IFLA/UNESCO 学校図書館宣言(1999)

UNESCO・IFLA 共同 学校図書館宣言

(沿革)1999 年 11 月第 30 回ユネスコ総会において批准, 2000 年 2 月改正

すべての人のための教育と学習における学校図書館

学校図書館は、現代の情報と知識を基盤とする社会にうまく適合するために欠かすことのできない情報とアイディアを提供する。学校図書館は、児童生徒が生涯にわたって学習するためのスキルを育て、創造力を伸ばすことで、責任ある市民として生きていくことを可能にする。


学校図書館の使命

学校図書館は、学校コミュニティの構成員すべてが批判的思考力を備え、あらゆる形態と媒体の情報を有効に利用できるようになるために、学習のためのサービス、図書、そして資料を提供する。

学校図書館は、ユネスコ公共図書館宣言の基本的な方針にのっとり、多様な図書館と情報ネットワークを形成する。

図書館スタッフは、小説からドキュメンタリー、印刷媒体から電子媒体までにわたる図書とその他の情報源を、館内においても遠隔においても利用できるように支援する。様々な資料は、教科書、教材、そして教育方法を補完し、豊かにする。

司書と教師が一緒になって働くとき、児童生徒が識字、読書、学習、問題解決、そして情報とコミュニケーション技術などにおいてより高い水準に達するということが実証されている。

学校図書館サービスは、年齢、人種、性、宗教、国籍、言語、職業あるいは社会的身分がどのようなものであれ、学校コミュニティのすべてのメンバーに平等に与えられなければならない。通常の図書館サービスと資料を利用することができない人に対しては、特別のサービスと資料が用意されなければならない。

サービスと所蔵品の利用は、国連の世界人権宣言に基づいて保障されなければならず、いかなるイデオロギー的、政治的あるいは宗教的検閲にも、また営利的な圧力にも左右されてはならない。


資金、立法そしてネットワーク

学校図書館は、識字、教育、情報の提供、そして経済的・社会的・文化的発展に対するすべての長期的戦略に不可欠なものである。地方、地域、国の責任として、学校図書館に対しては特別法の立法と政策の策定を行わなければならない。学校図書館には、訓練された職員、資料、技術、そして設備のために適切で持続的な資金が供給されなければならない。学校図書館の利用は無料でなけれ

ばならない。学校図書館は、地方、地域、そして国立の図書館と情報ネットワークにとって不可欠のパートナーである。

学校図書館が、公共図書館のような他の種類の図書館と施設および/あるいは資料を共有する際には、学校図書館固有の目的が認められ維持されなければならない。


学校図書館の目標

学校図書館は教育の過程において不可欠のものである。

以下の事項は、識字、インフォメーション・リテラシー、授業、学習、文化の発展にとって必須のものであり、また学校図書館の中核的なサービスでもある。


職員

学校図書館員は、可能な限り適切に配置された職員により支えられている学校図書館の計画と運営に責任をもつ専門的な有資格のスタッフであり、学校コミュニティのすべてのメンバーと協働し、公共図書館などとの連携を行う。

学校図書館員の役割は、国の法的、財政的枠組みの中で、各学校の予算、カリキュラムと教育方法により異なってくる。どのような状況であれ、学校図書館員が学校図書館サービスを発展させ、効果的な運営を行おうとするうえで重要な一般的な知識がある。それは、資料、図書館、情報管理、そして情報教育である。

増加するネットワーク環境のもとで、学校図書館職員は、教師と児童生徒のいずれに対しても、多様な情報操作技術に関する計画と教育の能力を備えていなければならない。そのため、彼らは専門的な訓練と開発を継続していかなければならない。


運営と管理

効果的で責任ある運営を保障するためには―


宣言の実行

政府には、教育を担当する省庁を通じて、宣言の諸原則を実行するための戦略、政策、計画を進展させることが求められている。計画には、初期に宣言を広めること、そして図書館員と教師への継続的な研修プログラムが含まれなければならない。

(木幡洋子訳)