アブストラクト

前期

4月10日  高橋良輔(東北大)

ケーラー・アインシュタイン問題に対する新しい放物型フローによるアプローチ

本講演では,逆Monge-Ampèreフローという新しい放物型時間発展方程式を導入し,その時間大域的振る舞いを調べる.逆Monge-Amp\`ereフローは,与えられた任意の初期計量をケーラー・アインシュタイン計量に整形するように設計されている.多様体がケーラー・アインシュタイン計量を許容する場合,逆Monge-Amp\`ereフローはケーラー・リッチフローとよく似た振る舞いを持ち,フローは収束する.一方で多様体がK-不安定な場合,これら2つのフローの挙動は著しく異なる.具体的には,次の3つの結果について述べたいと考えている:

(1) 偏極が標準束の場合のフローの時間大域解存在,および収束

(2) 偏極が反標準束の場合のフローの時間大域解存在,およびK-安定な場合のフローの収束

(3) K-不安定なトーリックファノ多様体上のフローの極限挙動とoptimal destabilizerの関係

なお,本講演は,Tristan C. Collins氏(ハーバード大学),久本智之氏(名古屋大学)との共同研究に基づく.

4月17日  小池貴之(大阪市立大)

Arnol'd's type theorems on a neighborhood of a curve and gluing construction of K3 surfaces

Arnol'd showed the uniqueness of the complex analytic structure of a small neighborhood of a non-singular elliptic curve embedded in a non-singular surface whose normal bundle satisfies Diophantine condition in the Picard variety. 

We show an analogue of this Arnol'd's theorem for a neighborhood of a rational curve with a node. 

As an application, we construct a K3 surface by patching two open complex surfaces obtained as the complements of tubular neighborhoods of such curves embedded in blow-ups of the projective planes at general nine points. 

4月24日  庄田敏宏 (佐賀大)

周期的な極小曲面のモジュライ理論と三種類の量 (Morse指数, nullity, signature) について

3次元Euclid空間内の三重周期極小曲面は物理・化学・結晶学等,様々な分野で研究されている。その中で,種数が3であるような三重周期極小曲面の変形族が研究されている。一方,n次元Euclid空間内のn方向に周期的な極小曲面全体のModuli空間の理論が数学では研究されており,Morse指数,nullity,signatureという,面積に関連した三つの量で,Moduli空間を分類する手法が知られている。本講では,上述した種数3の変形族の振る舞いを,この三つの量で記述した結果を紹介する。

本講は名城大学の江尻典雄氏との共同研究の内容である。

5月8日  酒井高司(首都大)

複素旗多様体内の二つの実旗多様体の交叉

複素旗多様体には実旗多様体が実形として埋め込まれる.本講演では,複素旗多様体内の二つの実旗多様体が横断的に交わるための必要十分条件を対称三対を用いて与え,横断的であるときその交叉は複素旗多様体の対蹠集合になることについて解説する.さらに,実形の交叉の対蹠性を応用することにより,Kahler-Einstein計量をもつ複素旗多様体内の二つの実形に対するZ_2係数Floerホモロジーを決定することができる.本研究は井川治氏(京都工芸繊維大学)、入江博氏(茨城大学)、奥田隆幸氏(広島大学)、田崎博之氏(筑波大学)との共同研究である.

5月15日  大場貴裕(京都大)

Surfaces in D^4 with the same boundary and fundamental group

標準的接触構造をもつ3次元球面内の横断的絡み目は、シンプレクティック4次元円盤内でシンプレクティック曲面を張ることがある。

相異なるシンプレクティック曲面を張る横断的絡み目の例がこれまでいくつか与えられてきた。それらの曲面は全て、補空間の基本群で区別できる。

今回の発表では、相異なるシンプレクティック曲面を張る横断的結び目で、それらの曲面の補空間の基本群が同型となる構成例を紹介する。

5月29日  入江慶(東京大)

