が入った理想3角形分割)で組み合わせ的に表示し, 2. Hopf代数から構成される5角関係式の解を付加構造の入ったスパインの頂点(理想3角形分割の4面体)に対応させ 3. この対応から得られるスカラーがスパインの取り方によらないことを示して構成される. 

10月19日(火) 15:00--17:10(終了時刻が異なります)

形式:Zoomを用いたオンラインセミナー

講演者:浅野 喜敬 氏(東北大学)

タイトル:Right-left equivalent maps of simplified (2, 0)-trisections with different configurations of vanishing cycles 

概要:Trisection は4次元多様体から平面へのある安定写像として Gay-Kirby により導入された.Baykur-Saeki は特異値が自己交伹を持たないクラスとして,単純な trisection を導入した.講演者は,単純な (2, 0)-trisection の右左同値類に着目し,平面上の reference path の取り換えによる単純な trisection 図式の変化の様子について調べ,右左同値であるが,曲面の同相写像と upper-triangular ハンドルスライドの有限個の列で移り合わない単純な trisection 図式を持つ単純な (2, 0)-trisection が存在することを示した.講演では,得られた結果について紹介する.


講演者:小林 愼一郎 氏(東北大学)

タイトル:グラフラプラシアンの固有値に対する普遍不等式 

概要:ラプラシアンのスペクトラムは空間の幾何学的性質を反映する重要な不変量である。どのような数列がスペクトラムとして現れ得るか、という問題は興味深い問いである。Payne--Pólya--Weinberger(1956)は、Euclid空間内の有界領域におけるDirichletラプラシアンのスペクトラムに対する普遍不等式を見出した。その後、様々な方向性で一般化・精密化されている。本講演では、考察の対象を離散的な空間、すなわちグラフに置き換えた場合のラプラシアンのスペクトラムに対する普遍不等式とその周辺を紹介したい。 

11月2日(火) 15:00--16:30

講演者:久野 恵理香 氏(大阪大学大学院理学研究科数学専攻)

タイトル: 向き付け不可能曲面の非分離曲線グラフのグロモフ双曲性 

形式:Zoomを用いたオンラインセミナー

概要:曲面の写像類群と相性の良い複体として,曲面に関連した曲線グラフがある.曲線グラフのフル部分グラフで非分離な曲線全体からなるものを非分離曲線グラフと呼ぶ.また,幾何学的群論において重要な概念の一つにグロモフ双曲性がある.向き付け可能曲面に対して,1999年にMasur--Minskyにより,初めてその曲線グラフがグロモフ双曲的であることが解決されて以降,曲線グラフのグロモフ双曲性に関するさまざまな研究が進展している.2020年にRasmussenが,向き付け可能曲面の非分離曲線グラフは一様グロモフ双曲的であることを証明した.2021年に講演者により,向き付け不可能曲面の非分離曲線グラフが一様グロモフ双曲的であることがわかったので,その結果を紹介する.

11月9日(火) 15:00--16:30

講演者:笹谷 晃平  氏(京都大学数理解析研究所

タイトル:  距離空間における Ahlfors regular conformal 次元とスペクトル次元の関係について 

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

概要:距離空間の間の quasisymmetry とは任意の3点の間の距離を緩やかに保つような同相写像を表し, Ahlfors regular conformal 次元 (以下, ARC次元) とは (概ね, Hausdorff 次元の意味で) quasisymmetry によってどれだけ空間を簡単にできるかを表す量である. 木上(2020)は, cpt. 距離空間に段階的な分割構造が適切に入っているとき, その分割構造から定まるグラフのポテンシャルに対する変分問題を用いて, ARC次元に解析的な特徴づけを与えた. 本講演ではこの結果及び関連する講演者の研究について, 特に空間の上に定義された熱核の漸近挙動を表すスペクトル次元との関連等について述べる. 

11月16日(火) 15:00--16:00

形式:Zoomを用いたオンラインセミナー

講演者:古賀 勇 氏(明治大学)

タイトル:複素グラスマン多様体への同変調和写像について 

概要:講演者は複素グラスマン多様体への調和写像の構成・分類問題について興味を持っている.2次元球面から複素射影空間への定曲率調和写像は坂東 - 大仁田やBorton-Jensen-Rigoli-Woodwardによって解決されているが,定曲率調和写像であればSU(2)同変であることまで従うところは興味深い.ターゲットを複素グラスマン多様体にするとそうはいかず,定曲率調和写像の分類は今も重要な問題として残っている.本講演では2次元球面から複素グラスマン多様体へのSU(2)同変な調和写像の問題について最近の進展を紹介する.本講演の内容は明治大学の長友康行氏との共同研究である.


