この専攻では、子どもから高齢者まで全ての人のこころの健康の増進のための方法や精神障害がある方に対する福祉的支援を学びます。これらの科目群をメジャーとして履修することで、卒業時に学士精神保健福祉学を得ることができます。
プログラムでは精神保健福祉士をめざす人の教育を主軸としています。精神保健分野のソーシャルワーカー(MHSW)の国家資格である精神保健福祉士は、精神障害のある人のさまざまな相談を受け、生活支援や社会復帰の援助を行う大切な職種です。精神保健福祉士は、医療機関におけるチームの一員として、また精神障害者の地域生活の支援者として、ますます重要な役割を担っています。近年、司法・教育・産業などの分野においても多様な精神保健福祉の課題に取り組むことが求められるようになりました。ストレス社会といわれる現代では心の病は特別なものではなく、だれもが危機と背中合わせに生きていますから、心の健康が損なわれたときに安心して治療を受け回復していけるようなシステムづくりも重要です。こうした時代の要請に応えて精神保健福祉を担う人材を育成します。
精神保健福祉学専攻の学生の場合、年次ごとの科目履修の道筋を示した履修チャートを参考に、【精神保健福祉学】メジャー科目を履修し、精神保健福祉学の理論を学びます。
【精神保健福祉学】メジャー科目には福祉系科目(「精神保健福祉の原理Ⅰ・Ⅱ」「ソーシャルワークの理論と方法Ⅰ・Ⅱ」など)と、精神保健系科目(「精神保健学A・B」 「精神医学Ⅰ・Ⅱ」など)の双方があり、その上に「精神保健福祉制度論」「精神障害リハビリテーション論」といった専門的な学修を積み重ねて学びます。精神保健福祉士の国家資格を取得する場合、1年次には「精神保健福祉の原理Ⅰ」、「精神保健福祉の原理Ⅱ」「精神医学Ⅰ」の履修が必要です。
国家資格である精神保健福祉士の受験資格を取得したい場合、【ソーシャルワーク】マイナーを履修します。ソーシャルワークとは、人と環境との間で起こる問題の解決をはかり、人々が発揮する力を高め、より良い社会の実現をめざす取り組みのことです。人権と社会正義、多様性を尊重し、人々が幸福な生活をおくれるように支援を実践する専門職をソーシャルワーカーといいます。このマイナーでは、「ソーシャルワークの基盤と専門職(共通)」「学校ソーシャルワーク論」「医療ソーシャルワーク論」等のソーシャルワークの実践とその関連領域を学びます。
上記【精神保健福祉学】メジャー、【ソーシャルワーク】マイナー科目群に加えて、演習・実習などの科目を履修することにより、相談援助の専門職、ソーシャルワーカーとしての実践力を高めることができ、国家資格である精神保健福祉士の受験資格を得ることができます。本学では、2年次秋学期に「精神保健福祉実習指導Ⅰ」を履修し精神科病院や福祉施設を訪問して現場についての理解を深めます(見学実習)。3年次から「精神保健福祉実習指導Ⅱ」に進み、施設での1回目の配属実習を行います。この科目は、「精神保健福祉現場実習 I」として登録します。2回目の配属実習は「精神保健福祉現場実習Ⅱ」として、4年次の「精神保健福祉実習指導Ⅲ」と同時に履修登録を行うことになります。
このように精神科医療機関や障害福祉サービス事業所などでの実習が資格取得には必須なので、「精神保健福祉士」になるという目的意識を明確に持ち、学修を計画的に進めていくことが望まれます。また、実習後の振り返りに十分な時間をかけるなど、実習教育には特に力を入れています。少人数であることを生かし、発表・討議や、コミュニケーションスキルの向上を図る体験学習など、頭だけでなく心と身体を働かせる授業が多いのも特徴です。こうした履修上の重要事項については、入学時や各学期始めのオリエンテーションで説明するので、情報収集に留意し、不明な点は教員に確認してください。
注1)2年次秋学期開講の「ソーシャルワーク演習(精神保健)」、「精神保健福祉実習指導Ⅰ」は、1クラスの履修者数の上限を20名とする。「精神保健福祉実習指導Ⅰ」は受講希望者が20名を超えた場合、以下の基準で選考を行う。
先修条件5科目(「精神保健福祉の原理Ⅰ」「精神保健福祉の原理Ⅱ」「精神医学Ⅰ」「精神医学Ⅱ」「ソーシャルワークの理論と方法Ⅰ」)のGPA、及び通算GPA
「精神保健福祉実習指導Ⅰ」については、精神保健福祉学専攻の学生(条件を満たした社会福祉学専攻の学生を含む)で精神保健福祉士の資格取得を目指す動機が明確であること。
注2)精神保健福祉士資格を取得する場合、2年次秋学期終了の時点で、3年次に履修する「精神保健福祉実習指導Ⅱ」の先修条件となる以下9科目※のGPA、および通算GPAがいずれも2.0以上であることが必要となる。
※9科目:「精神保健福祉の原理Ⅰ」「精神保健福祉の原理Ⅱ」「精神医学Ⅰ」「精神医学Ⅱ」「ソーシャルワークの基盤と専門職」「ソーシャルワークの理論と方法Ⅰ」「ソーシャルワークの理論と方法Ⅱ」「ソーシャルワーク演習(精神保健)」 「精神保健福祉実習指導Ⅰ」
なお、精神保健福祉士の資格に加えて社会福祉士の資格も併せて取得を目指す場合には、履修科目や上記とは別に履修科目や成績の基準を満たす必要があります。1年次から社会福祉学専攻の教員にも相談し、履修計画を綿密に立ててください。
また、精神保健福祉士の資格取得を視野に入れない場合でも、【精神保健福祉学】メジャーに加えて、【子ども支援】マイナーを履修することにより子ども領域の相談支援を、【高齢者支援】マイナーを履修することにより高齢者領域の相談支援を、【実践心理学】マイナーを履修することにより、心理的支援を学ぶことができます。心理系科目のうちの所定の科目の単位を修得し、学会への申請手続きを行うことで、認定心理士、認定健康心理士の資格取得も可能です。
【精神保健福祉学】マイナーを履修する場合は、上記【精神保健福祉学】メジャー科目のうち、社会福祉学専攻との共通科目を除いた科目を学修し、精神保健分野における福祉の支援について理解します。
修了要件
【精神保健福祉学】メジャー
精神保健福祉学メジャー科目から、「精神保健福祉の原理Ⅰ」「精神医学Ⅰ」の必修科目を含めて合計36単位以上修得することが必要です。
なお、卒業にはマイナーⅠまたはマイナーⅡから精神保健福祉学マイナー以外のマイナーを1つ以上選択し修了することが必要になります。マイナーの修了には合計20単位以上の修得が必要です。
※マイナーの修了にあたって、必修科目が置かれている場合がありますので、各プログラムの案内を確認してください。
【精神保健福祉学】マイナー
精神保健福祉学マイナー科目から、「精神保健福祉の原理Ⅰ」「精神医学Ⅰ」の必修科目を含めて合計20単位以上修得することが必要です。
他学群学生の履修欄が○の場合、他学群の学生も履修できます。△は担当教員の許可を得て履修できます。×は他学群の学生は履修できません。 その他科目によって個別の注意事項がある場合があります。各科目一覧を確認してください。