生成的なRiemann計量における極小閉超曲面の稠密性

次元が3以上7以下の閉多様体上の$C^¥infty$位相について生成的(generic)なRiemann計量において、極小閉超曲面が稠密に存在するという結果(Marques-Neves-講演者)の証明を解説する。証明は、(おおらかにいうと)閉超曲面全体のなす「空間」上定義される体積汎関数に対するmin-max理論に基づく。特に、そのようにして得られる無限個のmin-max値の列の漸近挙動からRiemann多様体の体積が復元されるという結果(Liokumovich-Marques-Neves)が重要な役割を果たす。

6月5日  久本智之(名古屋大)

Fano多様体の最適退化について

Fano多様体がKähler-Einstein計量を持つこととD準安定であることは同値である。Kähler-Einstein計量が無い時は何が起こっているのだろうか。計量の時間発展方程式を導入し、それが多様体を最も不安定な方向に退化させることを説明する。今回の内容はT. Collins氏と高橋良輔氏との共同研究に基づく。

6月26日  Armin Schikorra(University of Pittsburgh) 

Hölder-Analysis of the Topology of the Heisenberg group

The Heisenberg groups are examples of sub-Riemannian manifolds homeomorphic, but not diffeomorphic to the Euclidean space. Their metric is derived from curves which are only allowed to move in so-called horizontal directions. When one considers approximation or extension problems for Sobolev maps into the Riemannian manifolds it is known that topological properties of the target manifold play a role. However, due to the homeomorphism, the topology of the Heisenberg group is the same as the Euclidean space. A notion of H\"older topology is needed. I will report on some progress (with Hajlasz) on some topological features of the Heisenberg group, in particular on an embedding question due to Gromov.

7月3日  赤間陽二(東北大)

Areas of spherical/hyperbolic polyhedral surfaces with regular faces 

For a finite planar graph, it associates with some metric spaces, called (regular) spherical polyhedral surfaces, by replacing faces with regular spherical polygons in the unit sphere and gluing them edge-to-edge. We consider the class of planar graphs which admit spherical polyhedral surfaces with the curvature bounded below by 1 in the sense of Alexandrov, i.e. the total angle at each vertex is at most 2pi.. We classify all spherical tilings with regular spherical polygons, i.e. total angles at vertices are exactly 2.. We prove that for any graph in this class which does not admit a spherical tiling, the area of the associated spherical polyhedral surface with the curvature bounded below by 1 is at most 4.pi - epsilon0 for some .epsilon0 > 0. That is, we obtain a de.finite gap between the area of such a surface and that of the unit sphere. We also discuss area gap phenomenon for regular hyperbolic polyhedral surfaces with genus >1. This is join work with Bobo HUA and Yanhui SU.

7月10日  赤嶺新太郎(名古屋大)

Timelike minimal surfaces with singularities

3次元ミンコフスキー空間内でローレンツ計量を持ち,その平均曲率が恒等的に零となる曲面は時間的極小曲面と呼ばれ,リーマン計量を持った対象である極大曲面やユークリッド空間内の極小曲面と同様に多くのことが研究されてきた.

一方で,近年活発に研究されている特異点を持った対象にまで曲面のクラスを広げると,ローレンツ計量が時間的極小曲面の特異性に及ぼす影響はリーマン計量を持った曲面の場合に比べ,顕著な違いがあることがわかってきた.本講演では,時間的極小曲面とその上に現れる特異点の性質について,これまでに得られている結果を紹介する.