講演者:小野 公亮 氏(東北大学)  キャンセルとなりました

タイトル:TBA

概要:TBA

11月30日(火) 15:00-- 修士論文中間発表会

形式:Zoomを用いたオンラインセミナー

12月7日(火) 15:00--16:30

講演者: 辻 寛 氏(大阪大学大学院理学研究科

タイトル: Dilation不等式とその関連する関数不等式について 

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

概要:dilation不等式はBorell’s lemmaとも呼ばれており,高次元凸幾何学においてよく知られている不等式である.この不等式は,ユークリッド空間上のlog-concave確率測度で測った原点対称な凸体の体積とそのdilationの体積との関係を表しており,dilation不等式の最良な形はBobkov-Nazarov(‘08), Fradelizi(‘09)によって独立に構成されている.また非負リッチ曲率を備えたリーマン多様体上ではKlartag(’17)によって言及されている.本講演の前半ではdilation不等式を一種の等周不等式とみなしたうえでdilation profileという新たな概念を導入し,リッチ曲率の任意定数の制限の下,重みつきリーマン多様体上でのdilation不等式の構成を行う.また時間があれば講演の後半では,dilation不等式の新たな応用として,相対エントロピーを伴った不等式が現れることを紹介したい. 

12月14日(火) 15:00--16:30

講演者: 赤間 陽二  氏(東北大学

タイトル: Graphs on surfaces with positive Forman curvature or corner curvature and spherical tilings

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

概要:On one hand, we study the class of graphs on surfaces, satisfying tessellation properties, with positive Forman curvature on each edge. Via medial graphs, we provide a new proof for the finiteness of the class, and give a complete classification. On the other hand, we classify the class of graphs on surfaces with positive corner curvature. This is a joint work with Bobo Hua,  Yanhui Su,  and Haohang Zhang. If  time permit, as another topic, we present a classification result of spherical tiling by 12 congruent pentagons,  by using a version of Cauchy's arm lemma.  This is a joint work with Min Yan.

12月28日(火) 15:00--17:10(終了時刻が異なります)

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

講演者: 青木 駿平 氏(東北大学)

タイトル: p-調和関数列の収束と関数空間列の同値性について 

概要:測度距離空間において領域上でp-調和な関数はディリクレ境界条件を定める毎に一意に定まる.本講演では, 講演者によって得られた,領域が変動しているp-調和関数列の収束と領域から定まる関数空間列のMosco収束が同値になるという結果を紹介する. これはBjorn-Bjornの結果の一般化を与える.またMosco収束する場合の領域挙動を容量の観点からも考察する. 


講演者:黄 章開 氏(東北大学)

タイトル:リッチ曲率が下に有界な空間の熱核による特徴つけ

概要:リッチ曲率が下に有界な空間上の熱核はその空間から空間への写像を自然に引き起こす。したがって、空間の平坦計量からの引き戻し計量ができる。この計量の無限小時間の振る舞いは、近年リッチ曲率が下に有界な空間の理論で多く使われいる。この講演では、その引き戻し計量がもとの計量の定数倍になるような空間について考察する。その応用として、あるトポロジー有限性定理を与えることができる。

1月4日(火) 15:00--16:30

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

講演者: 狩野隼輔  氏(東北大学 RaCMAS

タイトル: Pseudo-Anosov properties in cluster algebras

概要:For a mapping class on a punctured surface, we prove that the kind of pseudo-Anosov property is equivalent to the combinatorial property of tropical cluster transformations. In particular, we conclude that the algebraic entropies of the cluster A- and X-transformations and the categorical entropies of the autoequivalences of some triangulated categories induced by the mutation loop given by a pseudo-Anosov mapping class both coincide with its topological entropy.

