2025年 11月 12日(水)第2051回例会
2025年 11月 12日(水)第2051回例会
◆会長の時間◆ 会長/𡈽門 明哉君 2025年 11月 12日(水)第2051回例会
欧米の寄付文化の歴史を理解する上で、キリスト教の「原罪」「善行(寄付)」「免罪符」の三者の関係は極めて重要です。この繋がりは中世ヨーロッパで生まれ、やがて宗教改革という歴史的な大転換の引き金となりました。
救済の必要性を生んだ「原罪」
キリスト教、特にカトリック教会の教えでは、「原罪」によって全人類は生まれながらに罪を負っており、自力では神の国(天国)へ行けないとされます。このため、信者は常に「どうすれば救われるのか?」という問いに直面しました。
救済の手段としての「善行(寄付)」
カトリック教会では、救済にはイエス・キリストへの「信仰」と共に、具体的な「善行」を積むことが重要だと教えました。善行の中でも、教会や貧者への財産や金銭の「寄付」は、自らの魂の救済に繋がる非常に功徳の高い行為と位置づけられました。
「善行」への報いとしての「免罪符(贖宥状)」
ここに「免罪符(正しくは贖宥状)」が関わってきます。これは「罪そのものを赦す証明書」ではありません。罪の告白によって赦された後にも残るとされる「罰」(特に死後、天国へ行く前に魂が清められるとされる「煉獄」での苦しみの期間)を、免除・軽減するものでした。
当初、免罪符は十字軍への参加といった命がけの善行に与えられていましたが、時代と共に、ローマのサン・ピエトロ大聖堂の改築費用など、特定の目的への多額の寄付行為に対して発行されるようになりました。
商業化と宗教改革
この仕組みはやがて、「寄付をすれば(免罪符を買えば)、煉獄の苦しみから逃れられる」という考えに繋がり、「お金で救いが買える」かのように商業化し、乱発されました。
この状況を神学的に厳しく批判したのが、ドイツの神学者マルティン・ルターです。彼は「人間の救いは、寄付などの善行によって得られるものではなく、ただ神の恵みと個人の『信仰』によってのみ与えられる(信仰義認)」と主張しました。この批判が宗教改革の口火を切り、キリスト教世界をカトリックとプロテスタントに二分する大きなうねりとなったのです。
現代への影響
この歴史的経緯により、寄付と救済の直接的な神学的関係は、特にプロテスタントの価値観が強い欧米社会では断ち切られました。寄付は「救済を得る手段」ではなく、「神への感謝の表現」や「社会に対する責務」と再定義されたのです。この思想は、「富める者は社会に還元すべき」という倫理観の根底にも、大きな影響を与えています。
以上、会長の時間でした。
◆幹事報告◆ 幹事/義澤 彰君
■会長 𡈽門 明哉 ■副会長 秋森 三男 ■会長エレクト 廣石 隆太
■幹事 義澤 彰 ■会計 廣石 隆太 ■会場監督 石井 裕子
□例会場 小田急ホテルセンチュリー相模大野8F
□事務局 相模原市南区相模台3-11-8(株)秋森商鋼内Tel.042-748-7624 Fax.042-705-6624
□国際姉妹クラブ 台湾:台北敦化ロータリークラブ
□友好クラブ 伊豆中央ロータリークラブ
𡈽門 明哉 会長
義澤 彰 幹事
〇会長エレクト 廣石 隆太君