岡山大学薬学部

高度先導的薬剤師養成プログラム

OTC薬局松山研修(2023824–25日)

ドラッグストアには、解熱鎮痛薬をはじめさまざまなOTC医薬品が販売されています。風邪をひいた時、また頭痛がある時、OTC医薬品はどのように選べばよいのでしょうか。愛媛県は松山市にあるレデイ薬局様のご協力により、学部1年生でも理解できるような下記のような事例について、売場にて実際にOTC医薬品を選ぶロールプレイを行わせていただきました。このような機会をご提供いただきましたレデイ薬局様、講師をお務めくださった薬剤師の蓬莱 哲也 先生、藤井 佑輔 先生に感謝申し上げます。

(研修例)

・11歳の男児。微熱(37.5度)があり頭が痛いです。 大人並みの体格なので、成人用のアスピリン配合医薬品を飲ませてもよいでしょうか?

・これから車を運転するので、眠くならない頭痛薬はありますか? など

参加学生の報告書から


(薬学科1年生)


今回の研修では、OTC医薬品について学ぶだけでなく、薬剤師として必要なコミュニケーションスキルなども実践を交えて学ぶことができました。私はまだ1年生なので大学の講義では座学がメインで、薬剤師の仕事について文字や映像を通してしか理解できていませんでした。そのため研修に参加することで、実際に薬剤師の方に話を聞いたり、仕事内容を実践してみたりすることができ、将来のイメージやこれからどんなことを意識して学んでいくべきなのかが自分の中で明確になりました。

研修の中で、薬剤師は患者さん目線に立って信頼関係を築いていくことが大事ということを教えてもらいました。私は患者さん目線に立つことは意識をしていればそこまで難しいことではないと思っていましたが、ロールプレイで患者さん役の人に選んだ薬を説明するとき、意識していても専門用語を使ってしまったり、患者さんが知りたい内容をすぐに伝えられなかったりして、薬剤師の方が当たり前にやっていることの難しさを身をもって感じることができました。現在調剤薬局では対物から対人の業務になっており、コミュニケーションを通じて患者さんと信頼関係を築くことが必要になっているので、薬についてだけでなくどうやったら患者さんと良いコミュニケーションを取れるか自分なりの答えを在学中に見つけたいです。また、知識をたくさん持っていることとそれを活かすことができることはイコールではないと学んだので、これから様々なことを学び知識は増えていくと思うので、その知識を活かせるようにアウトプットにも力を入れていきたいと思いました。

この研修では、解熱鎮痛剤について詳しく教えてもらいましたが、私は解熱鎮痛成分にこんなに種類と違いがあることを初めて知り驚きました。普段はよくCMでやっていて有名だからといった理由で選んでいたけれど、それぞれの成分を知ってからは箱の裏の成分表示を見て選ぶことができるようになりとても嬉しかったです。まだ大学での講義では薬学部にきた感覚があまりなかったのですが、自分で症状にあった薬を選べるようになり今後さらにできることが増えることが楽しみになり、モチベーションが上がりました。

今回の研修では楽しく様々なことをレデイ薬局の皆さんに教えてもらい、非常に貴重な経験をさせてもらいました。なかなか薬剤師の方に質問したり、現場の声を聞いたりすることはできないので、参加できて本当に良かったです。研修で学んだことや自分が感じたことを忘れず、今後の勉強をより頑張りたいと思います。



(創薬科学科2年)