111日(火) 15:00--16:30

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

講演者: 木村直記  氏(早稲田大学

タイトル: Poisson多様体,Jacobi多様体とRiemann計量

概要:Poisson多様体はシンプレクティック多様体の一般化である. Jacobi多様体は,Poisson多様体と接触多様体の両方の一般化である. Boucettaは,Poisson多様体の余接束の接続を用いて,Poisson構造と擬Riemann計量の整合性の概念を導入した. この概念はKähler構造の一般化になっている. 本講演では,この概念を更に一般化し,Jacobi構造と擬Riemann計量の整合性を定義する. この定義における計量との整合性は,Jacobi多様体のPoisson化に対して良い振る舞いを示す. その特別な場合として,接触計量構造が整合的ならば佐々木構造になることも紹介する. 本講演では前提知識を仮定せず,Poisson幾何の初歩から説明する. 本研究は中村友哉氏(工学院大学)との共同研究である.

1月18日(火) 15:00--16:30    キャンセルとなりました

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

講演者: 新川恵理子   氏(東北大学

タイトル: TBA

概要:TBA

1月25日(火) 15:00-- 修論発表予行演習

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

28日(火) 15:00--16:00 

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

講演者:中安淳 氏(京都大学) 

タイトル: Homogenization of Hamilton-Jacobi equations on the Sierpinski gasket 

概要:本講演では典型的なフラクタルであるシェルピンスキー・ギャスケット上でその自己相似性に基づいて構成される振動発散するハミルトニアンの列に対して,ハミルトン・ヤコビ方程式の初期値問題の解の列の収束について考える.これは Lions-Papanicolaou-Varadhan の周期設定でのハミルトン・ヤコビ方程式の均質化から着想を得た,フラクタル上の均質化と呼ぶべき問題である.フラクタルで考えるにあたっては解の枠組みとして Gangbo-Swiech の距離粘性解を採用する.また実効ハミルトニアンひいては極限方程式がどうなるかが問題だが,周期設定で知られていた min-max 公式と呼ばれる下限上限型公式に基づくことで,この問題に解決の筋道をつけた.本講演ではフラクタル上の均質化の最初の部分的な結果として,初期ハミルトニアンの連続性,強圧性,準凸性の仮定の下で距離粘性解の下半極限が極限方程式の距離粘性優解になることを示す. 

215日(火) 15:00--16:30

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

講演者:浅香猛 氏(東京大学大学院数理科学研究科)

タイトル: クラスター代数と地震変形

概要:Thurstonにより定義された地震変形とは、双曲計量を持つ曲面の変形であり、Teichmüller空間上の任意の2点に対し唯一つ地震変形が存在する。この定理を地震定理と呼ぶ。地震定理は曲面に付随するクラスター代数を用いて表すことができるので、他のクラスター代数についても同様の定理が成立するか考え、有限型のものについては結果が得られた。また、Dehnツイストに関する地震変形についてはクラスター代数のc-ベクトルおよびF-多項式との関係も得られたのでこれについても述べる。本講演は東北大学の石橋典氏と狩野隼輔氏との共同研究に基づく。 

222日(火) 15:00-- キャンセルとなりました。

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー(情勢により対面とのハイブリッド予定)

講演者:篠田裕佑(岡山大学大学院自然科学研究科)

タイトル: 絶対均質性を備えたフィンスラー多様体上の測地線の分岐について

概要:リーマン多様体は各点の接空間に内積が入ったものであるが,内積の代わりにミンコフスキーノルムをいれたものを,フィンスラー多様体と呼ぶ.2021年にQin Dengにより次元の上限が有限であるRCD空間上の測地線は分岐しないことが示されたが,次元の上限が有限でもCD空間では測地線が分岐する例が存在する.RCD空間ではないCD空間であるフィンスラー多様体において,測地線が分岐するための幾何学的な条件は有限次元でも得られていない.講演者により,絶対均質性を備えたフィンスラー計量を持つ(接空間がノルム空間である)多様体上において,測地線が分岐するための必要十分条件が各点の接空間が狭義凸であることが分かったので,その結果を紹介する.

