0807情報モラル

「危険だから使わせない」は通用しません

これからの社会のキーワードは、「人生100年時代=マルチライフステージ」、「Society5.0」、「VUCA」、「シンギュラリティポイント」などと言われています。

子供たちに必要な資質・能力として、

一人一人の児童生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の作り手となることができるようにすることが公表されています。(中教審「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(答申))

◎これらの資質・能力を育むためには、新学習指導要領の着実な実施が重要

◎これからの学校教育を支える基盤的なツールとして、ICTの活用が必要不可欠

子供たちの学びの場面で情報技術を使わないという選択肢はありません。

「受動型」から「活用型」へのアップデートを

情報モラル教育は、社会的背景に合わせて教育方法が変わってきました。テレビや新聞などの片方向情報の時代は、受け手としての教育、その後、インターネットの普及、SNS等の拡大により情報は双方向的になり、トラブル事例を紹介して情報技術を遠ざける教育、そして今、GIGAスクール構想で子供全員が端末を持ち、Society5.0へ向かう超スマート社会となり、情報モラル教育は、活用を前提として、リスクを自覚させ、考えさせる教育へと変化しています。

「情報モラル」の定義 【学習指導要領(平成29年告示)解説 総則】p86より抜粋

情報モラルとは、「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」であり、具体的には、他者への影響を考え、人権、知的財産権など自他の権利を尊重情報社会での行動に責任をもつことや、犯罪被害を含む危険の回避など情報を正しく安全に利用できること、コンピュータなどの情報機器の使用による健康との関わりを理解することなどである。

このため、情報発信による他人や社会への影響について考えさせる学習活動、ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味について考えさせる学習活動、情報には自他の権利があることを考えさせる学習活動、情報には誤ったものや危険なものがあることを考えさせる学習活動、健康を害するような行動について考えさせる学習活動などを通じて、児童に情報モラルを確実に身に付けさせるようにすることが必要である。その際、情報の収集、判断、処理、発信など情報を活用する各場面での情報モラルについて学習させることが重要である。

インターネットの特性

「知識」だけで「行動」できるか?

情報モラルを身につける上では、知識の有無が行動に大きく影響を及ぼすケースと、そうでないケースがあります。

ドリル的に「知識」を身につけるだけでは、行動変容は難しいです。

禁止「~しない」という指導でよいか?

1か0かの発想の指導では我が事意識はなかなか生まれません。

「どのような特徴があったら、危険と判断すればよいか」という危険を予測する力を育む必要があります。

ひょうごGIGAワークブック

活用型情報モラル教育

インターネットが普及し始めた1990年代は、トラブル事例を紹介して、注意喚起する教育方法が中心でした。

デジタルネイティブの子供たちには、トラブル事例は「例え話」でしかなく、教育効果は小さいといわれています。これからは、様々な問題やトラブルにあったときに、どう対処すればよいか、ICT活用の正しい理解と責任について、実体験をとおして考え、行動変容へ導くことが必要となります。

「相手がされて嫌なこと」の「嫌」って…?

人が「嫌」と感じる内容は、人ぞれぞれ違います。「自分がされて嫌なことは、相手にもしない」と言っても、当の本人が「嫌ではない」と感じていれば、この指導は効果が望めません。特に、「嫌ではない」ことを得意げに言う場合は大きなトラブルになることがあります。

「これぐらいは大丈夫」の「これぐらい」って…?

「これぐらいは…」と考えている場合は、何が危険かは分かっています。ただ、どれぐらい危険なのかが掴めていないことが予想されます。

「〇〇してはいけません」という、0か1の指導で起こりやすい感覚です。ここでは、リスクの大きさ(リスクのグラデーション)を考えることが大切です。「どんなリスクがあるか」を想像できるか、そして、「リスクを理解した上でどうするか」を考える必要があります。

「ズレ」を認識することで、自覚を促す

ひょうごGIGAワークブックは、1時間(45分)で活用するページと、15分で活用するページがあります。

学活などの時間を使って情報モラルについて学習する場合は、45分ページ、授業内でのICT活用時の事前指導で学習する場合は、15分ページと、学習形態に合わせて活用できます。

ビギナー版

【小学校低学年向け】

スタンダード版

【小学校高学年向け】

アドバンスド版

【中学校向け】

静岡大学教育学部 塩田真吾准教授

「GIGAスクール時代における新しい情報モラル教育のポイント」

「ひょうごGIGAワークブック」の監修者である、静岡大学教育学部の塩田真吾准教授の情報モラル教育についての解説動画です。

これからの時代の情報モラル教育について分かりやすく解説してくださっています。