チョウザメ目 Acipenseriformes
体は一見サメのようであるが,サメではなくれっきとした硬骨魚類である。脊柱は脊索からなり,骨化した椎体をもたない。骨格系は二次的に軟骨化。
チョウザメ科は体側にある5列の硬鱗をもち,口を素早く突出させて小魚や底生動物を吸い込む。ヘラチョウザメは無鱗で,口を大きく開けてプランクトンを濾しとる。河川を遡上し,川底の砂利に卵を産む。サケ類とは異なり,一生のうちに何度も河川を行き来し産卵する。チョウザメ科は近年の分子系統学的解析により,分類が大幅に改訂された(Brownstein & Near, 2025)。
卵はキャビアと呼ばれ,古くから漁獲や養殖の対象とされてきた魚類でもある。種間で交雑が起きやすく,オオチョウザメのメスとコチョウザメのオスを掛け合わせたベステルは代表的な交雑種で,養殖も盛んにおこなわれている。
乱獲や生息環境の悪化などにより,多くの種が絶滅の危機にさらされている。2022年に更新されたIUCNレッドリストでは,ハシナガチョウザメ(ヘラチョウザメ科)が絶滅,Sinosturio dabryanusが野生絶滅の指定を受けた。