鎧

紫糸威二枚胴具足

当館に所蔵されている鎧の1つである紫糸威二枚胴具足（むらさきいとおどしにまいどうぐそく）です。3Dモデルと解説を見て、どのような鎧なのか見てみましょう。

解説

鹿角脇立と巴紋全立を付けた烏帽子形（えぼしなり）兜、目の下頬面具、紫糸で鉄切付盛上札を毛引威（けびきおどし）した二枚胴で、草摺（くさずり）、袖、籠手、伊予佩楯（いよはいたて）、臑当（すねあて）、草履を備えた一作皆揃の当世具足である。いずれも金漆が塗られ江戸中期の特徴的な華麗な当世具足である。兜前立てに巴紋を付すが、具足各部に家紋等は無く、伝来は不明である。

語句説明

脇立：兜の両脇に付ける装飾物
前立：兜の真正面に付ける装飾物
烏帽子形兜：烏帽子のように、頭部を覆う部分が真っ直ぐに伸びた形の兜
鉄切付盛上札：鎧を構成する小さな板（小札）。鉄製で漆が塗られている。
毛引威：小札を上下に綴じる際に、小札の穴を1つ1つ隙間なく綴じること。
草摺：太ももを守るために、胴から糸で吊り下げた部分。
伊予佩楯：太ももと膝を守る防具。一般的に小札を簡略化した「伊予札」が使われている。

鎧の着方

右の画像は鎧の着方を描いたものです。これを使って着方を順番通りに並べてみましょう！

画像をクリックし、PDFをダウンロード・印刷して遊ぶことができます。

正解はこのページの下にあります。

２種類の鎧

鎧が実戦用と美術品に分けられていることを知っていますか？ここでは上の紫糸威二枚胴具足（美術品）と左の紺糸威五枚胴具足（実戦用）を使って、2種類の鎧の違いを解説していきます。

※［実］は実戦用の鎧、［美］は美術品の鎧　紺糸威五枚胴具足（読み方：こんいとおどしごまいどうぐそく）

【時代】

［実］室町時代末期～安土桃山時代

［美］江戸時代中期

【用途】

［実］鎧というと武士が着て戦っているイメージがあると思います。こういった鎧は槍主体の集団戦法や鉄砲を用いた戦闘に使われました。

［美］戦闘で使われることはなく、所有者の家柄を表す飾り甲冑として使われました。

確かに2つの鎧を見比べると美術品の鎧の方が派手ですよね！

【作り】

［実］防護機能を完備していて、頑丈かつ軽快な動きができるようになっています。

［美］江戸時代以前の、美しくて華やかな古式の鎧を彷彿とさせる作りになっています。

【素材】

［実］従来の小札より強い防御力を発揮する「板札」が使用されています。

［美］きらびやかで古風な、金銅製の飾り金具が使用されています。

以上4つの観点で比較しましたが、同じ鎧と呼ばれるものでも、こんなにも違いがあるのです！

並べ替えの答え

答えは切る前の画像の順番になります。どのくらい正しく並べられましたか？

参考文献

棟方武城『すぐわかる日本の甲冑・武具改訂版』（日本美術、2012年）

伊澤昭二『図説・戦国甲冑集決定版』（学研プラス、2003年）

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クレジット表記例：「出典：こくとち360°まるみえミュージアム」・「出典：國學院大學栃木学園参考館」または"Kokutochi Museum"

このページは國學院大學栃木短期大学日本史フィールドの2020年度博物館実習の一環として作成したものです（公開開始2020.8.31）。

３Dデータは、野口淳氏、株式会社ラングの方法を参考に、Agisoft Metashare standard、Cloud compareを用いて作成しました。

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