7月17日  小野肇(埼玉大)

共形ケーラーアインシュタイン・マックスウェル計量およびその一般化の存在問題

共形ケーラーアインシュタイン・マックスウェル計量(cKEM計量)の概念は、Apostolov-Maschlerにより導入された。本講演では、まず、cKEM計量(およびその一般化)が存在するためにいくつかの障害があることを解説する。また、いくつかのトーリック曲面における障害の計算結果を紹介する。本講演の内容は二木昭人氏(清華大学)との共同研究に基づく。

7月30日 桑江一洋( 福岡大)

Laplacian comparison theorem on Riemannian manifolds with CD(K, m)-condition for $m\leq1$

完備で境界のない重み付きn-次元リーマン多様体Mと重み付きラプラシアンLに付随するm-Bakry-Emery Ricci tensor が KをM上の連続関数として下からKで評価されるときCD(K,m)-条件を満たすと呼ぶことにする。パラメータmが次元n以上のときは、Lについての重みを含まないラプラシアンの比較定理がBakry-Qian, X.-D. Liの結果として知られている。本講演ではmが1以下の場合に重みを含んだ形のラプラシアンの比較定理が成立することを述べ、その条件化での種々の幾何学的性質について報告する。これらはm=1のときのWylie-Yeroshkinの結果の拡張である。また時間的余裕があればLi-Yau 型のL-調和関数の勾配型評価についても述べる。講演は中国科学院のXiangdong Li 氏との共同研究、および氏と北京師範大のSongzi Li 氏との共同研究に基づく。

後期

10月2日  小林景(慶応大)

「測地距離と曲率を利用したデータ解析」

本発表では,データが分布している距離空間(データ空間)の幾何学的特徴に着目した統計学や機械学習における既存研究を簡単に紹介した後,発表者らの研究で提案した新しいデータ解析手法を説明する.新手法ではデータ空間やその距離の推定をするだけではなく,距離を変換してデータ解析に応用するという点が,多様体学習を始めとする既存手法と大きく異なる.特に測地距離とその曲率に注目して自然に導出される2種類の距離変換(α距離,β距離)を組み合わた新しいFrechet平均,一般化分散,Frechet関数等を提案する.また,これらの距離変換とCAT(k)に関するいくつかの理論的な結果も紹介する.

最後に,提案した手法の実データへの適用例を示す.

10月9日  永野幸一(筑波大)

「On the topological regularity of spaces with an upper curvature bound」

This talk is based on a joint work with Alexander Lytchak (University of Cologne). We find a new approach to topological regularity of metric spaces with an upper curvature bound. We have recently observed that a regular map with distance function coordinates on such a metric space is locally a Hurewicz fibration. This property enables us to simplify our former studies on the topological regularity, and to complete our former results. In this talk, I will introduce our completed results on the topological regularity, and explain the outlines of the ideas of our new approach.

10月16日  博士課程学生2名 

15:00-16:00 数川大輔(東北大):「l_p-直積空間の集中」

測度距離空間全体の集合上の距離として, ボックス距離とオブザーバブル距離というGromovによって導入された2つの距離がある. オブザーバブル距離による測度距離空間の収束を集中といい, ボックス距離による収束よりも弱い収束を与える. ボックス収束する測度距離空間の列については様々な性質が解明されている一方で, 集中する測度距離空間の列については未だ分かっていないことも多い. 本発表では, 「2つの収束する空間列に対して, それらのl_p直積空間の列は収束するか?」という問題に関する結果を述べる. ボックス収束では簡単に直積空間列の収束を示すことができるが, 集中の場合ではこの問題の一般的な解決は未だなされていない.

16:10-17:10 中島啓貴(東北大):「測度距離空間上の等周不等式と誤差付きリプシッツ順序」

Gromovは,測度距離空間同士にリプシッツ順序と呼ばれる順序関係を定義し,豊かな理論を展開した.特に,連続的な空間の場合に空間の等周不等式をリプシッツ順序を用いて表せることを見出した.今回の講演ではリプシッツ順序を誤差付きに緩めることによって,考察する空間が離散的な場合にも等周不等式との関係が得られることを紹介する.このことによって,離散的な場合と連続的な場合の等周不等式が統一的に扱えるようになる.応用として離散的な$l^1$-キューブの等周不等式の極限操作により,連続的な$l^1$-キューブのシャープな等周不等式を得ることができる.

