生物と光の関係をひもとく
Understanding the relationship between life and light in marine ecosystems through genetics.
吉澤 晋 (Susumu Yoshizawa)
キーワード:海洋微生物、微生物生態、海洋細菌、光従属栄養性、ロドプシン、生物発光
Keywords: Marine microbiology, microbial ecology, marine bacteria, photoheterotrophy, rhodopsin, bioluminescence
生物が何色の光を、何に使っているのか?
植物はなぜ緑色なのか?緑色の光をエネルギーとして使う生物はいるのか?川に住む魚は何色を見ているのか?海に住む魚はそれとは違う色を見ているのか?チョウチンアンコウのチョウチンは何色に光るのか?
色への興味を出発点にし、様々な生物と光の関係を遺伝子解析を通して明らかにしたいと思っています。
私の研究室では主に海洋微生物を対象にして、1. 微生物型ロドプシンの光エネルギー利用、2. 発光微生物の生態や進化、3. 海洋(微)生物の群集動態(オーシャンDNAプロジェクト)、4. 藻場や水族館の微生物群集動態、5. 底生生物の共生微生物、6. 新しい微生物種の提案、7. 微生物の光防御機構に関する研究を行なっています。また、学術研究船を用いたサンプリングを通して、海洋微生物のメタゲノムや分離培養なども行っています。海洋微生物の分離培養、ゲノム解析、網羅的ゲノム解析(メタゲノム)などを通して、海に生きる微生物の生き様を明らかにしたいと思っています。
What colors of light do organisms use, and for what purposes?
Why are plants green? Are there organisms that use green light as an energy source? What colors can fish living in rivers see? Do fish living in the ocean see different colors? What color does the lure of an anglerfish glow?
Starting from an interest in color, we aim to uncover the relationships between various organisms and light through genetic analysis.
In my laboratory, we primarily focus on marine microorganisms and conduct research in the following areas: 1. The utilization of light energy by microbial rhodopsins, 2. The ecology and evolution of bioluminescent microorganisms, 3. Community dynamics of marine (micro)organisms (Ocean DNA Project), 4. Microbial community dynamics in seagrass beds and aquariums, 5. Symbiotic microorganisms of benthic organisms, 6. The proposal of new microbial species, and 7. Research on microbial light protection mechanisms.
We also conduct metagenomic analyses of marine microorganisms through sampling using research vessels. Through isolation and culture, comparative genomics, and metagenomic analyses, we aim to uncover the lifestyles of microorganisms living in the ocean.
チョウチンアンコウ*を持つ私
*チョウチンアンコウは発光器に発光微生物(細菌)を共生させています
Me with an Anglerfish: The anglerfish hosts bioluminescent microorganisms (bacteria) in its light-emitting organ.
なぜ海洋生物なのか?
地球は表面の約7割が海に覆われている惑星です。我々が日々食する豊かな海産物を育む環境でもあります。では、我々は海のことを知り尽くしているのか?
実はそうでもありません。
海はとにかく大きい、そしてアクセスが困難という点から、まだまだ分かっていなことも多く、今もなおフロンティアなフィールドです。海洋表層では植物プランクトンによる光エネルギー利用が活発に行われており、地球上の光合成の約半分を担っています。一方、深海の大部分は光の届かない暗黒の世界ですが、目を持たない魚はほとんどいません。生物は太陽光が届く環境であればその光をエネルギーや視覚情報として利用しますし、届かなければ自ら発光するメカニズムを作り出しコミュニケーションに利用します。どうやら、生物と光は切っても切れない関係のようです。そんな生物と光のふか〜い関係を海洋という魅力的な舞台で研究しています。
Why Study Marine Life?
Earth is a planet where about 70% of the surface is covered by oceans. It is also the environment that nurtures the rich seafood we consume daily. But do we really know everything about the ocean?
The truth is, we don’t know much about the ocean.
The ocean is vast and difficult to access, which means there is still much we don’t understand. Even today, it remains a frontier. In the surface layer of the ocean, phytoplankton actively utilize light energy, accounting for about half of the photosynthesis on Earth. On the other hand, the deep sea is a dark world where sunlight doesn’t reach, yet almost all fish have eyes. Organisms use sunlight for energy and visual information when it’s available, and when it’s not, they develop mechanisms to produce their own light for communication. It seems that the relationship between organisms and light is inseparable. We study this deep and fascinating relationship between life and light on the captivating stage of the ocean.
なぜ微生物なのか?
