研究の成果 >
第12回京都から発信する政策研究交流大会(主催:公益財団大学コンソーシアム京都)
日時:2016年12月4日(日)
場所:キャンパスプラザ京都
①石清水班「「地域社会における祭りの役割について―京都府八幡市石清水祭の事例から―」【第3分科会(地域活性化①)】
京都府八幡市の石清水八幡宮では、毎年秋に石清水祭が執り行われている。この祭りは歴史ある勅祭の1つとして有名であり、今も人々を惹き付けている。
そのような石清水祭は、歴史的な研究が多く行われてきたのに対し、現在の八幡市の地域社会と石清水祭の関係についての研究はほとんどされてこなかった。歴史・規模・内容、その全てが他の神社と一線を画すこの祭りを社会学の視点から捉え直すことで、他の祭りとはまた違った特徴や課題が見えてきた。
近年、社会の中で改めて「地域」が注目を集めている。「地域」がセーフティネットとしての役割を期待されているのである。一方、住民間のつながりが薄れ、その役割が充分に果たせなくなっている。私たちは祭りを通して形成される八幡市民としての誇りが、地域のセーフティネットを形成する重要な要素になると考える。
今回の報告の目的は、祭りと地域の関係性を明らかにし、新たな関係性を見出すことである。
②御香宮班「祭りが果たす地域の活性化-京都市伏見区の御香宮祭の事例-」【第4分科会(地域活性化②)】
京都市伏見区にある御香宮神社は1000年以上の歴史のある神社である。
その御香宮神社で10月の第1土曜日から第2日曜日まで行われる祭りが御香宮祭である。伏見九郷の総鎮守の祭りであり、伏見祭とも称せられている。この祭りの特徴として、花傘が挙げられる。花傘はお迎え提灯として、各町内やマンション住民が神社に多く参拝するのが有名なことから、御香宮祭は別名花傘まつりとも称されている。
地域社会の人間関係が希薄化している現在、御香宮祭では欠かせない花傘や神輿などの行事を行うことで、どのように地域住民に影響を与えているかを調査した。また、この地域にもともと居住している旧住民やマンションなどの新住民、御香宮神社の門前町を形成している大手筋商店街はどのように祭りに取り組み、それがどのように地域の活性化に繫がるかを提言する。
③粟田班「まちづくりの中の祭りの役割―京都市東山区の粟田祭の事例―」【第4分科会(地域活性化②)】
神社は長い日本の歴史のなかで、地域コミュニティの中心を担ってきた。そこでの活動は、現代社会の課題である「まちづくり」のヒントや解決策を与えてくれる。
今回、私たちは京都市東山区にある粟田神社の粟田祭(10月8~15日)を事例に地域と神社の日常的な関わりから、祭りを作り上げるまでの住民同士、住民と神社、神社と大学の関わりを調査した。住民同士のコミュニケーションが疎遠になっている現代社会で神社や住民、大学がどのように協働して伝統を守る取り組みをし、まちづくりに取り組んでいるのかを、神社、住民、大学などの多方面から調査した。
神仏分離などを背景に持つ粟田神社特有の歴史、粟田祭に欠かせない剣鉾と住民の関係性、大学と協力して制作される大燈呂など、個性あふれる粟田神社と粟田祭に焦点を当てることで、まちづくりの中で祭りがどのような役割を担っているのかを明らかにし、今後のまちづくりに関する政策を提言する。