10月30日  博士課程学生2名 

15:00-16:00 草野元紀(東北大):「カーネル法によるパーシステント図の信頼区間構成」

パーシステント図とはデータの幾何構造を調べるために導入された、位相的データ解析で用いられる数学的な特徴量である。ここでは、データの幾何構造の統計的性質を調べるために、適切な設定の下でパーシステント図を確率変数と見なし、その期待値をカーネル法を用いて定義する。その際に、実際に入手可能なサンプルから求めた算術平均が真の期待値をどの程度推論出来ているかを定量化するため、パーシステント図に対する信頼区間をブートストラップ法を用いて構成する。

16:10-17:10 竹内博志(東北大):「The Persistent Homology of a Sampled Map」

2016年にShaun Harkerらによって提案された対応(correspondence)から誘導されるホモロジー準同型写像の理論は、ノイズや欠陥を含むデータ間の対応からも、真の写像の誘導写像の情報を復元することを可能にする強力な道具である。

昨年の幾何セミナーでは主に、パーシステントホモロジーの定式化の一つであるクイバーの表現論の枠組みで,対応の誘導写像の定義を拡張する研究について述べた。

今回はそこで用いたアイディアを元に、写像のサンプル点(サンプル写像)から写像のフィルトレーションを構成し,パーシステンス図を用いて真の写像のホモロジー誘導写像を復元する手法について述べる.

加えて,この手法の安定性(パーシステンス図のサンプル写像に対するリプシッツ連続性)と数値計算例について紹介する.

11月13日  博士課程学生2名 

15:00-16:00 山田大貴(東北大):「A construction of graphs with positive Ricci curvature」

Ollivierが導入したcoarse Ricci curvatureをグラフ上に拡張することで,グラフ上のRicci curvatureが定義できる.このRicci curvatureはグラフの大域的性質を調べる上で有効な道具であり,盛んに研究されている.その中で,「各辺上のリッチ曲率の符号を保つように2つのグラフを繋ぐためには,どのように辺を加えればいいのか」という問題がある.この問題の解決方法の1つとして,直積グラフやcocktail party graphを考えるという方法があるが,非常に多くの辺を加える必要がある.本講演では,2つの完全グラフに対して,m-gluing graphというグラフを導入することで,上記より効率的な解決方法を与える.

16:10-17:10 陶辰(東北大):「A Construction of Converging Goldberg-Coxeter Subdivisions of a Discrete Surface」

It is a fundamental problem to find a good approximating mesh of a given smooth surface and compare geometries of these two. In the present talk, however, we address problems in the opposite direction. Namely, how we can discover an underlying smooth surface, if exists, for a given discrete surface (3-valent graph) in E^3. We construct a method to subdivide a discrete surface as the solution of the Dirichlet problem for a Goldberg-Coxeter subdivision and prove the sequence of the subdivisions forms a Cauchy sequence in the Hausdorff topology. As an application we give a reason for a carbon network, the Mackay crystal, to be called as a discrete Schwartz P surface (triply periodic minimal surface) known in Materials Science.

11月20日  見村万佐人(東北大)

「有限生成群のなす位相空間と、コンパクト群の稠密部分群ども」

Lubotzky と Weiss はエクスパンダーグラフ族に関する研究から

「(無限)コンパクト群の2つの有限生成稠密部分群が、一つが従順でもう一つがKazhdanの性質(T)をもつことはあり得ないのではないか?」

という予想をたてた。本講演では、この予想を一般化して、

「コンパクト群の2つの有限生成稠密部分群の群性質がどの程度変わり得るか?」

についての講演者による結果を述べたい。証明は、Grigorchuk により導入された「The space of k-marked groups」と呼ばれるコンパクト位相空間内でのマーク付き有限群の収束を調べることで行なわれる。系として、共通の集合に作用する、激しく異なる性質をもった副有限作用を2つ作ることができる。

Lubotzky and Weiss conjetured that it would be impossible to have an (infinite) compact group and two finitely generated dense subgroups such that one is amenable and that the other has property (T) of Kazhdan. In this talk, I address a generalized question which asks how different can group properties of two finitely generated dense subgroups of a common compact group be. The main result follows from study of two convergent sequences of finite marked groups in "the space of k-marked groups", introduced by Grigorchuk. As a byproduct, two profinite actions on a common set with remarkably different properties are obtained.