生物の40億年の歴史の大部分は微生物によって担われ、地球上の生物生息可能域の大部分は微生物のみによって占められています(微生物の歴史は生物の歴史です!)。また、近年の研究から“地球規模での物質循環”や“生態系を流れる太陽光エネルギーフロー”を駆動する生物の主役は微生物だということが徐々に分かってきました(生態系を支える縁の下の力持ちでもあります)。それにもかかわらず微生物(特に微生物の生態)の研究と聞くと、なんだか馴染みがなく、地球環境にあまり関係の無い分野だなと感じる人が多いかもしれません。それではなぜ、微生物の研究がそれほど一般的ではないのか?それは他の生物に比べて分かっていないことが多すぎるからです。まだまだ、何をエネルギーにして、どのようなライフスタイルを持つのかすらも分かっていない未知微生物が山のように存在しています。地球生態系の基盤を支える微生物は依然として謎だらけの存在なのです。
Why Study Microorganisms?
The vast majority of Earth's 4-billion-year history has been shaped by microorganisms, and they occupy most of the habitable zones on our planet (the history of microorganisms is the history of life!). Recent research has gradually revealed that microorganisms are the key players driving global material cycles and the flow of solar energy through ecosystems (they are the unsung heroes supporting ecosystems). Despite their significance, when people hear about microbial research, especially in the context of microbial ecology, it often feels unfamiliar, perhaps even disconnected from the broader field of environmental science.
So, why isn't the study of microorganisms more mainstream? The answer lies in how much remains unknown compared to other forms of life. There are countless unknown microorganisms out there, whose energy sources and lifestyles are still a mystery. Microorganisms, the foundation of Earth's ecosystems, remain shrouded in enigma.
大学院生を募集しています
そんな未知がたくさん詰まった微生物の生命現象や生態に興味を持ち、彼らの生き様や役割を一緒に解き明かしてくれる学生を求めています!
大学院生として研究室に参加するには以下の専攻の入試を受ける必要があります。まずは吉澤までお問い合わせください。
東京大学 新領域創成科学研究科 自然環境学専攻 (入試情報)
修士課程の入試日程(出願期間は毎年6月中旬、入試は8月です)、博士課程の入試日程(出願期間は毎年11月下旬、入試は2月です)
筆記試験:英語(TOEFL やIELTSも対応)と専門科目(環境学、物理学、化学、生物学、地学、水産学、景観学)より2つを選択。
過去問はこちらから手に入ります。
tayo.jpにも大学院生募集の記事を掲載しています。リンクはこちら
We Are Recruiting Graduate Students
We are looking for students who are interested in the unexplored life phenomena and fascinating ecology of microorganisms and who are eager to uncover their lifestyles and roles alongside us! To join our lab as a graduate student, you must pass the entrance examination. Please contact Yoshizawa for more information.
研究紹介動画
大気海洋研究所の研究紹介動画が公開されました。
『広大な空と海の謎を探求する。
そんな科学者たちに欠かせない研究道具や生物=“相棒”を紹介する動画です』
YouTube動画へのリンク
アストロバイオロジークラブ(2023年11月11日)で行ったオンラインセミナーもリンク先からご覧になれます。
What's new
2023年度出版Microbes and Environments誌の論文賞を受賞しました!(2024年10月)
研究紹介動画が公開されました!(2023年4月)リンクはこちら(YouTubeです)
藤原さん(D1)の研究成果がNature誌に掲載されました。(2023年3月2日)
発光細菌の分離方法をこちらにまとめました!
