帯鉤
帯鉤とは?
中国の春秋戦国時代(B.C.700年頃~)から漢代(~220年頃)にかけて、男性が革製の帯を留めるために使用した装飾品。今で言うベルトのバックルのようなもの。
青銅や鉄製が主流だが骨・玉製のものもある。また、中国だけでなく朝鮮や日本からも出土されている。
←國學院大學栃木学園参考館所蔵の帯鉤
上段鳥 中段獣 下段虎・兎・狐と考えられていますが、皆さんはどう見えますか?
虎形帯鉤🐅
・虎
顔を後に振り口を大きくあけた虎を表した帯鉤。麒麟だという考えもある。
虎は獣のなかの強者であることから武器類に表現されることが多く、権力や邪悪を避ける意味があるとされているが、帯鉤として身につけることには護身の意味があるとされる。
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鹿形帯鉤🦌
鹿の姿を表したとされる帯鉤。
この鹿は馬車の馬の飾りや埋葬儀礼にも用いられていたと考えられている。
この帯鉤からは伺えないが鹿の立派な角は敵を倒す武器であることから、邪悪を避ける意味があるとされる。その他にも鹿の角が生えては抜け落ちるという繰り返しから再生の意味を持つともされる 。
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鳥形帯鉤🦢
これは水に浮かぶ鳥の姿を表した帯鉤。
裏面には円形のボタンがあり渦巻き模様がある。
地の果てに行っても必ず帰ってくるという鳥の習性に、あの世とこの世を行き来する死者の霊の再生観を重ね合わせた祖先崇拝の象徴であると考えられている。また、水鳥ではない鷹などの猛禽類の意匠には虎と同様の意味がある。
水面に浮かぶ姿を模った鳥
羽を広げた姿の鳥
参考文献
小林青樹 2012「中国北方地域における動物意匠と弥生文化」『栃木史学』第 26 号
この作品はクリエイティブ・コモンズの 表示 4.0 国際 ライセンスで提供されています。
クレジット表記例:「出典:こくとち360°まるみえミュージアム」・「出典:國學院大學栃木学園参考館」・"Kokutochi Museum"
このページは國學院大學栃木短期大学日本史フィールドの2021年度博物館実習の一環として作成したものです(公開開始2022.1.31)。
3Dデータは、野口淳氏、株式会社ラングの方法を参考に、Agisoft Metashare standard、Cloud compareを用いて作成しました。