前期の講演一覧(集中講義含む)

4月19日(月)--4月23日(金) 集中講義

講義名:幾何学特殊講義FⅠ/複素多様体論特論/複素多様体論特選

担当教員:小池 貴之 氏 (大阪市立大学大学院理学研究科)

詳細はこちらをご覧ください。

4月27日(火) 15:00--16:10 (最初の10分程度で新参加者の自己紹介を致します)

講演者: 福田 瑞季(東北大学AIMR)

タイトル: 2次元結び目と有限表示群について

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

概要:2次元結び目とは4次元球面になめらかに埋め込まれた2次元球面のことをいう。1926年にArtinによって非自明な2次元結び目が構成されて以降、Zeeman や Litherland らによって構成の一般化がなされてきた。特に Fintushel-Pao によって構成された branched twist spin は1次元結び目のトーラス結び目と対応がある。これらの2次元結び目たちは1次元結び目の軌道として構成されており、1次元結び目の性質を受け継ぐが、具体例に対して分類を与える結果は多くない。本講演では上記の2次元結び目クラスたちの歴史的な研究の流れを説明した後、branched twist spin の結び目群の性質を説明し、二面体群や SL(2,Z/3Z) への表現について得られた結果を紹介する。

5月18日(火) 15:00--16:30

講演者: 見村 万佐人 氏(東北大学・理)

タイトル: 不変擬準同型の話

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

概要: 川崎盛通氏(青山学院大学)・木村満晃氏(京都大学)・松下尚弘氏(琉球大学)との共同研究のお話です。 群に対し、実数への写像で準同型性の等式を一様有界な誤差で満たすものを "準同型もどき" ということで「擬準同型(quasimorphism, quasi-homomorphism)」といいます。最初に定義だけ見るとこんなものが面白いのか、という気がしませんか。ですが、実は大変面白く、有界コホモロジーやグロモフ双曲性との絡みで研究が進んでいます。今回のトピックは群の拡大「1→N→G→Q→1」に対し、N上の擬準同型でGの共役作用で不変なものです。この「不変擬準同型」は群上の擬準同型の話と比べてかなり新しい話題ですが、最近研究が進みつつあります。上記共同研究で、不変擬準同型の拡張性・混ざった安定交換子長(mixed stable commutator length)や閉曲面上のシンプレクティック幾何との関係などの理解が進みました。このあたりの概略を、特に前提知識を仮定せずにお話します。

6月1日(火) 15:00--16:30

講演者: 吉野 聖人 氏(東北大学情報科学研究科)

タイトル: Constellations in prime elements of number fields

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

概要: 2008年にGreen氏とTao氏は,素数の集合が任意の長さの等差数列を含むことを示した.例えば,5,11,17,23,29は素数から成る長さ5の等差数列である.その後,Tao氏はこの結果を有理整数環からガウス整数環へ拡張した.本講演では,甲斐 亘氏,見村 万佐人氏,関 真一朗氏,宗政 昭弘氏との共同研究で得られた任意の整数環への拡張とその応用を紹介する.

6月8日(火) 15:00--16:30

講演者: 田代 賢志郎 氏(東北大学理学研究科)

タイトル: ハイゼンベルグ群上のサブリーマン計量に付随した体積形式と崩壊の条件

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

概要: サブリーマン多様体は接束の部分束とその上の計量から決まる空間であり, その族はリーマン多様体たちをGromov--Hausdorff位相で稠密に含む.サブリーマン多様体を研究する際にリーマン計量で近似することは自然な発想だが, 近似がうまくいく場合といかない場合がある.特に計量に付随した体積のギャップは大きく, ハウスドルフ次元も異なることから近似が難しい.今回の話では, ハイゼンベルグ群上の左不変サブリーマン計量に対して最小ポップス体積を導入し, それがリーマン体積形式と, そのサブリーマン版であるポップス体積のギャップを埋めていることを見る.応用としてハイゼンベルグ群(の商空間)の崩壊, 非崩壊条件が最小ポップス体積を用いて記述されることを説明する.

6月14日(月)--6月18日(金) 集中講義

講義名:幾何学特殊講義FⅡ/微分幾何学特論/微分幾何学特選

担当教員:太田 慎一 氏 (大阪大学大学院理学研究科)

詳細はこちらをご覧ください。

6月22日(火) 15:00--16:30

講演者: 難波 隆弥 氏(立命館大学理工学部数理科学科)

タイトル: Long time asymptotics of random walks on covering graphs with groups of polynomial volume growth

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

概要: Long time asymptotics of centered random walks on covering graphs whose covering transformation groups are groups of polynomial volume growth are discussed.  By realizing such a covering graph into a certain nilpotent Lie group through a discrete harmonic map, a semigroup CLT was established in [Ishiwata-Kawabi-Namba, ’20]. Namely, the limiting semigroup is generated by the sub-Laplacian with a non-trivial linear drift on the nilpotent Lie group equipped with the Albanese metric. As a refinement of the semigroup CLT, we establish Edgeworth expansions of centered random walks on the covering graphs. Further possible directions of this study are also discussed.