サイエンス誌に載った日本人研究者に掲載されました。リンクはこちら
Past activity
日本微生物生態学会第37回 広島大会にラボの研究員&大学院生と一緒に参加しました。(2024年10月)
第39回ユーグレナ研究会で研究発表をしました!(2024年10月)
第 74 回日本放線菌学会学術講演会で講演してきました!(2024年10月)
KS-24-19次新青丸航海に乗船しました!(2024年9月)
ラボの研究員&大学院生が The 14th ASME (Asian Symposium of Microbial Ecology)に参加する予定です。(2024年9月)
微生物グループの大気海洋科学サマー・インターンシップが開催されました。様々な大学から学部生7名が参加し、新種微生物の探索を行いました。(2024年8月)
ISME19@ケープタウン(南アフリカ)に参加しました。コンビーナーとして『New microbial physiologies and metabolic capacities』を運営し、研究発表を行いました。(2024年8月)
TAIWAN-JAPAN BILATERAL SYMPOSIUM OF CRITICAL MARINE ECOSYSTEMS@Marine Research Station, Institute of Cellular and Organismic Biology, Academia Sinicaに参加し発表しました。(2024年6月)
JpGU2024@幕張メッセに参加し発表しました。(2024年5月)
新領域創成科学研究科自然環境学専攻のオンライン入試説明会が開催されました!(2024年5月19日)
微生物グループで新入生の歓迎BBQパーティーを開催しました!(2024年5月)
大気海洋研究所の進学ガイダンスが開催されました!(2024年4月27日)
自然環境学野外総合実習を行いました!(2024年4月19日)
日本農芸化学会2024年度大会@東京農業大学で発表しました。(2024年3月)
新領域の融合研究推進シンポジウム「生物の足跡・痕跡」に参加し、発表しました。(2024年3月18日)
スーパーカミオカンデのタンク中の微生物を調べに行ってきました。(2024年3月)
海洋地球研究船「みらい」MR24-01C航海に研究室メンバー4名と乗船しました。(2024年2月12-29日)つぶやきまとめ
広島大学でセミナーをさせていただきました!(2024年2月5日)
TREC Japanのサンプリングを実施しました。(2024年1月29日-2月1日)
新領域創成科学研究科自然環境学専攻のB日程の入試が実施されました。(2024年1月29-30日)
東葛飾高等学校で「大学院ってどんなところ~柏市にある東京大学」を開催しました。(2024年1月17日)
2023年度も残りもう少し、お世話になった皆様、本年もありがとうございました。(2023年12月25日)
広島大学でセミナーを行いました。(2023年12月11日)
日本微生物生態学会第36回@浜松に参加しました(2023年11月27日-30日)
アストロバイオロジークラブでオンラインセミナーを行いました。(2023年11月11日)
東京大学大気海洋研究所のオンライン進学ガイダンスが開催されました。(2023年11月11日)
北里大学大城研究室に共同研究の打ち合わせに行ってきました!(2023年11月8日)
OceanDNAテック2023@大気海洋研究所で講演しました。(2023年11月1日)
柏キャンパス一般公開が開催されました。(2023年10月27日-28日)
中国科学院海洋研究所@青島&上海でセミナーを行いました。(2023年10月17日-20日)
新領域創成科学研究科新入生歓迎会(BBQ 大会) が久しぶりに実施されました(実行副委員長)。(2023年10月12日)
奄美病害動物研究施設の改築記念シンポジウムで奄美大島沿岸域の海洋微生物に関する発表を行いました。(2023年10月5日)
日本植物学会第87回大会@札幌のシンポジウム『地球上のどこでも光合成を可能にする分子レベルのライフハック』で発表しました。(2023年9月7日)
大気海洋研究所サマーインターンシップが開催されました。(2023年8月8-10日)
大気海洋研究所スプリングインターンシップが開催されました。(2023年3月29-31日)
奄美大島にサンプリングに行ってきました。(2023年3月)
千葉県立東葛飾中学校・高等学校にて「大学院ってどんなところ?〜柏市にある東京大学」と題する講座を担当させていただきました。(2022年11月)
大気海洋研究所進学ガイダンスが開催されました。(2022年10月22日土曜日)*研究に興味のある方は吉澤まで直接連絡をお願いします(Tayo)。
大気海洋研究所のサマー・インターンシップが開催されました!(2022年8月)
国際微生物生態学会 (ISME18)@ローザンヌに参加し、研究発表を行いました。(2022年8月)
自然環境学専攻の入試案内はこちらです。(2022年5月)
大気海洋研究所の進学ガイダンスが開催されました。(2022年5月29日)
大気海洋研究所のウィンター・インターンシップが開催されました!(2022年4月)
学術研究船『白鳳丸 (KH-22-5)』に乗船してきました!!!(2022年3月)
研究成果のプレスリリース をだしました!(2022年2月28日)
淡青43号(東京大学広報誌)に研究の紹介記事が掲載されました。(2021年9月) PDFはこちら
「tayo meeting vol. 1 光生物学」でお話ししました。オンライン( 7/19日 19:00-)
全学自由研究ゼミナール(大気海洋科学の最前線2021)で講義を担当しました。オンライン(2021年7月1日)
自然科学サロン2021Sで講義を担当しました。@駒場キャンパス(2021年6月10日)
