公募シンポジウム

外来種対策に求められるEvidence:EBPMの主流化にむけて

シンポジウム日程:11月7日()9:00-10:30

タイトル:外来種対策に求められるEvidence:EBPM(Evidence Based Policy Making)の主流化にむけて

使用言語:日本語

開催形式:リアルタイムのZOOMミーティング


オーガナイザー亘 悠哉 森林総合研究所

企画趣旨

 侵略的外来種が引き起こす生物多様性の低下や経済コストが社会的に認識されるようになって久しい。その間、外来種の根絶や在来種の回復など、徐々に成功事例が報告され、一定の成果が出始めてきた。一方で、依然として多くの対策が、成果が見えないまま惰性的に継続している現状もある。外来種対策の底上げを目指すには、成功事例に学び、得られたレッスンをフィードバックすることで、外来種対策の制度設計の基盤を強化する必要がある。では、成功と失敗を分ける差は何なのか?そのひとつとして、本シンポジウムでは、成功事例に共通するEBPMに着目する。そして、対策の成功事例、および現在進行系の研究事例を取り上げ、いかに個体群生態学的な視点や技術が外来種対策におけるEBPMに必須かを議論することを目的とする。まず成功事例として、2017年に根絶宣言が行われた和歌山県のタイワンザル捕獲事業、2018年5月の1頭を最後に捕獲がない状態が続き、根絶確認のフェーズに入った奄美大島のマングース防除事業の2つの対策について紹介する。その中で、EBPMがどのように機能してきたのか、またどんなEvidenceが対策進展を駆動しうるのか、さらにEBPMが機能するための関係者の考え方やガバナンスのあり方について議論する。続いて、対策とコミットした2つの研究事例を紹介する。奄美大島の外ネコ対策研究では、安定同位体比分析によって明らかになった個体群構造を踏まえ、行政の縦割り構造にとらわれない対策の連携の必要性について提言する。千葉県印旛沼水系のカミツキガメ対策研究では、長期防除データをフル活用した状態空間モデルによって、防除計画や予算の策定に不可欠なわな捕獲の必要努力量とその最適空間配置を算出する取り組みを紹介する。以上を踏まえ、外来種対策においてEBPMが主流化するための課題と可能性について議論したい。


プログラム

白井啓WMO野生動物保護管理事務所)和歌山県におけるタイワンザル根絶達成事例からの教え

亘悠哉森林総合研究所奄美大島のマングース対策:根絶最終ステージ到達までのブレイクスルー

伊澤あさひ(東京大学奄美大島の外ネコ個体群構造が突きつける“森―里―人”連携対策の必要性

西本誠(東京大学どこでどのくらい獲るべきか?駆除記録をフル活用した印旛沼水系のカミツキガメ個体群モデリング