僕の子ども時代、角川映画というのは、かなり謎の存在だった。
みんな、TVCMは知っている。CMは、ものすごく面白そうだ。
しかし誰も、その映画を見た人は居ない。
どうも見ると、たいしたものではないという話だった。
高倉健主演、薬師丸ひろ子のデビュー作品である、「野生の証明」も
その一例であるらしかった。
この主題歌はものすごくはやり、どのぐらいかと言うと、私と同級生がこの歌を元に、
教室で野生の証明ごっこと言うゲームを考え出すぐらいだった。
子どもが腹ばいで端ほふく前進し続ける。
それに鬼が、上靴の爆弾をすべらせて当てるというゲーム。
ありがとう、ぬくもりを
ありがとう 愛を かわりに俺の命を 残してゆくからね
男は 誰もみな 無口な 兵士
笑って 死ねる人生 それさえ あればいい
あー 涙をもらすな あー美しいひとよ
この、男は誰もみな無口な兵士 というフレーズが
子供心にも、じつにかっこよく聞こえたのである。
高倉健さんの立ち居振る舞いにも、ぴったりの言葉だった。
薬師丸さんの「おとうさーん」という叫びのシーンとともに
記憶に残っている。
映画は、画面はそんなに美しくないが、ストーリーがおもしろく
たまにBSでやっています。