解説
この地域では収穫したその日の内に、表皮から余分な水分を取り除いて乾燥しやすくし、長期保存ができるように「湯かけ」を行います。
「湯かけ」は「鉄砲桶(てっぽうおけ)」の中に「麻桶押さえ用の桶(あさおけおさえようのおけ)」と棒を渡して「鉄砲釜(てっぽうがま)」を自立させ、水を入れて沸かし、1~2分ほど熱湯の中に浸して行います。
この湯かけは全国的に珍しく、この地域で作られる野州麻が人気を博した所以です。
湯かけは深夜に及ぶこともあり、真夏の夜に筒からたなびく煙と炎はこの地域の風物詩でした。
本資料は、昭和28年~昭和43年に栃木市都賀町の古沢家で使用されたものです。
栃木県立博物館提供
近年ではこのような木製の器具での湯かけは、維持管理の面から行われなくなっており、鉄製の桶で行われることが多くなりました。
栃木県立博物館提供
「鉄砲釜」を直立させるために「麻桶押さえ用の桶」と棒で固定して「鉄砲釜」を動かないようにしました。
「麻桶押さえ用の桶」は固定器具の役割だけでなく、沸騰して時間がたってくると「鉄砲桶」の湯が少なくなり、結果的に温度の管理がうまくいかなくなるところを「麻桶押さえ用の桶」の中の湯を継ぎ足すことで麻の「湯かけ」を効率的に行うことが出来ました。
♢県央から西部に広がる足尾山麓一帯で作られていた野州麻は衣服や生活用品などに使われてきました、その植物繊維「麻」がどんなものに使われているでしょうか?探してみよう!
○ヒントは以下の画像です。
参考文献
『国指定重要有形民俗文化財 野州麻の生産用具』 平成20年3月28日発 栃木県立博物館編
『平成20年度春季企画展 野州麻~道具がかたる麻づくり~』 平成20年3月30日発 栃木県立博物館編
鉄砲釜の3Dデータはクリエイティブ・コモンズの 表示 4.0 国際 ライセンスで提供されています。
クレジット表記例:「出典:こくとち360°まるみえミュージアム」・「出典:國學院大學栃木学園参考館」または"Kokutochi Museum"
鉄砲釜等の図・写真の権利は栃木県立博物館が有しています。
このページは國學院大學栃木短期大学日本史フィールドの2021年度博物館実習の一環として作成したものです(公開開始2022.1.31)。
3Dデータは、野口淳氏、株式会社ラングの方法を参考に、Agisoft Metashare standard、Cloud compareを用いて作成しました。