11月27日  博士課程学生2名

15:00-16:00 中畑佑一朗(東北大):「Integral Bakry-Emery Ricci curvature bound and bounded diameter」

Bakry-Emery Ricci Tensorはリッチフローや崩壊するリーマン多様体の研究において自然に現れる重要な対象である。Guofang WeiとWill Wylieは[COMPARISON GEOMETRY FOR THE BAKRY-EMERY RICCI TENSOR. J. Differential Geometry, 83(2009)]においてBakry-Emery Ricci tensorが下に有界な状況でRicci tensor の場合の比較定理が成り立つことを示した。本講演ではChadwick Sprouseによって得られたIntegral Ricci curvatureでのMyers型の定理をBakry-Emery Ricci tensorの場合に拡張できたのでそれを紹介する。

16:10-17:10 山本航平(東北大):「Percolation と Triangle condition」

与えられたグラフの各辺が定められた一定の確率でそれぞれ独立に open な辺に変化する、そして open な辺のみで部分グラフを構成する。このようにして部分グラフからなる集合に確率測度を定めることを percolation という。Percolation には critical probability とよばれるグラフ固有の臨界値が存在しする。例えば、ある基点を含む連結成分の大きさの期待値などは、 open になる確率に対して単調増加な関数であり臨界値で発散する。Triangle condition は Aizenman と Newman によって導入されたもので、臨界値でこの triangle condition を満たすようなグラフに対して先の期待値の漸近挙動を解析できるということが示された。本発表ではグラフとして直積グラフを考え、どの範囲で triangle condition が成り立つかについての結果を発表する。

12月4日  相野眞行(名古屋大)

「Sphere theorems and eigenvalue pinching without positive Ricci curvature assumption」

Hessianを含む、関数についてのある2階微分方程式の非自明解が存在する完備リーマン多様体は球面に限る、というObataの定理は、

ラプラシアンの第一固有値に関するLichnerowiczの定理の等号条件を導く。

その安定性に関して、正の定数でRicci曲率が下から抑えられている状況でラプラシアンの第k固有値をピンチした際のRiemann多様体の挙動は

Petersen, Aubry, Hondaらによって明らかにされてきた。

本講演ではObataの定理そのものには正のRicci曲率の仮定が必要でないことをふまえ、

負でも良いRicci曲率の下からのバウンドと直径の上からのバウンドのもとでのObataの定理に関する関数についてのL^2ピンチについて調べる。

このピンチ条件は、あるベクトル束の接続のラプラシアンの固有値に関するピンチ条件としても表せる。

またユークリッド空間におけるnearly umbilicalな超曲面(ここでは第二基本形式のトレースレスパートがL^2で0に近いものを指す)との関連を述べる。

12月11日  修士論文中間発表(1) 

40分(質疑応答含む)× 4名 

15:00-15:40 浅野喜敬:「単純トライセクション写像の弧の逆像として得られる閉3次元多様体について」

15:40-16:20 見上達哉:「余次元1のホモロジー生成元に関するパーコレーション」

16:30-17:10 長嶋千晶:「サークル・パッキングに関する離散正則二次形式と極小曲面の表現公式」

17:10-17:50 原田翔太:「Besicovitch概周期関数のフーリエ解析」

12月18日  修士論文中間発表(2) 

40分(質疑応答含む)× 4名 

15:00-15:40 小林愼一郎:「Hilbert幾何におけるMongeの最適輸送問題について」

15:40-16:20 尾形涼:「閉多様体上のリストフローに対する体積評価」

16:30-17:10 春原将人:「Twisted Kähler-Ricci flowに対するブリーザー解の非存在定理」

17:10-17:50 仁昌寺崇人:「コンパクトケーラー多様体上の正則ベクトル束の安定性とエルミートアインシュタイン計量」

12月25日 櫻井陽平(東北大AIMR)