6月28日(月)--7月2日(金) 集中講義

講義名:数学特別講義A/幾何学特殊講義GⅠ/位相幾何学特論

担当教員:樋上 和弘 氏 (九州大学)

詳細はこちらをご覧ください。

7月6日(火) 15:00--16:00  11月16日に移動しました

講演者: 古賀 勇 氏(明治大学)

タイトル: 複素グラスマン多様体への同変調和写像について

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

概要: 講演者は複素グラスマン多様体への調和写像の構成・分類問題について興味を持っている.2次元球面から複素射影空間への定曲率調和写像は坂東 - 大仁田や Borton-Jensen-Rigoli-Woodwa によって解決されているが,定曲率調和写像であればSU(2)同変であることまで従うところは興味深い.ターゲットを複素グラスマン多様体にするとそうはいかず,定曲率調和写像の分類は今も重要な問題として残っている.本講演では2次元球面から複素グラスマン多様体へのSU(2)同変な調和写像の問題について最近の進展を紹介する.本講演の内容は明治大学の長友康行氏との共同研究である.

7月13日(火) 15:00--16:00

講演者: 岩井 雅崇 氏(東北大学数理科学連携研究センター(RACMaS))

タイトル: On the structure of a log smooth pair in the equality case of the Bogomolov-Gieseker inequality

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

概要: 宮岡-Yau不等式の等号が成立するならば, 射影複素多様体Xの構造は限られることが分かっている. より正確に述べると「XがKahler-Einstein計量を持つとき, 宮岡-Yau不等式が成り立ち, さらにその宮岡-Yau不等式の等号が成立するならば, Xの普遍被覆空間は複素射影空間, 複素Eucild空間, 複素Eucild空間の単位球の3種類に限られる」ことが分かっている.本講演ではlog smooth pair (X,D)に対して「(X,D)に関する宮岡-Yau型の不等式の等号が成立するならば, (X,D)の構造はどのようなものになっているか」という問題を考え, その問題に関する関連研究ならびに講演者によって得られた定理を紹介する.

7月20日(火) 15:00--16:30

講演者: 藤岡 禎司 氏(京都大学大学院理学研究科)

タイトル: 弱い孤立特異点をもつAlexandrov空間への崩壊

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

概要: 断面曲率の下界をもつRiemann多様体の列は、極限空間であるAlexandrov空間において次元が下がるとき、「崩壊する」という。崩壊理論の基本である山口のファイブレーション定理は、極限空間がRiemann多様体のとき、崩壊空間が極限空間上の局所自明ファイブレーション構造をもつことを主張する。この仮定は、極限空間の各点の特異性が十分弱い、という条件に弱められることが知られている。本講演ではさらに、極限空間がより強い(それでもある程度弱い)孤立特異点をもつ場合に、この定理を拡張できることを示す。

7月27日(火) 15:00--16:30

講演者: 三石 史人 氏(福岡大学)

タイトル: 距離空間上の無限大ラプラシアンの主固有値問題

形式: Zoomを用いたオンラインセミナー

概要: 今回の講演は福岡大学の柳青氏との共同研究に基づく内容である. ユークリッド空間のドメイン上の無限大ラプラシアンのディリクレ固有値問題の研究が, Juutinen, Lindqvist, Manfredi (1999) あるいは, Fukagai, Ito, Narukawa (1999) により創始された. この方程式の解は, 粘性解の意味で定式化される. 我々は距離空間上でこの問題を考えた. つまり, 距離空間において, (0) 無限大ラプラシアンの固有値問題の粘性解を再定義した. 更に, 我々が得た結果は, (1) 解の構成(Perron の方法), (2) 固有値は何であるか, (3) 解の弱い意味での比較定理, (4) 具体的な空間(距離グラフ)での解の性質の解明, などである. これらについて時間の許す限り紹介する.