親方の無茶振りは平気。
演目を見てみると、とても大丈夫そうではありませんでした。(コラム参照)
子どもの安全を気遣う心優しきおじさん。
ケンカをしている二人を、一人二役で演じる(ようにはあまり見えなかったが)チビクロ。日本語発音では旅芸人側の子ども二人がケンカをしている事になっている。
これには観客も大盛り上がり。
チビトラとデッパの見せ場、剣呑みの技。
その出来栄えには親方も大満足。
石頭っぷりを発揮するスイカ頭。
沙雑技団に客を取られた腹いせに児童虐待を報告するゼン。
警察署への出頭要請に震える親方。
写真2枚目の演目について…
上にある「賭命 大表演」(命懸けの大曲芸)は、誇張でも何でもありませんでした。見てみると
①呑剣・・・剣呑みの技
②鉄頭功・・・気功による石頭
③二鬼跋跤・・・2人レスリング
④烈火洗臉・・・炎で洗顔
⑤髮絲拉牛・・・髪の毛での牛引き
⑥眼睛頂針・・・針で眼球突き
⑦口咬鉛彈・・・口で銃弾受け止め
⑧大衛八塊・・・八つ裂き(現在では大卸八塊と表記する)
となっており、稽古で何とかなるものじゃないんじゃあ?と思わせる、予想をはるかに上回る危険な演目の数々。子ども達も「今日は(親方の)機嫌が悪いからヤバい」と言っていたが機嫌がどうこう言っている場合ではない。次のシーンで親方が「私が児童虐待だって?」と驚きながら発言していたが、演目を知った後だとサイコパスっぷりを感じてしまう。尚、③のレスリングがチビクロが一人二役やっていたあれではないかと思われる演目名なので、順番変更の可能性が高い。それにしても八つ裂きって…。どうせ最初の方しか使わないし後半にとんでもねえの入れようぜ笑みたいな制作スタッフの悪ふざけなんでしょうか。
チビトラ・デッパの2人は雑技団「李棠華」所属だった為、技のキレが光る。因みに「李棠華」は設立者の人名。8歳の頃から長江一体で有名な雑技団で技を磨いていた李棠華さんが1945年20歳の時に上海で棠華技術団を立ち上げる→共産党が上海に攻め込んで来た為団員と一緒に来台して作った雑技団の名前が「李棠華」である。youtube等で「李棠華」で検索してみると、驚くような妙技が見られる。日本の書籍等では「李堂華」と「棠」の字が「堂」になっている事があるがこれは誤り。
「東東洋透明秀」の写真を更に見ていくと「售票口」→「チケットカウンター」、「樓上包廂」→「階上ボックス席」や「站謝客滿」→「立ち見も満員御礼」、など様々な情報が読み取れる。縦書きの售票口の右側の赤い文字は横書きで、他のものと同じく右から左に読むと一部不明瞭だが
角八◯全
角五營軍
角三童兒
と見える。この最後の文字「角」は現在でも中国で使われているお金の単位で、1元=10角である。これは今でも台湾で映画を見る際などのチケットの区分の全票(大人)が八角、軍警票(軍関係者の割引があるチケット)が五角、兒童(子ども)のチケットが三角を表していると思われる。昔このシーンを見て「何でこんないかがわしいものに女性が?」と思っていたが、女性どころか子どもも観て良いものでした。そりゃあチビクロも観たがりますね。