全骨下綱 Holostei
北アメリカや中央アメリカの汽水域や淡水域に分布する原始的な硬骨魚類の一群で,ガ-目,アミア目が現生。略式異尾型の尾鰭,螺旋弁のある腸などを有し,真骨下綱と姉妹群の関係にあると考えられている。
ガー目は7種が知られ,くちばし状の両顎,斜めに配置する硬鱗,後位に位置する背鰭と臀鰭などが特徴。水草の茂った止水域や流れの緩やかな水域で暮らし,ゆっくり泳ぎながら獲物を待ち伏せして食べる。前期稚魚には屈曲した脊索が尾鰭上方に伸長してできた突起(caudal filament)があり,胸鰭とともに振動させることでゆっくりとした動きを実現している。卵は有毒。 たびたび飼育者の無責任な放流が問題になっており,在来生態系への潜在的な影響から,日本では全種が特定外来生物に指定されている。
アミア目は現時点で2種が知られ,紡錘形の体に円鱗状の鱗,幅広い背鰭などが特徴。木の幹や草が豊富な低地の小川、三日月湖・氷河湖,池や水路,沼地に生息する。歯は鋭く,魚類や両生類,ヘビ類,無脊椎動物を食べる。産卵期は2月下旬~6月。 繁殖期になるとオスは葉や茎で円形の巣を作り,メスを待って産卵する。オスは卵と仔魚を守る。