自然環境学専攻の入試案内はこちらです。(2021年5月)
大気海洋研究所の進学ガイダンスが開催されました。(2021年5月29日)
大学院進学希望者のための入試説明会が実施されました。(2021年5月1日(土)、5月8日(土))
自然環境学専攻 大学院進学希望者のための相談会(2021年2月14日)が開催されました。リンクはこちら
インタビュー記事がASCIIに掲載されました!(2020年12月30日)
大気海洋研究の進学ガイダンスが開催されました!2020年12月20日(日)詳細はこちらをご覧ください。
日本海洋学会2020年度秋季大会にオンラインで参加しました。(Nov. 27-29, 2020)
日本地球化学会第67回オンライン大会にオンラインで参加しました。(Nov. 19-21, 2020)
環境DNA学会第3回大会・第36回個体群生態学会大会にオンラインで参加しました。(Nov. 14-16, 2020)
自然環境学専攻の入学試験情報が公開されました。今後も修正される可能性がありますので、小まめなチェックをお願いします。(May 19, 2020)
自然環境学専攻の入試に関する動画が公開されました。
大気海洋研究所の進学ガイダンスがオンラインで開催されました。(May 17, 2020)
大気海洋科学スプリング・インターンシップが開催予定でしたが、残念ながら延期になりました。
柏キャンパスサイエンスキャンプで講義を担当しました。(Feb. 18-21, 2020)
大学院進学希望者のためのオープンラボが開催されました。(Feb. 13, 2020)
浙江大学(中国)で開催されるシンポジウムに参加予定です。(Nov. 21-24, 2019)
第2回環境DNA学会@神戸に参加します。(Nov. 3-4, 2019)
甲南大学でセミナーをさせていただきます。(Nov. 1, 2019)
大気海洋研究所(東大柏キャンパス一般公開2019)の一般公開が大盛況でした。(Oct. 25-26, 2019)
共生起源研究会@基礎生物学研究所(愛知県)で講演しました。(Sep. 26, 2019)
琉球大学熱帯生物圏研究センターでセミナーをさせていただきました。(Sep. 24, 2019)
日本微生物生態学会33回大会で以下のシンポジウムを行いました。(Sep. 10-13, 2019)
9月13日 シンポジウム3 「データは城・データは石垣―バイオインフォが築き上げる難攻不落の微生物生態学―」
新領域創成科学研究科の入試日程:出願期間 6月13日〜19日、入試A日程 8月1日〜3日です。
中国海洋大学@青島で海洋微生物の講義を行いました。(Jul. 24, 2019)
市川中学校・高等学校の土曜講座で講演しました。(Jun. 1, 2019)
生命科学概論 (先端生命科学専攻)で講義を行いました。(May 24, 2019)
大気海洋研究所の進学ガイダンスが開催されました。(May 19, 2019)
新領域創成科学研究科環境学系の入試説明会が柏キャンパスで開催されました。(May 12, 2019)
福井工業大学の柏山研究室で共同研究打合せ&セミナーをさせていただきました。(May 7, 2019)
スタンフォード大学のKarl Deisseroth研究室で共同研究打合せ&セミナーをさせていただきました。(April 24-28, 2019)
静岡大学の成川研究室でセミナーをさせていただきました。(April 18, 2019)
自然環境学野外総合実習に参加しました。(April 4-5, 2019)
平成30年度学位授与式@本郷キャンパス&祝賀会@学士会館に参加しました。(Mar. 25, 2019)
ハワイ大学マノア校で研究打合せ。今回はUniversity of Hawaiʻi at MānoaのC-moreとPBRCに訪問しました。(Mar. 10-13)
柏キャンパスサイエンスキャンプで駒場生を対象とした研究室体験プログラムを行いました。(Feb. 19-22, 2019)
東京大学医科学研究所奄美病害動物研究施設@奄美大島にサンプリングに行きました。(Jan. 28-30)
バイオナノフォトニクス新産業創造研究会@大阪で講演しました。(Jan. 23, 2019)
新学術領域研究「化学コミュニケーションのフロンティア」第二回若手シンポジウム@東京で発表しました。(Jan. 10, 2018)
大学院進学希望者のためのオープンラボ(進学ガイダンス)が開催されました。(Nov. 11, 2018)
東京大学柏キャンパスの一般公開。(Oct. 26-27, 2018)
慶應大学先端生命科学研究所@鶴岡タウンキャンパスで講義を行いました。(Oct. 2, 2018)
第1回環境DNA学会東京大会@日本科学未来館で発表しました。(Sep. 29-30, 2018)
日本生物物理学会年会第56回@岡山大学(岡山)で発表しました。(Sep. 15-17, 2018)
ISME17 (17th International Symposium on Microbial Ecology) @Leipzig(ドイツ)で発表しました。 (August 12 - 17, 2018)
日本微生物生態学会第32回大会@沖縄コンベンションセンター(沖縄)で発表しました。(July 12-13, 2018)
日本微生物資源学会第25回大会@国立環境研究所(つくば)で発表しました。(June 13-15, 2018)
First International Conference on Marine Flavobacteria@コルシカ島(フランス)で発表しました。(June 4-8, 2018)
個人ページ(このサイト)を公開しました。(May, 2018)
自然環境学野外総合実習@三崎臨海実験所に参加しました。(April 5-6, 2018)