2022学校図書館入門講座

投稿日: 2022/05/04 08:39 更新日:2022/11/23 19:39

■入門講座受講のお誘い

学校司書が学校図書館法に法定されましたが、資格や身分は自治体に委ねられたままです。そのため、学校司書にとって必要な知識の習得が不十分なまま、実務を行わざるを得ない自治体が多くあるのが現状です。学校図書館が活きるために法定されたはずの学校司書ですが、その実態は理念とほど遠いといっても過言ではありません。こうした状況を少しでも改善したいと、学校司書モデルカリキュラムの全科目を習得できる機会を、できるだけ少ない費用で実施することをSLORIの総会で決議し、2019年に「第一回学校図書館入門講座」を開講しました。一年でモデルカリキュラムの半分の科目を実施し、二年で全科目を履修することができます。担当するのは、大学でこれらの科目を担当している、SLORIのメンバーでもある教員です。

また、全科目履修者には修了証を交付しています。学校司書を採用される自治体にとって採用の際の目安になることを期待しています。

学校司書として働きながら知識の不足に悩む方、これから学校司書として働きたいと思っておられる方、生涯学習として学びたいと思っておられる方、こうした方々の受講をお待ちしています。

学校図書館総合研究所 所長 木幡洋子(愛知県立大学名誉教授)


■講座案内

【後期】

■学習指導と学校図書館(木幡智子)

学習指導と学校図書館では、学校図書館が教育課程の展開に寄与するための活動として、学習活動の中で学校図書館をどのように活用していくことができるのかを紹介します。また、図書館利用教育の移り変わりや、情報活用能力育成のための体系表についてご紹介します。現在、公開コンテンツが増加しつつある、授業や学習活動に活用しやすいデジタルアーカイブについてもご紹介できればと思います。


■実践編:アニマシオンを中心に(足立幸子)

読書へのアニマシオンは子どもが予読してきた本について「作戦」というゲームを行いながら読書技術を身につけていく集団読書の方法です。演習形式で作戦を体験し、実際にアニマシオンが行えるようになっていただくことを目指します。一方で、背景理論や豊富な実践例をご紹介し、どのような場面で、どのような子どもに、どのような本を用いて、どのような作戦を行うのが効果的かを考えます。


■情報2(旧図書館情報技術論)(服部繁彦)

図書館で情報提供するためには図書雑誌だけではなくPCやネットワーク、データベースは欠かせません。GIGAスクール構想でさらにその傾向が深まる中、また学校により異なる環境の中で児童・生徒の要求にこたえるためには何が使えるかを検索の小技などを紹介しながら進めていきたいと思います。


■読書と豊かな人間性(田中聖子)

児童生徒が障害にわたる読書習慣を身につけるためには、発達段階に応じて、読書の意義や価値を実感できる指導・支援が重要です。そして、楽しむ読書に加え、著者の考えや情報を読み解きながら自分の考えを形成していく主体的な読み手を育てる必要があります。本科目では、学校図書館の機能を活かし、学校全体で意図的・計画的・系統的・継続的な読書指導を行うために必要な知識と方法について、具体的な実践例を交えながら話を進めます。


■学校教育概論(岡田大輔)

この科目では、学校で働くなら知っておいてほしい、教育に関することを説明します。まず、「学校司書は生徒を叱っていいか」「学校でどこまで決められているか」など、法律で定められていることをおさえます。次に、「自閉傾向のある児童生徒に対して学校司書は何ができるか」」、特別支援教育について簡単に扱います。さらに、「学校図書館で授業をすることになっているが、なされていない場合はどうするか」などを含めて、学習指導要領に関して考えます。最後に、教育心理学の観点を踏まえ、「掃除をサボる子とどう接するか」「図書室投稿の子とどう接するか」などを考えます。


【前期】

■学校図書館概論(木幡洋子)

日本に学校図書館が制度として導入されたのはどのような経緯で、何を実現しようとしていたのか。また、情報時代において学校図書館の役割はどのようなものになっているのか。日本の学校図書館を、歴史と教育人権の視点から整理し外観することで、学校図書館の今日的な学校教育における意義についての理解を深めます。また、GIGAスクールと学校図書館の関係についても、現状において理解を深めるべき緊急課題としてとりあげます。

