IFLA学校図書館宣言(2021)

学校図書館運営計画のビジョン

 学校図書館運営計画は、有資格の学校図書館専門員、コレクション、そして、包摂的で公正な教育においてリテラシー、思考力、グローバル・シティズンシップを育てるために積極的な協働があることで、学校コミュニティ全体の教育と学習を改善し充実させます。 


学校図書館運営計画の使命

学校図書館運営計画と有資格の学校図書館専門員は、学校コミュニティのすべてのメンバーが、批判的思考力を持ち、読書の意味を知り、多様なフォーマットの情報を責任をもって利用、評価、作成することができるための学習環境、資料、学習空間への公正なアクセスを提供することで、生徒の成長に関わっている。

 

年齢、人種、性別、宗教、性的指向やアイデンティティ、障害、国籍、言語、職業、経済、社会的地位に係らず、すべての学習者のニーズと能力に応じて、小中学校の学校図書館における環境、資料、指導の機会といったラーニング・コモンズへの公正なアクセスが保障されなければならない。主要な図書館サービスや資料を利用できない人には、特別なアクセスを提供しないといけない。

 

学校図書館運営計画のサービスおよびコレクションへのアクセスは、国連の世界人権宣言に基づくべきであり、いかなる形態のイデオロギー的、政治的、宗教的検閲、または商業的圧力に屈してはならない。

 

学校図書館は、IFLA公共図書館宣言にのっとり、公共図書館やその他のより広範な情報ネットワークと結びついている。



資金調達のための法制度とネットワーク

学校図書館運営計画は、リテラシー、情報の提供と作成、経済・社会・文化の発展など、あらゆる長期的な教育戦略にとって不可欠である。有資格の学校図書館専門員、資料、技術、施設、生涯にわたる専門員としての学習を維持するための、十分で持続的な資金を確保するため特定の法律と政策をつくり、学校図書館運営計画を支援することは、地方、地域、国の責務である。学校図書館運営計画は、生徒と学校職員に無料で提供されなければならない。

 

学校図書館運営計画は、地域、地方、国内、国際的な図書館と情報ネットワークにおける不可欠のパートナーである。

 

学校図書館が公共図書館などの他のタイプの図書館と施設や資料を共有している場合、有資格の学校図書館専門員との積極的なパートナーシップにより、学校図書館独自の目的が理解され、認識されなければならない。


有資格の専門図書館スタッフ

学校司書は、専門的な資格を持ち、学校図書館運営計画を計画・管理する熱心で献身的なスタッフであり、学校コミュニティのすべてのメンバーと協力し、公共図書館やより広いコミュニティの他の人々と連携して働く。また、図書館協会の会員であることが望ましい。学校司書は、学校図書館の通常業務についての訓練を受けた適切な事務員による支援を受け、また十分に訓練されたボランティアによる支援を受けることができる。

 

学校司書と事務員の資格と役割は、地域や国の法律と財政による制約のもとで、学校の予算、カリキュラム、教育方法に応じて変わる。

 

ネットワーク化が進む中で、有資格の学校図書館専門員は、優れた指導者であり、進化するリテラシーとデジタル・コンピテンシーに対して計画を立てて教え、学校図書館施設と運営計画の運営と管理を行い、教師と生徒のいずれに対しても責任を負うという能力を備えていなければならない。


学校図書館運営計画の目標

学校図書館は、学校司書が教育を行い、学校コミュニティと協力して以下のことを行う公的な学習施設である:


 

学校図書館運営計画のこれらの目標は、公正な方針と教育運営計画の開発、質の高い資料と技術の選択と取得、多様な情報源への物理的あるいは知的アクセスの提供、参加型の物理的・仮想的学習環境の提供、有資格の学校図書館専門員と訓練された事務スタッフの雇用によって達成される。


運営と管理

効果的で説明責任を果たすことができる運営を行うため、学校図書館運営計画には以下のことが不可欠である:

 


宣言の普及と浸透

すべての子どもは、ユネスコの持続可能な目標4を支援するこの宣言で述べられている学校図書館運営計画の恩恵に値する: 「包括的で公平な質の高い教育を保障し、すべての人の生涯学習の機会を促進する」https://sustainabledevelopment.un.org/sdg4

 

政府は、教育を担当する省庁や部門によって、この宣言の原則を実施するための戦略、政策、計画、および継続的な見直しを策定することが求められている。

 

学校の校長および地方教育行政委員会は、生徒が責任ある市民となることを支援するため、戦略文書の策定に

あたって宣言を用いることが奨励される。

(翻訳)木幡洋子