2012

#028 (2012-1)

  • 講演者(所属): 田上大助(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所)

  • 題目: ある面積保存スキームを用いた移動境界を持つ流れ問題の数値計算

  • 日時: 2012年1月17日(火)17:00-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 123室 (アクセス)

  • 概要: 考える流体領域が時間に依存して変化するような移動境界を持つ流れ問題に対し, 様々な数値計算手法が提案されているが, 我々の知る限り, その数理的正当化などが十分に確立されたと言える状況ではない. 近年, Bene\v{s}--Kimura--Yazaki (2009) によって, 曲率項や面積保存性の自然な取り扱いが可能な移動境界を持つ多角形領域上の流れ問題に対して, 界面追跡法に基づく時間2次精度の数値計算手法が提案されている. そこで本講演では, Bene\v{s}--Kimura--Yazaki らの結果の発展の一つとして, 移動境界を持つ多角形領域上の Hele--Shaw 流れやStokes 流れで支配される流れ問題に対して, 界面追跡法に基づく時間2次精度の数値計算手法を提案する. さらに, 提案する手法に基づく数値計算から, 領域の面積保存性などに関する計算結果を報告する. なお, 本講演は九州大学の古田氏, 木村氏との共同研究である.

  • 備考: 開催時刻(17:00-18:00)と会場(123室)が通常と異なっていますので,御注意下さい.
    なお,数理科学研究科において,田上先生による集中講義が開かれます.

#029 (2012-2)

  • 講演者(所属): 高石武史(広島国際学院大学情報デザイン学部)

  • 題目: フェーズフィールドモデルによるき裂進展シミュレーションとその応用について

  • 日時: 2012年1月24日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 概要: 九州大木村と講演者は,Francfort-Marigoの提唱したき裂を含む物質のエネル ギーに関する表式を基に,システムのエネルギーの時間緩和からき裂の時間発展を表現する反応拡散型の方程式を導出した.このモデルではき裂進展に伴う数値計算の難点を解消しているため,大きな計算負荷無く,より複雑なき裂の進展を調べることができる.また,エネルギー勾配流によるシンプルなモデル導出を用いているため,様々な効果を含む拡張が容易となっている.本講演では,モデルの導出の概要とシミュレーション結果について述べるとともに,その応用について展望する.本研究は九州大学木村氏との共同研究である.

  • 備考:

#030 (2012-3)

  • 講演者(所属): Evangelos Makris (National Center of Scientific Research "Demokritos", Greece)

  • 題目: A patient-specific structured grid generation method, quality assessment and comparisons

  • 日時: 2012年3月19日(月)14:00-15:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 備考: 本セミナーは CREST Workshop: Recent Developments of Mesh Generation and Biofluidsの一部として開かれます.

#031 (2012-4)

  • 講演者(所属): 滝沢研二 (早稲田大学高等研究所)

  • 題目: Estimated zero-pressure (EZP) arterial geometry and mesh generation techniques for patient-specific cerebral aneurysm FSI analysis

  • 日時: 2012年3月19日(月)15:10-16:10

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 備考: 本セミナーは CREST Workshop: Recent Developments of Mesh Generation and Biofluidsの一部として開かれます.

#032 (2012-5)

#033 (2012-6)

  • 講演者: 石川英明

  • 題目: 量子力学と数値解析

  • 日時: 2012年4月24日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 概要: 量子力学は、粒子が粒子性と波動性の両方を持つ現象を扱う力学である。運動する粒 子はde Broglie波長 λ = h/p(hはPlanck定数、pは運動量)を持ち、その運動は確率 振幅に対するSchroedinger方程式に従う。粒子の波動性は、粒子のde Broglie波長と 同程度のサイズを持つ系で顕著に表れる。そうした系の例は、原子や分子内の電子、 半導体超格子内の電子や正孔、等である。量子力学は物質の構造と性質をミクロな階 層で理解し、利用するための基礎を与える。Schroedinger方程式の解法には、特殊関 数を使って解析的に解く方法や近似法がある。これらは量子力学の理解や定性的な議 論に有用である。しかしながら、解析解が得られる例は限られており、近似法の適用 範囲は意外と狭い。このため、数値解析が不可欠である。ところで、世の中で扱われ ている現実の物質系に量子力学を適用して知見を得るためには、高い数値計算精度が 必要である。高精度が得られなかった既存の数値解析の手法を見直すことで、我々 は、高精度かつ単純、高速な新しい計算手法を発展させてきた。本講演では、これら の発展を述べる。始めに、量子力学の概要、量子力学と数値計算との関係、数値計算 への要請と課題を述べる。次に、高精度な補間、数値微分、数値積分の計算手法を述 べる。更に、一次元の固有値問題と中心力場の動径固有値問題では、ポテンシャルを 与えてSchroedinger方程式の固有値と固有関数を計算するための高精度数値解法とそ の応用例を述べる。原子構造計算では、多体系のSchroedinger方程式に平均場近似 (Hartree近似等)を導入して得られる2階連立非線形常微分方程式を解くために、ポ テンシャル計算とセルフ・コンシステント計算を高精度に行う方法とそれらの結果に ついて述べる。

