2010

#001 (2010-1)

  • 講演者(所属): 小林健太 (金沢大学理工学域)

  • 題目: On the interpolation constant over triangular and rectangular elements

  • 日時: 2010年4月21日(水)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室

  • 概要: 本講演は二部構成となっている. 第一部は,有限要素法の誤差評価などに用いられる,三角形要素上の補間誤差定 数について解説する.このトピックについては劉・菊地による先行研究があるが, 本講演では新たな方法に基づいて得られた更に精密な結果について報告する. 第二部としては,長方形要素上で重調和問題を解く際に必要となる,ある ノルム不等式に現れる定数について解説する.その定数は,存在は証明されている ものの,具体的な上からの評価は今まで得られていなかったものである.


#002 (2010-2)

  • 講演者(所属): 荻田武史 (東京女子大学現代教養学部)

  • 題目: 悪条件行列の高精度な分解法とその応用

  • 日時: 2010年5月12日(水)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室

  • 概要: 与えられた行列の条件数が非常に大きい場合, 基本精度(倍精度演算など)による演算で通常の行列分解アルゴリズム(LU分解,固有値分解など) を実行しても,精度の良い結果を得ることはできない.本講演では,そのような行列に対しても, 基本精度による演算だけを用いて精度の良い結果を得ることができるロバストなアルゴリズムを紹介する.


#003 (2010-3)

  • 講演者(所属): 松家敬介 (東京大学大学院数理科学研究科D1)

  • 題目: Existence and non-existence of global solutions for a discrete semilinear heat equation

  • 日時: 2010年5月26日(水)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室

  • 概要: 本講演では藤田型半線形熱方程式のある離散化を報告する. 藤田型半線形熱方程式の初期値問題に対して,時間大域解の存在及び非存在について藤田指数によ る結果が知られている. 本講演で報告する離散化はこの藤田指数に関する結果を保つ離散化となっており, その様子を証明の概略とともに解説する.


#004 (2010-4)

  • 講演者(所属): 松本純一 (産業技術総合研究所)

  • 題目: 直交基底気泡関数有限要素法による流体解析と応用計算

  • 日時: 2010年6月9日(水)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室

  • 概要:本講演では、気泡関数要素を使用した有限要素解析において質量行列の近似(集中化)を行わずに、質量行列が自然に対角行列となる気泡関数要素(直交基底気泡関数要素)による安定化手法を解説し、非圧縮流れ、圧縮性流れ、浅水長波流れ、気液二相流れなどの流体解析および形状最適化問題、アダプティブ有限要素法への適用例について紹介する。


#005 (2010-5)

  • 講演者(所属): 村川秀樹 (富山大学大学院理工学研究部(理学))

  • 題目: 非線形交差拡散系の数値解法—反応拡散系近似理論の応用—

  • 日時: 2010年6月23日(水)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室

  • 概要: 多成分反応拡散系において、他の成分同士、拡散が相互に依存しあっているときに、拡散が交差していると言い、そのような系は交差拡散系と呼ばれる。2種生物種の競合問題におけるお互いの動的な干渉作用を記述する重定-川崎-寺本モデルは非線形交差拡散を含む問題の代表例である。非線形交差拡散系に対する効果的な数値解法は個別の問題に対して構成され、解析されるのが現状である。現象のモデリングを行う場合など、パラメータの変更のみでなく、非線形項そのものを変えて多くの数値実験を行いたい場合がある。この様な状況に対応するために、汎用的で簡便な数値解法が望まれる。講演では、非線形交差拡散系を近似するある半線形反応拡散系を媒介することにより、そのような数値解法を導出、解析し、数値計算を通してその有用性を示す。時間が許せば、半線形反応拡散系を用いた退化放物型方程式の数値解法についても触れたい。

  • 備考: 村川先生は、6月24日(16:00-17:30)の「応用解析セミナー」でも御講演をされます。 詳細はhttp://seminar.ms.u-tokyo.ac.jp/applana/index.html


#006 (2010-6)

  • 講演者(所属): 天野要(愛媛大学大学院理工学研究科)

  • 題目: 代用電荷法による多重連結領域の数値等角写像

  • 日時: 2010年7月7日(水)17:00-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 概要: 多重連結領域の等角写像では,平行スリット領域,円弧スリット領域,放射スリット領域,円弧スリット円板領域,円弧スリット円環領域という5種の正準スリット領域が広く知られている(Nehari, 1952).遡って,Koebe(1916)はこれらを含む39種の正準スリット領域を挙げている.近年,このような多重連結領域の問題が新たに注目されている.代用電荷法を適用して,このような様々な等角写像の表現が簡潔で精度の高い近似写像関数を簡単に構成することができる.ここでは,非有界な多重連結領域から(実軸となす角を任意に指定した一般的な)直線スリット領域と,円弧放射スリット(混在)領域への場合中心に,代用電荷法による多重連結領域の数値等角写像の方法を紹介する.

  • 備考: 開催時刻(17:00-18:00)が通常と異なっていますので,御注意下さい.なお,数理科学研究科において,天野要先生による集中講義が開かれます.


