2022年NPO設立趣意書

設立趣意書

1趣旨

学校図書館をめぐる日本特有の問題として、情報関係の大学・学部が少 なく、また、その中でも学校図書館研究者の数が少ないことがある。そ のため、司書教諭と学校司書は身近で専門的研修を受講することが困難 になっている。特に、学校司書は、身分の不安定と研修が保障されてい ないことから、専門職としての自覚を持つことが困難になっている。今 後、司書教諭の専任化と学校司書の身分の安定が実現することを期待し つつも、過去の学校図書館整備の過程からは、この先少なくとも 10 年 は、そうした期待が叶えられることはないことが予測される。こうした 学校図書館を取り巻く環境に鑑み、状況の的確な把握と対策を考案する ために学校図書館に関する継続的な研究と研修の場を提供し、また、司 書教諭と学校司書に専門性の高い研修を提供し専門職者ネットワークの 形成を支援していくことは大きな社会的意義がある。NPO 学校図書館 総合研究所は、こうした専門性の高い人材育成の支援を行うことで、学 校図書館の活性化を促し、もって学校教育の水準向上に資することを目 的とした。この事業を推進するにあたって、自治体等との契約を締結することが必要となってきた。そのため、法人化を考えるようになった。

2 申請に至るまでの経過

科学研究費で共同研究を行ってきた学校図書館研究者が、研究の継続と 発展のために 2016 年に任意団体・学校図書館総合研究所を設立した。 当初は研究だけを目的とする団体であったが、調査を進めるうちに、司 書教諭と学校司書が専門職者として十分な待遇と研修を受けていないこ とが明らかになった。学校図書館整備計画による地方交付税交付金の交 付では、学校間格差も大きくなっていっており、自治体の状況によって は学校図書館への理解も乏しく、司書教諭も学校司書も現場で理解され ない状況があった。設立当初は、市民への啓発を「学校図書館フェステ ィバル」として実施していたが、そこに参加された学校司書の方々から 学校司書支援を求める切実な声があがった。そのため、中部学校司書会 設立を支援し、研修を研究所のメンバーが担当したが、体系的な研修を 受けていない方が多いことに驚いた。そこで、学校司書モデルカリキュ ラムの全科目を網羅した「学校図書館入門講座」を実施したところ、学 ぶことを渇望しておられる方が多いことがわかった。そのため、研究サ ークルにとどまらず、会計に詳しい人物、現場に詳しい人物、など多様 な優れた人物をメンバーに加え、安定的な人材育成事業を実施するとい う考えに至った。

令和 4 年 1 月 29 日

特定非営利活動法人 学校図書館総合研究所設立代表者

氏 名 木幡洋子