巡検
5月:八王子巡検
5月31日、八王子で巡検を行いました。巡検班長から報告を行いたいと思います。予報では、当日の天気が悪く、登頂も困難かと思いましたが、30℃を記録し、とても暑かったです。八王子城~武蔵野陵・多摩陵~片倉城に行ってきました。ここでは、当日の様子や感想を述べたいと思います。
まず、初めに行った八王子城ですが、山城で道が険しく、登頂が困難でしたが、その分、頂上から見た八王子の景色は素晴らしかったです。また、御主殿跡や八王子神社などを実際に見ることで八王子城の防衛的機能を果たしていたことが分かりました。
次に武蔵野陵・多摩陵についてです。武蔵野陵は大正天皇のお墓で、多摩陵は昭和天皇のお墓です。両陵共に皇后の陵が東側(これは、中国の伝統に由来)にあり、形状も上円下方とすべて同一であまり違いが分かりませんでしたが、当時の天皇の権威を知ることができました。明治天皇以前の御陵は、近畿以西につくられており、京都に春合宿に行った際には、見てみたいと思いました。
八王子城の支城である片倉城は予定には入れていませんでしたが、時間に余裕があったので行きました。片倉城跡公園として整備され、多くの子供たちが遊んでいました。集合写真はここで撮りました。
先輩と後輩、先生が一緒に史跡について喋り、いつもより会話が多く、また一段と先輩、後輩の仲がよくなったと思います。疲れたけど楽しい一日でした。 [文責:歴史研究部]
夏合宿
〔平泉〕~兵どもが夢の跡~
このたび浅野学園歴史研究部は、9月の文化祭のテーマである「奥州藤原氏」についての研鑽を積むため、平泉や胆沢城、多賀城といった古代東北の重要な史跡を二泊三日で巡りました。宿泊場所は二回とも平泉の旅館「武蔵坊」。大まかな行程は次の通りです。
一日目 平泉(達谷窟、中尊寺、高館義経堂、平泉文化遺産センター、毛越寺、観自在王院)
二日目 奥州市(えさし郷土文化館、えさし藤原の里、奥州市埋蔵文化財調査センター、胆沢城)、平泉(柳之御所資料館、柳之御所跡、無量光院跡、伽羅御所跡)
三日目 多賀城跡及びその周辺の史跡、東北歴史博物館
やはり、平泉は世界遺産というだけあってレベルの高い観光地でした!中尊寺金色堂は、ガラス越しとはいえ間近から見ることができる上、創建当時から現存しているということもあって、インパクトは絶大です。また、平泉文化遺産センターと柳之御所資料館を訪れましたが、どちらも非常に分かりやすい展示となっていました。さらに平泉全体に関して気付いたのは、史跡が非常に巡り易いということです。達谷窟を除けば上記の史跡はグルット一周できるような位置にあるので、バスも京都のように複雑な乗り換えが必要ありません。というか頑張れば歩いて回れるくらいです。そもそも平泉は住む者・訪れる者に“見せる”ことを意識して作られたという性格があるので、巡り易さはそれによる恩恵なのでしょう。
ただし、中尊寺以外の史跡は当時の建物が残っていないところがほとんどで、見る者にはある程度の想像力が必要になります。毛越寺も大規模な浄土庭園は残っているとはいえ、当時は中尊寺をしのぐ規模とされる建造物群は礎石を残すのみで、後輩からも思ったよりインパクトが弱かったとの声が聞こえました。なので、平泉を訪れる際はできる限り多くの予備知識を詰め込んでおくことをおススメします!また、史跡巡りを始める前に、平泉文化遺産センターを訪れる、というのが賢いルートかもしれませんね。
次に、二日目に訪れた奥州市なのですが、実は様々な史跡・資料館が点在する非常に面白いエリアです。今回は古代東北がテーマなので、平泉の建物や古代の政庁が再現されている「えさし藤原の里」の辺りと、胆沢城・奥州市埋蔵文化財調査センターの辺りをバスで巡りましたが、他にも駅周辺には、武家屋敷と、高野長英・後藤新平・斎藤実の資料館があります。さらに北の盛岡(こちらは原敬と宮沢賢治ですね)と併せて幕末~近代巡りをするのも楽しいかもしれません。もちろん、我々が訪れたところも秀逸なものばかりで、特に公式ホームページや過去に訪れた方のブログでも強調されていた、奥州市埋蔵文化財調査センターで上映されている「古代東北蝦夷の世界」は、アテルイらを演じる人々の熱演が見ていて微笑ましかったです。
最後に訪れたのは多賀城と東北歴史博物館です。多賀城は現存する建物は何一つなく、より想像力が必要とされる史跡でしたが、その規模には驚かされざるを得ませんでした。古代の城柵の構造は、真ん中に政庁というお役所があって、その周りを外郭が囲むというものなのですが、政庁跡だけでも結構広いのです。また外郭も長く、北の方までは行く時間がありませんでした。多賀城の出土物は、東北歴史博物館で多くが展示されており解説も充実していました。あと、特別展の「徳川将軍家と東北」も拝観しましたが、展示品がとても豪華で、徳川家康や伊達政宗はもちろん、佐竹氏や上杉氏の書状、甲冑が勢ぞろいしていました。戦国好きには必見だと思われます。
以上、2015年度歴史研究部の夏合宿の感想でした。2泊3日という長いようで実は結構限られた時間でしたが、“古代東北の歴史”を満喫できる、最高の合宿となりました。何かテーマを作って旅をすると一味違うものになるので、(ここまで史跡だらけにするかはともかく)少しでも参考にしていただけると歴史研究部の部員としては幸いです。[文責:歴史研究部]