#007 (2010-7)

  • 講演者(所属): 金森正史 (東京大学大学院工学系研究科D2)

  • 題目: 特性曲線理論に基づくCFD解析結果からの衝撃波検出・可視化手法とその応用

  • 日時: 2010年7月21日(水)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学工学部 6号館103号室(応物系大会議室)

  • 概要: 圧縮性流体の支配方程式であるEuler方程式は,双曲型に分類され典型的な波動現象を表す.このような双曲型方程式の数学的な厳密解を構成する際の重要な概念に特性曲線の理論がある.これは,特性曲線に沿って保存される不変量を利用して解を構成するものであり,厳密解を構成する場合だけでなく,圧縮性流体力学などの双曲型方程式に支配される現象の数値解析手法の基本にもなっている.衝撃波はこの特性曲線同士が衝突することによって発生する不連続な波動であり,その可視化には一般に等高線が用いられるが,それには様々な困難が伴う.そこで本研究では,特性曲線の衝突する部分を直接求める方法を提案し,従来の可視化手法における困難を克服する.また,時間があれば,この手法の応用についての議論も行いたい.

  • 備考: 今回は,本郷キャンパスでの開催になります.御注意下さい.また,教室が変更になる場合がありますので,開催日直前に場所の再確認をお願いします.


#008 (2010-8)

  • 講演者(所属): 及川一誠 (東京大学大学院数理科学研究科D3)

  • 題目: 定常移流拡散方程式に対するハイブリッド型不連続Galerkin法

  • 日時: 2010年7月28日(水)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 概要: 本講演では,ハイブリッド型不連続Galerkin(HDG)法による, 定常移流拡散方程式の新しい数値計算スキームを紹介し,定式化や誤差評価,安定性等について述べる. 新スキームの有効性を確認するために,数値計算例もいくつか示す. なお,講演前半は準備として,Poisson方程式に対するHDG法について解説する.


#009 (2010-9)

  • 講演者(所属): 岡山友昭 (一橋大学大学院経済学研究科)

  • 題目: 第二種積分方程式に対するSincスキームの理論解析

  • 日時: 2010年10月26日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 128室

  • 概要: 高性能な数値計算法である「Sinc 法」に基づいたスキームが、近年第二種積分方程式に対し提案されてきた。実際、数値実験結果は提案された Sinc スキームの高性能さを示唆している。ただし、既存のスキームは(1)方程式の解に依存するパラメータを用いて設計されており、また(2)スキームの可解性や収束性が理論的に示されていない、という二つの難点があった。それに対し、著者は理論解析に基づいてこれらの難点の克服を行っており、本講演ではその成果について紹介する。

  • 備考: 会場は駒場キャンパスの数理科学研究科ですが,いつもと教室が異なりますのでご注意ください.また,今回より,開催曜日が火曜日に変更になりました.水曜日を予定されていた方々にはお詫びいたします.


#010 (2010-10)

  • 講演者(所属): 成島康史 (福島工業高等専門学校)

  • 題目: 大規模無制約最適化問題に対する最近の話題とその周辺

  • 日時: 2010年11月9日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学工学部6号館3階セミナー室C(372号室)

  • 概要: 無制約最適化問題に対する数値解法として,ニュートン法や準ニュートン法などといった行列を利用した方法が有効な方法としてよく知られているが,近年,行列を使用しない,非線形共役勾配法やBarzilai-Borwein法などといった数値解法が注目を集めている.本発表では発表者による研究も含め,行列を使用しない数値解法の近年の研究を紹介する. さらに,発表者は微分不可能な方程式系に対する非線形共役勾配法を提案しており,時間があればそれについてもふれる予定である.

  • 備考: 今回は,本郷キャンパスでの開催です.御注意下さい.


#011 (2010-11)

  • 講演者(所属): 劉雪峰 (早稲田大学/CREST, JST)

  • 題目: 任意多角形領域上での楕円型作用素に対する精度保証付き評価

  • 日時: 2010年11月16日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 概要: 発表者は最近,2次元任意多角形領域で の楕円型微分作用素に対する固有値評価方法を提案した. 提案の方法は,有限要素空間で固有値を計算し,その有限要素解の計算的な事前誤差評価を構築した上で,数学的に厳密な固有値の評価を行います.発表では,以下のことを説明予定です.

    1. 非凸な領域である場合,Hypercircle式を用い,ポアソン問題の有限要素解の事前誤差評価;

    2. Minmax定理とMaxmin定理によって,ラプラス作用素の近似固有値の事前評価(Birkhoffの理論等);

    3. 行列の一般化固有値問題の精度保証付き計算;

    4. 固有値評価の応用:誤差定数の評価と微分方程式の解の安定性

  • 備考:


#012 (2010-12)

  • 講演者(所属): 青木康憲 (University of Waterloo/国立情報学研究所)

  • 題目: 楕円型偏微分方程式の特異解への有限体積要素法の有用性

  • 日時: 2010年11月30日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室

  • 概要: 有限体積要素法の利点として一般的には局所保存性があげられる。しかしながら当手法の特異点を持つ偏微分方程式の解への有用性に着目した研究はあまり見られない。本講演では、数値実験を通して有限体積要素法が特異点を持つ解の近似に適しているという我々の考えを説明したい。


#013 (2010-13)

  • 講演者(所属): 高安亮紀(早稲田大学大学院基幹理工学部D1)

  • 題目: 楕円型非線形偏微分方程式のDirichlet境界値問題に対する精度保証付き数値計算法

  • 日時: 2010年12月7日(火)16:30-18:00

  • 場所: 東京大学大学院数理科学研究科 002室 (アクセス)

  • 概要: 本講演では楕円型非線形偏微分方程式のDirichlet境界値問題の解に対する 精度保証付き数値計算方法について述べる.提案手法は先行研究とは違う新しい精度保証方法である. Newton-Kantorovichの定理を使用し,真の解の存在証明とその近似解との誤差を数学的に正しく計算する. 講演では我々の提案手法の詳細と今後の課題について説明する

  • 備考: