悲しい色やね

大阪の海は 悲しい色やね

さよならをみんな ここに捨てに 来るから


ーーー上田正樹の絶唱で大ヒットになったこの曲を私がはじめて聴いたのは、80年代、笑福亭鶴瓶がTBS系でやっていた「xxガバチョ」という番組の中だった。お笑い番組なのに、この日だけはタクシー運転手の鶴瓶のバックで静かにこの曲が流れ、叙情的にCMに移行した・・・

引用した歌詞は中盤から間奏に入る前の部分で、もっとも美しい歌詞である。実際大阪港に行くと、悲しい色やねという歌詞が、納得できる色である。

にじむ町の灯を ふたり 見ていた

桟橋にとめた 車に もたれて


ーーーでだしの部分。

桟橋と車という道具立てが、すでにドラマを感じさせる。

こういう映画的な歌詞が増えてくるのだが、見えるものの背後に、感情も抑えられてぐっと込められていて、すんなり世界に呼び込まれる歌詞である。

HOLD ME TIGHT 大阪ベイブルース

川はいくつもこの町流れ

恋や夢のかけらを みんな海に 流してく

HOLD ME TIGHT 大阪ベイブルース

今日で二人は終わりやけれど

あんたあたしのたったひとつの青春やった

HOLD ME TIGHT・・・


ーーーBOROのバージョンがあると聞いて、聴いてみたいのだが、上田の声がこのHOLD ME TIGHTに実にマッチして、歌い継がれる曲になった。ひとりの歌手を永遠に記憶に残す曲がたまにあり、そのひとつがこの曲である。