FAQ.NMR化学シフト基準

化学シフト補正の種類

水系溶媒のケミカルシフト基準物質

有機溶媒で用いられるケミカルシフト基準物質TMSは水に溶けません。その代わりとなる基準物質は古くから数種類が用いられてきました。それらを何ppmに合わせたかによってケミカルシフトは当然変わります。過去のデータと照らし合わせる際には必要に応じてケミカルシフトを換算する必要があります。

よく用いられる(た)のは以下の化合物です。

これらを混合して13C-NMRを測定し、TSPを0.0ppmにあわせると、それぞれ以下のケミカルシフトとなりました。この数値をもとに、ずれを補正してください。

たとえば、dioxaneを67.3ppmとしたデータに2.07ppm加えると、TSPを0.0ppmとした値になります。

オリゴ糖の解析ではデータ集や総説での13C化学シフト基準がdioxane 67.3ppmとなっているものが多い

多核の化学シフト補正

その核で一般的に用いられる基準物質を内部標準、または外部標準として用いるか、絶対化学シフト補正(間接化学シフト補正)により行います

後者は、プロトンNMRのTMS 0.00 ppm  を基準として、他の核種の中心周波数をTMSの共鳴周波数に対するパーセンテージとしてunified chemical shift scale(絶対スケール)を定義しています.プロトンNMRのTMS 0.00 ppm  の実測の周波数に、IUPACのΞ値(1Hとその核の0ppmの周波数の比)をかけてその核のNMRスペクトルの仮想的なTMSの周波数を求め、そこが0ppmになるように合わせます.