  • 備考:

#034 (2012-7)

  • 講演者(所属): 服部元史(神奈川工科大学情報メディア学科)

  • 題目: 非圧縮性 Navier-Stokes方程式を 粒子法の時間発展スキームで数値解析した時に 圧力の計算結果が振動する理由

  • 日時: 2012年5月8日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 概要: 飛び散る飛沫(しぶき)や砕ける波など複雑に変形する液体の運動をシミュレーションするべく、Lagrange 物質座標で表わされた Navier-Stokes 方程式を (その自由境界を捕捉する事なく) 数値解析する手法が、Moving Particle Semi-implicit (MPS) 法や Smoothed Particle Hydrodynamics (SPH) 法など粒子法という枠組みで研究されている。Navier-Stokes方程式の解を一意に定めるべく 非圧縮性を連立させて数値解析シミュレーションするにあたり、MPS法で空間離散化しようと SPH法で空間離散化しようと、時間発展スキームとしては、

    • 「 Step 1 : 流体粒子の仮の位置を計算する陽解法 Step 」と

    • 「 Step 2 : 陽解法で計算された粒子配置に基づいて Poisson 方程式から圧力分布を計算し粒子の位置を更新する半陰解法 Step 」

  • と、2つの Step を交互に繰り返すアルゴリズムが広く採用されている。ところが、この時間発展スキームで計算される圧力は時間的にも空間的にも振動してしまうという欠点が、幾つかの研究で報告されている。 この圧力振動問題の理由を、上記の時間発展スキームを 数学的に定式化し直すプロセスを通じて明らかにしながら、粒子法の今後の改善に関して考察を行う。なお本講演は、神奈川工科大学における服部元史(情報メディア学科)、藤井みゆき(情報教育研究センター)、田辺誠(機械工学科)の共同研究の成果である。

  • 備考:

#035 (2012-8)

  • 講演者(所属): 小山大介(電気通信大学大学院情報理工学研究科)

  • 題目: 多重散乱問題に対するDtN有限要素法とSchwarz法

  • 日時: 2012年5月22日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 概要: 物体(散乱体)による音波の散乱現象を記述する外部Helmholtz問題に対する数値解法について考える.特に,散乱体が複数ある場合について考える.
    Grote [J. Comput. Phys. 201, 630--650 (2004)]は,各散乱体を囲む複数の人工境界を導入し, その上で多重DtN(Dirichlet-to-Neumann)写像を定式化し,その写像を用いた境界条件を人工境界上で課し, 元の問題を人工境界で囲まれた複数の互いに素な有界領域における問題に帰着させ,有限要素法で解くという方法を見出した.
    本講演では,この方法の事前誤差評価を与える.問題は正定値性を持たないので,誤差評価の導出にはSchatzの方法を用いる.その際,共役問題の解の正則性が必要になるが,問題は非対称なので,その正則性に関する考察もあらたに必要になる.また,この方法で用いられる領域分割に基づく並列Schwarz法を紹介し,その収束性などについても述べる.

  • 備考:

#036 (2012-9)

  • 講演者(所属): 緒方秀教(電気通信大学大学院情報理工学研究科)

  • 題目: 代用電荷法とその発展

  • 日時: 2012年6月19日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 概要: 代用電荷法は偏微分方程式の数値解法のひとつである。元来は電気力学の問題の解法であり、電位ポテンシャルを複数の点電荷ポテンシャルの重ね合わせで近似するという素朴な方法である。計算は簡単であるが、ある条件のもとでは高精度を達成する(指数関数的収束する)ことが知られており、流体力学、波動問題、弾性問題など数多くの分野で応用されている。今回の講演では、代用電荷法に関する基礎事項を俯瞰して、講演者の代用電荷法に関する研究結果を紹介する。具体的には、周期的場の問題に対する代用電荷法、波動問題(ヘルムホルツ方程式境界値問題)に対する代用電荷法の理論誤差評価、双極子を用いた代用電荷法などを予定している。

  • 備考:

#037 (2012-10)

  • 講演者(所属): 保國惠一(総合研究大学院大学複合科学研究科)

  • 題目: 大規模最小二乗問題に対する内部反復前処理付きGMRES法

  • 日時: 2012年7月31日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学工学部6号館3階セミナー室C (372号室) (工学部へのアクセス) (工学部6号館)

  • 概要: The conventional methods for solving large least squares problems such as the CGLS and LSQR methods suffer from slow convergence for ill-conditioned problems. Then, one can use a technique called preconditioning to accelerate the convergence. Conventional preconditioners require CPU time and memory for computing factors of a preconditioning matrix. In this talk, we introduce inner-iteration preconditioning using stationary iterative methods, and show that a sufficient condition under which the generalized minimal residual method (GMRES) preconditioned with the inner iterations determines a least squares solution without breakdown is that the iteration matrix is semi-convergent. This condition is satisfied by the Jacobi and successive overrelaxation (SOR) methods applied to the normal equations. Moreover, we analyse the spectrum of the preconditioned matrix. Finally, numerical experiments show that the method is superior to previous methods, especially for ill-conditioned and rank-deficient problems.

  • 備考: 本郷キャンパスでの開催です.御注意下さい.

#038 (2012-11)

  • 講演者(所属): 木村拓馬 (早稲田大学理工学術院)

  • 題目: 放物型初期値境界値問題に対する精度保証付き数値計算

  • 日時: 2012年10月9日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 概要: 本講演では,中尾充宏校長(佐世保工業高等専門学校),木下武彦研究員(京都大学RIMS)と講演者による,放物型初期値境界値問題に関する共同研究の成果を発表する.特に,熱方程式に対する時間方向に補間を用いた近似の誤差評価, その応用による線形放物型問題に解を与える作用素のノルム評価, 及びこれらの応用による非線形問題の解の存在に対する計算機援用証明について述べる.

  • 備考:

#039 (2012-12)

  • 講演者(所属): 川中子正(東京工業大学大学院理工学研究科)

  • 題目: 半線形偏微分方程式に対するガレルキン法の誤差解析

  • 日時: 2012年10月30日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 概要: 半線形偏微分方程式への応用を目的として、ヒルベルト空間上の抽象的非線形方程式に対するガレルキン近似解の存在および誤差解析に関する結果を紹介する。誤差解析に関する主な結果は次のようである:

    • 真の解とガレルキン近似解との誤差は、ガレルキン近似解の残差と同位の無限小である。

    • 真の解のガレルキン近似部分空間への直交射影とガレルキン近似解との誤差は、 真の解とガレルキン近似解との誤差より高位の無限小であり、また、前者の有用な減衰評価式を紹介する。

  • 上述の結果は、半線形偏微分方程式の解の数値的検証アルゴリズムの品質を調べることに応用できる。

  • 備考:

#040 (2012-13)

  • 講演者(所属): 曽我部知広(愛知県立大学大学院情報科学研究科)

  • 題目: 一般化シフト線形方程式に対するクリロフ部分空間法の最近の進展

  • 日時: 2012年11月13日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学工学部6号館3階セミナー室C (372号室) (工学部へのアクセス) (工学部6号館)

  • 概要: クリロフ部分空間法は大規模疎行列用の線形方程式の数値解法であり, 近年,特に量子力学に基づく大規模電子構造計算において一般化シフト 線形方程式とよばれる複数の特殊な線形方程式を高速に解く需要が 生じている.そこで本講演では,クリロフ部分空間法の最近の進展を 概観後,一般化シフト線形方程式の数値解法の最近の進展について述べる.

  • 備考: 本郷での開催です.ご注意ください.

#041 (2012-14)

  • 講演者(所属): 金山寛(九州大学大学院工学研究院)

  • 題目: Tsunami simulation of Hakata Bay using the viscous shallow-water equations

  • 日時: 2012年12月4日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 概要: The tsunami caused by the great East Japan earthquake gave serious damage in the coastal areas of the Tohoku district. Numerical simulation is used for damage prediction as disaster measures to these tsunami hazards. Generally in the numerical simulation about the tsunami propagation to the coast from an open sea, shallow-water equations are used. This research focuses on viscous shallow-water equations and attempts to generate a computational method using finite element techniques based on the previous investigations of Kanayama and Ohtsuka (1978). First, the viscous shallow-water equation system is derived from the Navier-Stokes equations, based on the assumption of hydrostatic pressure in the direction of gravity. Next the numerical scheme is shown. Then, tsunami simulations of Hakata Bay and Tohoku-Oki are shown using the approach. Finally, a stability condition in L2 sense for the numerical scheme of a linearized viscous shallow-water problem is introduced from Kanayama and Ushijima (1988-1989) and its actual effectiveness is discussed from the view point of practical computation. This presentation will be done in Japanese.

  • 備考: