2025年 10月 22日(水)第2050回例会
2025年 10月 22日(水)第2050回例会
◆会長の時間◆ 会長/𡈽門 明哉君
スワンベーカリーの挑戦 ~ パン作りと共生社会 ~
◆会長の時間◆ 会長/𡈽門 明哉君 2025年 10月 22日(水)第2050回例会
10月は地域社会の経済発展月間・米山月間です。
「経済」の本来の意味は、「経世済民(けいせいさいみん)」という言葉を略したもので、世の中を治め、人々を救済することを指します。本日は地域経済に関連する話題です。
さて「スワンベーカリー さがみはら店 」という美味しいパン屋さんが麻溝台7丁目にあります。こちらは当クラブがバーベキューパーティー等に招待している「社会福祉法人すずらんの会」さんが運営しています。 スワンベーカリーは、単に美味しいパンを提供する場所ではありません。そこは、障がいのある方々が「プロの職人」として働き、誇りを持ち、そして「経済的に自立」することを、本気で追求している「企業」です。
スワンベーカリーの「スワン」とは、アンデルセン童話の「みにくいアヒルの子」に由来します。誰もがスワンすなわち白鳥となって羽ばたける可能性を秘めている。その想いが、この名前に込められています。
創設者は、「クロネコヤマト」で知られるヤマト運輸の元会長、小倉昌男(おぐら まさお 故人)氏です。畑違いの経営者である小倉氏が、晩年になぜパン屋さんを始めたのでしょうか。
障がい者福祉は、「保護」を目的とし、賃金は、「工賃」の名目で非常に安価でした。しかし、小倉氏はここに疑問を持ちます。 「保護」では、本当の自立は生まれない。同情で成り立つ仕事は、働く人の尊厳を育まない、と考えました。
福祉ではなくどうしたら「ビジネス」として成立するか? 最低賃金以上の給与を支払うことができるのか?彼らを「価値を生み出すプロフェッショナル」に導けるのかという難題に挑戦しました。
スワンベーカリーのパンが美味しいのは、偶然ではありません。 そこでは、誰もが「お客様に喜んでいただく」という目的を持ち、日々、厳しく品質を管理し、技術を磨いています。この挑戦は簡単な道ではなかったはずです。
小倉氏はヤマト運輸の経営で培ったノウハウを、ここに注ぎ込みます。 例えば、作業工程を細分化し、各人の個性や得意分野を活かせるよう工夫する。そして、美味しいパンを作るための技術開発に妥協しない。 「障がい者が作ったから」ではなく、「パンが美味しいから」お客様に選ばれる。この循環こそが、持続可能なビジネスの鍵であると小倉氏は確信していました。
スワンベーカリーは、ヤマト福祉財団が設立し、そのノウハウやブランドを、各地の社会福祉法人やNPO、企業と共有する「ソーシャル・フランチャイズ」という形で全国に広がっていきました。
このモデルは社会にインパクトを与えました。 スワンベーカリーで働く方々は、給与を得て、経済的に自立します。誰かに養ってもらうのではなく、自らの力で生活し、そして「納税者」として社会を支える側に回る、ということを意味します。
これこそが、小倉氏が目指した「働く誇り」と「真の共生」の姿でした。私たちにとって、スワンベーカリーの存在は、何を意味するでしょうか。私たちは、無意識のうちに 「福祉」と「ビジネス」は両立しないと、諦めてはいないでしょうか。
スワンベーカリーは、美味しいパンを通じて、私たちに語りかけます。 「可能性にフタをするな。信じれば、人は必ず輝ける」と。
皆さん、ぜひスワンベーカリーに立ち寄ってみてください。 そして、パンを一つ、買って味わってみてください。
私たちがそこでパンを一つ買うという行為は、単なる消費活動を超えた意味を持ちます。 それは、障がい者が「プロの職人」として働き続けることへの直接的な応援となります。「誰もがその人らしく輝ける社会」の実現に向けた、確かな「一票」となります。
パンは、人と人、そして人と社会をつなぐ温かい架け橋です。 スワンベーカリーという「希望の白鳥」が、これからも空に羽ばたき続けることを願って、会長の時間を終えます。
買い物で誰かを幸せにする
◆幹事報告◆ 幹事/義澤 彰君
■会長 𡈽門 明哉 ■副会長 秋森 三男 ■会長エレクト 廣石 隆太
■幹事 義澤 彰 ■会計 廣石 隆太 ■会場監督 石井 裕子
□例会場 小田急ホテルセンチュリー相模大野8F
□事務局 相模原市南区相模台3-11-8(株)秋森商鋼内Tel.042-748-7624 Fax.042-705-6624
□国際姉妹クラブ 台湾:台北敦化ロータリークラブ
□友好クラブ 伊豆中央ロータリークラブ
𡈽門 明哉 会長
義澤 彰 幹事
〇会長エレクト 廣石 隆太君