ラプラシアンのDirichlet固有値に関する測度集中現象

本講演では,境界付きRiemann多様体上でいつ測度が境界の周りに集中するかという問題について議論する.まず,そのような測度集中現象とラプラシアンのDirichlet固有値の振る舞いの関係性を比較幾何の観点から考察する.さらに「Ricci曲率と境界の平均曲率の非負性のもと,第kDirichlet固有値が大きいとき測度が境界の周りに集中する」という主張について,証明のアイデアを述べる.

1月15日  講演者2名

15:00-16:00 Shu-Cheng Chang(国立台湾大):「The Frankel conjecture in a closed strictly pseudoconvex CR manifold」

J. Lee showed that an obstruction to the existence of a pseudo-Einstein contact form is that its first Chern class of the holomorphic tangent bundle vanishes in a closed strictly pseudoconvex CR manifold. On the other hand, we do not know if we can always choose the contact form so that its CR Q-curvature is vanishing. In this talk, we first show that for a closed CR 3-manifold with the positive Tanaka-Webster scalar curvature and nonnegative Paneitz operator, then there is a contact form with vanishing CR Q-curvature. Secondly, we will show that indeed it is pseudo-Einstein under an additional assumption and affirm a partial answer to the CR Frankel conjecture. Finally, we will address the partial result in the higher dimensional. 

16:10-17:10 福田瑞季(東北大):「Gluck twist による2次元結び目の位相型の変化について」

2次元結び目とは4次元球面内に滑らかに埋め込まれた2次元球面の像である.Branched twist spin は2次元結び目のクラスの1つで,補空間に $S^1$ 上のファイブレーション構造を有し,そのモノドロミーが周期的であるという特徴づけがなされている.4次元トポロジーにおいて, Gluck twist と呼ばれる,2次元結び目の近傍を $S^4$ から取り除き非自明な写像によって張り戻す操作がよく知られている.一般に Gluck twist によって位相型が変化するがどのような結び目に変化するかはわかっていない.

今回の講演では, branched twist spin に対し Gluck twist を行なった後の結び目の位相型を決定したので,これについて述べる.

1月22日 竹内秀(東北大)

距離空間上の0次元修正可能カレントのsizeの下半連続性について

ユークリッド空間上のk次元修正可能カレントが♭距離に関して収束しているとき, その台のk次元Hausdorff測度は下半連続性を有することが知られている. 本発表では, Almgrenによる積分幾何的測度を用いた証明を紹介する. 

一方, Ambrosioにより距離空間上のカレントの概念が2000年に導入されており, そちらの枠組みでは同様の結果が従うか, という自然な疑問が生じる. その問いに対し, カレントの次元が0次元の場合の証明を与える.

1月29日: 修論発表会予行演習

(15分講演+質疑応答5分)× 8名

15:00-15:20 浅野喜敬:「単純トライセクション写像の弧の逆像として得られる閉3次元多様体について」

15:20-15:40 尾形涼:「閉多様体上のリストフローに対する体積評価」

15:40-16:00 春原将人:「Twisted Kähler-Ricci flowに対するブリーザー解の非存在定理」

16:00-16:20 仁昌寺崇人:「コンパクトケーラー多様体上の正則ベクトル束の安定性とエルミートアインシュタイン計量」

(10分休憩)

16:30-16:50 原田翔太:「Besicovitch概周期関数のフーリエ解析」

16:50-17:10 長嶋千晶:「サークル・パッキングに関する離散正則二次形式と極小曲面の表現公式」

17:10-17:30 小林愼一郎:「Hilbert幾何におけるMongeの最適輸送問題について」

17:30-17:50 見上達哉:「余次元1のホモロジー生成元に関するパーコレーション」