薬剤師育成プログラムということで創薬科学科の自分が参加してよいものなのだろうかと思いながら、参加を申し込んだ。薬学科に進んだあとの将来の選択肢の一つである、薬局薬剤師について学ぶことで、創薬科学科との違いが何かわかるかもしれないと思い参加した。参加者の中で創薬科学科は私だけであった。そして薬学科や薬剤師免許を持っている方々に囲まれたこの二日間を過ごして、創薬科学科と薬学科の違いはあまりないのではないかと感じた。そうあるべきであるとも思うようになった。薬剤師免許を取得しない創薬科学科であっても、薬の研究者を目指すものとして今ある薬や病気について知るべきだし、薬学科であっても大学を卒業するものとして研究の基本的なことは知っておくべきだと思う。将来進む道は異なるとしても、少なくとも薬学部で得られる基本的な知識や経験に大きな違いはなく、それを活かしてその先どのように社会還元していくかで違いが出てくるのだと考えた。研修で学んだことについて考えるなかで、上記のような考えになった。研修で学んだことは、知識の活かし方、人とのコミュニケーション方法、信頼されるにはどうするべきか、共感とはなにか、そして幾つかの具体的な薬の成分についてである。これらのことは薬剤師として働き始めるときだけでなく、卒業してどこへ行っても役に立つし、必要となることだと感じた。つまり卒業した時点では、創薬科学科も薬学科もあまり変わらないのではないか、基本を大学で学んで卒業後にそれぞれの分野で専門性を高めていくのだ、という一つの将来像が見えた気がする。大学のうちにいろいろ基本を身に着けることができれば、どこにでも行けると思えた。今のうちに多くを経験して、失敗していくことで物事の基本を学べると思う。大学生というのがそのための時間を多く持っている期間だ。このことに気が付いたことが、創薬の研究者になりたいと考えていながらも、他の道も色々あることに悩んでいた自分にとって一番参加してよかったと思えたことだ。

他にも薬局の役割とは何かというお話が興味深かった。薬局の役割は薬を売るだけでない。健康について問題が生じたときにまず病院ではなく、まず薬局に行こうと思ってもらえる場所になることで、病院に行かなくても改善できる症状に病院以外で対処できる。そうすることで医療現場の負担を減らすことにもつながるだろう。それだけでなく、日本の歳出において三分の一占める社会保障に使う財源を減らすことにもつながると思う。また薬局で薬剤師が患者さんの容態を見て、病院を勧めたり保健所を勧めたりすることで、患者さんがどうするか自分で選択するお手伝いをするのも薬局の役割だと学んだ。このような仕組みを作るには病院や、保健所などのほかの施設や、行政との連携も大事だが、薬局は気軽に何でも相談できる場所であると地域の方に思ってもらうことが大切だとおっしゃっていた。そのために大切なのは薬剤師として信頼してもらうことだ。信頼してもらうことで相談に乗ることができ、患者さんに共感することで初めて自分の知識を活かすことができる。研修ではどのようにコミュニケーションをとることで、患者さんと信頼関係を形成できるのか、理論から実践まで体系的に教えてもらうことができた。教えてもらってそれを実践しても、定着度はまだまだ低いことも教えてくださった。人に教えることができて初めて自分の中に定着したといえる。テスト勉強も人と教えあうのが一番理解でき、忘れにくいことは感じていたが、あらためて説明されると人に教えることの大切さをより理解できた。

少し考えたことがあったので最後に一つ書きたい。信頼のおける薬局が全国に増えることで災害に強い地域社会にもつながると思った。大きな災害が起こった時、けが人のすべてが病院へ運ばれると病院は対処しきれなくなるときがある。そんな時薬局も薬を提供できる場所として、臨時の病院のように利用することができれば、そのような薬局がある場所は災害に強い地域になるのではないかと考えた。自然災害の多い日本ならではの考え方が薬局にもあればよりよい社会になると思う。



(薬学科年)


 今回のレデイ薬局での研修では、より良いコミュニケーションのとり方、および患者様の希望に沿った適切なOTC医薬品の選択方法について学ぶことができました。

1日目は、薬剤師にとって必要なコミュニケーションの基本と、OTC医薬品、特に解熱鎮痛剤についての基礎知識を学びました。コミュニケーションについては、他学生と対話をするという実戦形式により、学んだ内容を今後知識として持っているだけではなく、活用できるようになったと思いました。

2日目は、服薬ゼリーを用いた服薬体験や、介護用品のおむつや尿取りパッドなどについての学習を行いました。また、グループでのOTC医薬品選択のケーススタディや、ロールプレイによる、薬局来訪者役に対する聞き取り、実際の医薬品売場でのOTC医薬品の選択、および選択した医薬品についての説明も行いました。

