中根八幡遺跡から出土した、土製耳飾と推測される装身具※1です。
土製耳飾は、人生の通過儀礼※2で使用されたと考えられています。
また、墓からの出土例は少ないことから、死者ではなく生者の装身具であった可能性があります。
※1 装身具・・・装飾のために身につける工芸品。アクセサリー。
※2 通過儀礼・・・現在で言うところの七五三や成人式 。
浮き彫りのような模様はいくつかの遺跡で見つかっており、交流がうかがえます。
風車のような彫刻の模様が群馬県榛東村の茅野遺跡のものとよく似ています。
また、埼玉県桶川市後谷遺跡にも同じような模様が見られます。
全体の構成は栃木市藤岡町の藤岡神社遺跡出土のものと似ており、
三角の彫刻は小山市の寺野東遺跡に見られています。
このような模様が栃木県域特有の模様である可能性があります。
〈参考文献〉
設楽博巳 1989 「土製耳飾」『縄文文化の研究9 縄文人の精神文化』雄山閣
土肥 孝 1887 「東部の装身」『日本の美術 第369号 縄文時代の装身具』至文堂
春成秀爾 1997 「耳飾りの謎」『古代の装い』講談社
群馬県榛東村教育委員会 2021 榛東村遺跡発掘調査報告書 第12集 『茅野遺跡(二)遺物編』
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このページは國學院大學栃木短期大学日本史フィールドの2021年度博物館実習の一環として作成したものです(公開開始2022.1.31)。
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