<講師からのメッセージ>

学校図書館とは何かを、一緒に考えたいと思っています。


■情報1(伊藤真理)

「情報1」では、情報の組織化(目録)と情報の利用の両面から考えます。学校図書館では、さまざまなメディアを活用した情報リテラシーの育成が求められます。効率的な情報検索を支援する学校司書として、情報の手がかりとなる書誌情報の組織化について身につけておくべき知識を確認しましょう。また、情報の利用では、検索時に使用する「ことば」が検索結果に大きな影響を及ぼすため「ことば」に慎重になりましょう。メディアの種類によるどんな工夫が必要か一緒に考えましょう。

<講師からのメッセージ>

「情報1」では、情報のあり方の生成とその利用の両面から捉えていきます。多様なメディアを利用する学校図書館だからこその工夫を考えましょう。日頃、どのようなメディアを利用したり、工夫したりしているのかについても申し込み時にご記入ください。


■情報2(旧図書館情報技術論)(服部繁彦)

図書館で情報提供するためには図書雑誌だけではなくPCやネットワーク、データベースは欠かせません。GIGAスクール構想でさらにその傾向が深まる中、また学校により異なる環境の中で児童・生徒の要求にこたえるためには何が必要なのかを検索の小技などを紹介しながら進めていきたいと思います。

<講師からのメッセージ>

約三十年公共図書館大学図書館サービスに携わってきました。学校により情報環境も児童生徒の傾向も異なりますので、受講される皆さんがどのようなことが訊きたいか予め把握したいと思います。申込時にご記入ください。

■実践講座:図書修理講座(田中稔)

図書の修理についての基本的な技術を受講生のみなさんにも実習してもらう、実践にすぐに役立つ講座です。講師は岐阜市の製本業・図書館用品販売を営んでおられるタナカの田中稔社長さんが担当されます。技能士、職業訓練指導員(製本科)、図書館司書資格、などの資格を持っておられ、平易で楽しい講座には定評があります。


■学校図書館サービス論(中西由香里)

本科目では、学校図書館を活用した教育活動を推進するための学校図書館サービスについて概説します。学校図書館専門職員が、利用者である児童生徒や教職員に対して行う「間接的支援」「直接的支援」「教育指導への支援」に関する職務のあり方を解説します。また、学校図書館の機能「読書センター」「学習センター」「情報センター」について理解を深めていきます。

<講師からのメッセージ>

学校図書館サービスについて、一緒に勉強しましょう!


■交流のひろば(中西由香里・田崎正憲)

GIGAスクール構想が進められている中、学校図書館は誰がどのように担っていくのか、また、空間としての学校図書館はどのように考えられていくのか。学校司書経験を持ち、職員について研究を進めている中西と理想の学校図書館空間を設計している田崎がコラボする興味深いセッションです。参加者の方との自由な質疑応答の時間もあります。

<講師からのメッセージ>(田崎正憲)

年間十五件ほどの学校図書館づくりをしています。GIGAスクール構想からのこれからの学校図書館とは?皆さんと意見を出し合い考えたいです。


■申込締切 202331

■講座スケジュール

前期

2022年823日(火)

9:00-12:00  学校図書館概論

13:00-16:00  実践編(製本講座)


2022年825()

9:00-12:00   情報1(情報資源を中心に)

13:00-16:00   情報2(情報技術を中心に)


20228月26日()

9:00-12:00  学校図書館サービス論

13:00-16:00   交流のひろば(科目外


後期

2023年2月19日(日)

 9:00 -12:00  学習指導と学校図書館

1300-16:00   実践編:アニマシオン


2023年2月25日(土)

13:00-16:00   情報2


2023年2月26日(日)(予定) 二日目

9:00-12:00  読書と豊かな人間性

13:00-1600   学校教育概論

■会場

愛知県立大学サテライトキャンパス

(ウインクあいち 15階)

  *対面受講が基本ですが、事情によって

ZOOM受講にも対応します

ご相談ください。


受講料 科目 3,000 円

5科目申込割引 13,000 円

交流のひろば(茶菓付き) 1,000 円

■連絡先

email  slori.est.2016@gmail.com  

Tel/FAX  052-775-6508


■講座申込先


☆最少開講人数 10名