9期生 コンソーシアム京都での研究発表
研究の成果 >
発表の概要
第14回京都から発信する政策研究交流大会(主催:公益財団大学コンソーシアム京都)
日時:2018年12月16日(日)
場所:龍谷大学深草キャンパス
①美山班「次世代への祭りの伝統継承ー京都府南丹市美山町上げ松の事例ー」【分科会3 文化】
京都府南丹市美山町鶴ヶ岡地区に伝承される、上げ松と呼ばれる火祭りがある。これは松明を高さ20m以上の灯篭に放ち点火させ、火の神(愛宕神社)への火魔封じの祈りや豊作を祈願する神事である。
今回私たちは、殿区(鶴ヶ岡地区の一部)の上げ松に関わる地域住民の方々へのインタビュー調査、参与観察等の社会調査を行なった。調査の結果、美山町での少子高齢化による担い手不足で殿区の従来のあり方では、今後伝統の継承ができなくなる可能性が浮かび上がってきた。伝統行事は地域住民のアイデンティティを強化し、地域住民間のソーシャルキャピタルを醸成する。したがって伝統を継承することは地域社会にとって重要なことである。
そこで本報告では、伝統を支える中心の高齢者世代と、今後伝統を支える次世代の若者に向け、地域社会における伝統行事の重要性を述べる。そして時代の流れに沿った、新しい形式の伝統継承を行えるような政策を提言する。
*美山班は、本報告によって、優秀賞を受賞した。
② 三宅班(佛縁サンチェスト)「神社が担う地域社会での役割―京都市左京区の三宅八幡宮秋季例大祭の事例―」【分科会3 文化】
京都市左京区にある三宅八幡宮は、子どもの病気平癒、夜泣き封じ、害虫駆除にご利益があり、地域住民に親しまれてきた神社である。また、絵馬堂には国の重要有形民俗文化財に指定された絵馬が展示されている。
私たちは三宅八幡宮で執り行われる秋季例大祭を対象に参与観察、神社関係者と地域住民へインタビュー調査を行った。その結果、祭りの担い手である後継者不足の現状が明らかになった。その原因として若者世代を中心に神社とのつながりが希薄化していることが挙げられる。地域と神社がつながることで、住民間のつながりが強化され、後継者不足の解消、さらには防犯・防災にも効果があると考える。
かつての三宅八幡宮は今まで以上に地域住民の生活と関係が密であったと調査で明らかになった。よって、本報告では当時の神社と住民の関係性を参考にし、神社を地域住民にとって欠かせない存在にすると共に絵馬という文化資本を活用した政策を提言する。