研究の成果 >
第20回京都から発信する政策研究交流大会(主催:公益財団大学コンソーシアム京都)
日時:2024年12月15日(日)
場所:龍谷大学深草キャンパス
①京鹿の子絞り班「京鹿の子絞を使った子ども中心の地域づくりの可能性──ワークショップで伝える伝統産業の魅力」【分科会4】
京京都の伝統産業である京鹿の子絞の認知度向上と京都市の子どもを中心とした地域づくりが本研究の目的である。
京鹿の子絞は京都府一帯で製作されている染織物であり、京都の伝統産業として古来より着物を染める技法として盛んに行われてきた。しかし、近年の日本における生活様式の洋風化などの影響によって、京鹿の子絞は衰退の一途を辿っている。また、京都市では地域活動への参加率の低下が課題として挙げられている。
そのような課題を解決するため、私たちは京鹿の子絞について研究し、京鹿の子絞職人の一人である田端和樹氏にインタビュー調査、そして田端氏と共に京鹿の子絞の技法を体験するワークショップ(以下、WS)を行った。
WSには小学生とその保護者ら計28名の参加者が集り、オリジナルの手ぬぐいづくりを体験していただいた。その結果、京鹿の子絞の認知の向上と京都市の子どもを中心とした地域づくりの一端を担うことができたと考える。
②薫香班「薫香で創出する多世代交流の場──京都市北区での伝統産業のワークショップの実践 」【分科会9】
本研究の目的は、京都の伝統産業である薫香の親しみやすさの周知とともに、個人・企業・住民の協働による京都市北区の多世代交流の場を創出し、地域活性化を図ることである。
薫香は宗教的なイメージがあり、それをどう払拭し認知と供給を増加させるかが課題として挙げられ、京都市北区では多世代の交流の希薄化に警鐘が鳴らされている。このような課題を解決すべく、我々は京都の伝統産業の中でも全世代が手に取れる価格帯である薫香を選び、主催者である我々を個人、協賛していただく山田松香木店を企業とし、北区を舞台に地域住民の参加を集い、薫香の体験型ワークショップを2つ開催した。
その実践から、参加者同士の交流が生まれ、京都の伝統産業により興味を持ってもらうことができたことから、伝統産業の周知および多世代交流の創出の両者を実現するためには「きっかけづくり」が重要であると提言する。
③京くみひも班「京くみひもで広げる地域コミュニティのつながり――京都市北区の福祉施設での挑戦」【分科会10】
本研究の目的は、伝統産業の京くみひもを活用した京都市北区の包摂的な地域コミュニティの形成である。
京くみひもは仏具や装飾品などの様々な場面で使われてきたが、現在では帯締め以外にも髪飾りなど多岐にわたって使用されている。しかし、近年は日本社会の工業化による技術伝統の衰退や後継者不足が原因で需要は低下している。また、京都市では市民のコミュニティ意識はかつてに比べて希薄化しつつある。
そこで、こうした課題を解決するため、私たちは京都市北区に位置する就労継続支援B型事業所の西陣工房へのインタビュー調査と、同工房との京くみひもを用いたワークショップを行った。
その結果、京くみひもの周知や需要向上への貢献と、包摂的な地域コミュニティの形成には、さまざまな世代に対する京くみひもの周知と、障がい者と健常者が共生する包摂的な地域コミュニティの実現を目指す取り組みを行うことが重要なことが明らかになった。