第8期生 コンソーシアム京都での研究発表
研究の成果 >
発表の概要
第13回京都から発信する政策研究交流大会(主催:公益財団大学コンソーシアム京都)
日時:2017年12月3日(日)
場所:キャンパスプラザ京都
①松尾班「地域社会における祭りと若者の関係―松尾大社八朔祭の事例―」【第2分科会(文化)】
京都市西京区の松尾大社では毎年9月に八朔祭が執り行われている。この祭りの特徴は、嵯峨野六斎念仏踊や八朔相撲など、伝統ある催しが数多く行われている点である。
今回私たちは、八朔祭当日のフィールドワークや地元住民の方々へのアンケート調査、八朔祭に携わる方々へのインタビュー調査等の社会調査をした。祭りを多方面から考察した結果、祭りに対する若者の興味関心の希薄化が浮き彫りとなった。祭りという伝統行事を継続していくためには文化と価値観の世代間継承が必要不可欠であり、住民間のソーシャルキャピタルの醸成が重要である。
若者世代の祭りの参加率低下は、伝統の継承を困難にし、祭りの発展にも影響を及ぼす。そして、それは地域社会におけるソーシャルキャピタルの低下にもつながる。私たちは地域社会における神社と祭りの役割を明らかにすると共に、伝統を継承していく立場である若者達に祭りへの参加を促す政策を提言する。
② 三宅班「祭りがもたらす地域のつながり ―京都市左京区の三宅八幡宮秋季例大祭の事例―」【第2分科会(文化)】
京都市左京区にある三宅八幡宮は、子どもの夜泣きやかん虫封じにご利益のある神社として地域住民に親しまれている。また、毎年、秋季例大祭(9月14日~16日)が執り行われており、子ども神輿が祭りの見どころとされている。
今回、私たちは昔から地域住民の交流の場とされてきた三宅八幡宮の秋季例大祭を対象に、フィールドワークや参与観察、地域住民へのインタビュー調査を行った。その結果、祭りに対する三世代の意識の違いが浮き彫りとなった。その原因として、近年における地域コミュニティの住民間のつながりの希薄化が問題に挙げられると考えた。
このような背景を踏まえると、今後、活力あるまちづくり、地域コミュニティのつながりを強めることが必要となる。そこで、本報告では三宅八幡宮を子どもや高齢者が中心に集まることができる三世代のつながりの場にし、地域住民同士の関わりを活性化させるための政策を提言する。
③瀧尾班「まちづくりにおける祭りの役割 ―京都市東山区の瀧尾神社神幸祭の事例―」【第5分科会(防災・まちづくり)】
地域によって祭りの形態が違い、祭りを見ることでその町の特色がわかる。そこで、本報告では祭りと地域の関係性を「まちづくり」の観点からみていく。
私たちは京都市東山区の瀧尾神社神幸祭を事例に、祭りが地域の「まちづくり」にどのような影響を与えているのかについて宮司へのインタビュー調査、祭りの担い手や見物者へのアンケート調査を行った。
瀧尾神社は、地域には氏子を持っていないが、大丸百貨店創業者が瀧尾神社に参拝し、成功したことにより、大丸百貨店が氏子となった。毎年9月最後の週末に神幸祭が執り行われているが、この祭りの特徴として、本神輿に加え、女神輿、龍舞が行われていることが挙げられる。今回、調査をした結果、神輿などの担い手が高齢化している現状を実感した。
本報告では東山区の高齢化によって起こる空き家問題にも触れ、今後の「まちづくり」の中で祭りがどのような役割を担っていけるのかについて政策提言を行う。