今日は、天葉姉様がアルバイトにお出かけしていて、私は一人、お家で天葉様にお借りしているお花の本でお勉強をしていました。すると、いっちゃんから電話がかかってきました。
「どうしたのいっちゃん」
『やっほー樟美ー。今日空いてる?』
「今日……? うん、空いてるけど……」
『亜羅椰がさー、久しぶりに樟美に会いたいって聞かなくてさぁ』
そう言ういっちゃんの後ろから、「わたくしをダシにするのはやめてくださるっ?!」っていう亜羅椰の声が聞こえました。でも、いっちゃん達とは、先月会ったような気がするけど……。
「天葉様もいるなら、一緒に来てくれて構わないんだけど、どう?」
「あ……天葉姉様が今日はアルバイトでいないから……私一人だけど……」
でもやっぱり、いっちゃん達とお話しするのは楽しいから会いたい。けど……一人でお出かけするのはちょっと怖い……。
「あら……。それなら私たちが樟美の家に迎えに行くわね」
いっちゃんがそう言ってくれて、電話越しにいっちゃんが、亜羅椰に「良いわよね?」と確認すると亜羅椰も『えぇ。それでよろしくてよ』と言ってくれていた。相変わらず二人とも優しい。亜羅椰はまだ少し怖いけど、でもそんな二人の事が、天葉姉様の次に好き……。
「じゃあ一時間後に行くねー」といっちゃんとの電話を切って、私も読んでいた本にしおりを挟んで、お出かけをする準備をする。そして、メモ帳に「いっちゃんたちとお出かけをしてきます」と走り書きをして、いっちゃん達がお迎えに来てくれるのを待ちました。
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お昼ご飯を作るのに使った食器の洗い物に、お掃除とかをしていたら、インターホンが鳴って、「樟美ー、迎えに来たわよー」といっちゃんの声がしました。
「あっ……すぐ行くね」
そう言って、帽子とお出かけ用のバッグを持って、私は玄関に向かいました。
扉を開けると、いっちゃんと亜羅椰が立っていて、いっちゃんが「待たせたわね」と笑いました。
「ううん、大丈夫。洗い物とかお片付けとかしてたから……」