 ロールプレイでは、1日目に学んだコミュニケーション方法やOTC医薬品の基礎知識を、実際の現場でアウトプットすることがいかに難しいかが分かりました。私が今まで習得した知識や技能の全てを実際に活用することができるように、習慣化できるできるように、アウトプットを繰り返していきたいと思いました。

また、今回の研修ではレデイ薬局の皆様とお話をさせて頂ける機会が多くありました。その中で、藤井さんがおっしゃっていた、「薬局で働く薬剤師は、接客業であるということを忘れてはいけない。」という言葉が印象に残っています。特に、2日目の薬局の見学や、ロールプレイを行った際に、この言葉がレデイ薬局など全国的に展開しているグループの薬局やドラッグストアなどにとって重要な考え方であるのではないかと思いました。今回の研修ではコミュニケーションやOTC医薬品についての知識など、現場に立つ薬剤師として役立つことについて学ばせて頂きましたが、レデイ薬局の売場配置の工夫や他社との差別化の方法、経営戦略など、ビジネス面での話についても学んでみたいと思いました。

 今回のレデイ薬局での研修は、将来薬剤師として働く時だけではなく、実生活でも役立つような多くのことを学ぶことができた、とても充実した2日間でした。このような貴重で学びある機会を設けてくださったレデイ薬局の皆様、および引率の教授の皆様に心より感謝申し上げます。今回学んだことを活かしながら、今後の学びにつなげていきたいと思います。



(薬学科年)


一泊二日の松山でのレデイ薬局での学外研修は、学びが多く、かつ非常に楽しい内容で、参加してよかったと思います。大学内ではできない体験をさせて頂きました。

 初日はレデイ薬局で、コミュニケーションの基礎とOTC薬の特に鎮痛剤について学びました。特にコミュニケーションの基礎講座では、普段の大学での授業では学べないけれども社会に出るに当たって、そして薬剤師として働くに当たって必要な知識を得ることができました。

単なる座学ではなく、実際に体を動かし、ゲームをしながら学ぶことによって、より実感を持って学ぶことができました。ゲームでは、初対面の人とも楽しく話すことができ、先生方、研修に参加した人たちや、レデイ薬局の人たちとも交流ができて面白かったです。

 二日目は、薬局で売っているけれども、あまり触れる機会のない介護用品や服薬補助剤などについての説明を受けました。介護用品については全く知識がない状態でしたので、レデイ薬局で学んだことは将来に活かせそうだと思います。服薬補助剤については、実際に試食もさせていただき、使用したときの感覚まで知ることができました。私は服薬補助ゼリーを使用したことがなかったので、実際の服薬の方法まで考えることができました。お茶の粉末を使用して味がどのように変化するかを試してみて、初めて使い分けを知ることができて感動しました。

OTC薬については、大学でも学んだことがありましたが、ロールプレイで患者情報を聞いてみて、その情報に基づいて薬局の棚から薬を選んできて、その薬を選んだ理由を説明する機会は殆どないので、貴重な体験ができました。今までは、ドラッグストアに訪れたときに、頭痛薬なんてどれもだいたい一緒だと思って適当に選んでいました。どの薬が最も適しているかを普段の生活では気にしていなかったので、これからは薬学部の学生として、頭痛薬や胃薬を買うときに参考にしたいと思います。

大学の授業で習った知識を蓄えるだけでなく、それを適切にアウトプットできるようにすることで、今まで以上に生活を豊かにできることに気づきました。

この体験はOSCEなどにも活かせると思いますし、将来薬剤師になったときにも活かせる知識を得ることができたように思います。

 一泊二日の短い時間で、学ぶことが多くて大変でしたが、その分楽しい時間を過ごせました。私は12月に高松であったOTCについての研修にも参加したのですが、そのときよりも圧倒的にボリュームが増えていて、レデイ薬局の方たちとも話す機会が多くあり、参加してよかったと思います。薬学の勉強のみにとどまらず、社会勉強になる一泊二日でした。また機会に恵まれれば、レデイ薬局の研修に参加したいと思います。