「……遅いなあ」
あたし、天野天葉は卓袱台に頬杖をついて、ぼんやりと扉の方を見つめていた。あたしのシルトである樟美がなかなか帰ってこない。
いや、確かに卓袱台の上に、今日は壱たちと出かけてくる、って言う書置きはあったし、一時期は冷え込んでいた子たちと、こうして出かけられるようになったのは、当時の樟美を知っているあたしからすれば、それはそれですごく嬉しい。けど、なんだかすごくもやもやするのも事実。
しかもこれが今日だけならまだしも、ここ最近樟美の帰りが遅い。とはいえ、お夕飯の時間には帰ってくるし、相変わらずおいしいご飯を食べさせてくれるけど、でもやっぱりもやもやする。
――あぁ、もう分かんない……!!
手近にあったクッションを手繰り寄せて、思い切り抱きしめる。とりあえずいつまでもうじうじと考えているのは、あたしらしくない。ともあれ、明日誰かに話を聞いてみよう。そう思った時、樟美が帰ってきた。