個体群生態学会奨励賞

受賞講演

2021年度受賞者

山尾 僚 (弘前大学 農学生命科学部)

受賞講演:植物の環境応答と動物―植物相互作用

講演要旨

固着生活を営む植物は定着した環境において様々な情報を収集し、柔軟な応答を示すよう進化してきた。植物は、化学物質、振動、光の波長などの多様な刺激を受容することで、物理環境のみならず競争者や共生者、捕食者の存在を認識し、応答する。例えば、オオバコは同種近縁個体と他種競争者の存在という2つの環境情報に基づき、葉の配置や代謝を変化させることで、他種競争者の成長の抑制を達成している。このような多様で柔軟な植物の環境応答は、植物と動物の関係をどのように形成してきたのだろうか。植物の環境応答を適応形質として改めて捉えなおす試みは、植物に対して行動生態学的な解析を促し、大きく発展しつつある。本講演では、植物の環境応答から植物の防御戦略の多様性や動物との相互作用を理解する取り組みについて紹介する。