14期生コンソーシアム京都での研究発表
研究の成果 >
第19回京都から発信する政策研究交流大会(主催:公益財団大学コンソーシアム京都)
日時:2023年12月17日(日)
場所:龍谷大学深草キャンパス
①提燈班「提灯を活用した京都市下京区の新しい観光政策」【分科会3】
京都の伝統産業品の一つである「提灯」は京都市下京区が産地である。祇園祭や地蔵盆などの伝統行事で用いられ、京都の地域社会に深く根付いてきた。しかし、2020年以降の新型コロナウイルスの影響により、多くのイベントが中止され、提灯業界の売り上げが減少した。
また、下京区のスローガンの一部、「訪れてよし」に該当する観光客数を調べた結果、2月の観光客数は一年の平均と比べて低いことが分かり、冬の観光政策に注目した。
私たちは下京区役所地域力推進室企画担当と高橋提灯株式会社へのインタビュー調査、『キャンドルナイト梅小路「伝燈祭」2023』の現地調査を行った。
これらを踏まえ、京都市下京区の観光客数とリピーターを増やし、下京区をより魅力的な観光地として位置付ける政策提言を行う。具体的には、2月に開催される「梅小路公園梅まつり」で提灯のライトアップ及びPRを行い、提灯の魅力向上と売上増加を見込んだ提案をする。
②京うちわ班「商店街と伝統産業のコラボレーション ――千本商店街・朱雀大路の街における京うちわの宣伝・展示の事例―― 」【分科会4】
京都には数々の伝統産業が存在しており、「京うちわ」もその1つである。しかし、近年、安価なプラスチック製のうちわが大量生産されるようになったことや、エアコンを代表とする家電の普及などの環境の変化によって、その認知度の低下が課題となっている。千本商店街・朱雀大路の街は京都市上京区西部の千本通に位置する商店街である。当該商店街は飲食店を始めとした個人商店が軒を連ね、伝統産業の事業所・商店も存在しており、伝統産業をアピールする取り組みも行っている。そこで、我々は地域の人たちが利用する商店街とのコラボレーションによって京うちわの認知度向上に繋げることを企画した。そのために、「株式会社阿以波」と「千本商店街・朱雀大路の街」にそれぞれインタビュー調査を行った。調査結果を踏まえ、京うちわの認知度向上と商店街のさらなる活性化を目的として、千本商店街・朱雀大路の街でのイベントでブースを出展することを提言する。
③京版画班「ワークショップで広げる京版画の魅力――伝統文化の周知と京都市北区の地域活性化を目指して―― 」【分科会5】
京版画は、仏教版画や浮世絵版画の流れを汲み独自の発展を遂げてきた。しかし京版画を含む伝統工芸品は認知の獲得に課題を抱えている。
そこで私たちは、経験や年齢を問わず比較的体験・実践が可能な京版画にふれる機会を設け、一般の方々に認知していただくことでその魅力発信・周知が可能になると考えた。そこで京都市北区にある佛教大学で小学生を対象とした京版画のワークショップを企画した。北区の基本計画に「若者のアイデアを地域で共有し、実践する機会をつくります」とあるように、若者が地域活動の主体となれる北区の方針と合致していると考えた。
私たちは、有限会社竹笹堂と株式会社法藏館へのインタビュー調査を行い、利用者の年齢層やワークショップの実施例を参考に、実際にワークショップを実施した。
本論では、ワークショップの参加者の反応、実施による効果や課題から、今後の伝統工芸の周知と京都市北区の地域活性化に対する展望を提言する。