研究の成果 >
第11回京都から発信する政策研究交流大会(主催:公益財団大学コンソーシアム京都)
日時:2015年12月6日(日)
場所:キャンパスプラザ京都
①晴明班「パワースポット化した神社と地域をつなぐ祭礼―京都市上京区の晴明祭の事例―」【分科会1(芸術文化・観光)】
京都市にある晴明神社は1000年以上の歴史があり、地域住民に親しまれてきた。中でも、神社の祭事である晴明祭は地域住民を結束する役割を担ってきた。
だが、2000年頃をピークとした陰陽道ブームによって晴明神社の祭神・安倍晴明が脚光を浴びた影響等もあり、晴明神社には国内外から観光客が訪れ、観光地と化した。また、メディアを通してパワースポットとして世間に知られるようになった。
晴明神社のパワースポット化に伴い、晴明祭を見物する観光客も増えているのか、陰陽道ブームの影響は地域住民の晴明神社・晴明祭への位置づけや意識に変化を与えたのか、という疑問を覚えた。そこで、陰陽道ブームの発生過程を調査し、陰陽道ブームと晴明神社・晴明祭の関係を観光客、地域住民へのアンケートやインタビューを通して明らかにする。以上を踏まえ、地域住民と観光地化した神社をつなぐ上で晴明祭が今後も地域住民を結束させる存在であり続けるための政策提言を行う。
② 時代班「時代祭イメージの研究」【分科会1(芸術文化・観光)】
百年余りの歴史の中で、いまや三大祭の一つと謳われるようになった時代祭。総勢約2,000名の行列は約2kmにわたり、1万2,000点にも及ぶ祭具とともに京都の歴史を再現する時代祭は見るものを魅了する時代絵巻である。
このような時代祭は神事ではあるものの、起源をたどると、明治28年、平安神宮の創建とともに執り行われた平安遷都千百年紀念祭に端を発し、京都の復興を願う思いが盛り込まれていたことなどから、宗教的な意義は弱く、観光事業的な側面が強いように感じる。
ついては、平安神宮、時代祭の担い手であり、京都の各学区や地域を単位として11社から構成される平安講社、また、観光客は時代祭に対してどのようなイメージを持っているのかという点に関心を持ったので、それぞれが持つイメージに関する調査を行うことにした。調査結果に基づき、今後の時代祭のあり方や方向性について提言する。
③船岡班「地域住民と都市祭礼の関わり―京都市北区船岡祭の事例から―」【分科会5(少子・高齢化②)】
地域社会の繋がりが薄まりつつある現代、隣人や近所への関心の希薄さが無縁社会をはじめ、高齢者の孤独死といった問題などを引き起こしている。そのような中で、祭礼は地域活性化の役割を果たすと考えられる。
今回は京都市北区の建勲神社で行われる船岡祭を事例に船岡地域との関わりを考察していく。船岡祭とは織田信長が初めて入洛した10月19日を記念して1869年の創建当初より催されている祭礼である。
祭礼と地域住民の間にどのような関わりが存在するのか、その関わりを地元住民や建勲神社の宮司様へのインタビュー、祭礼当日のアンケートと現地調査などを通じて解明していく。この地域は、学生と高齢者との交流が行われ地域福祉の活発な地域である。祭礼と地域との関わりを見るうえで、地域福祉が地域行事や祭礼にもたらす影響についても考察を行う。以上を踏まえて、船岡祭が今後、地域活性化の役割を果たすうえで求められる祭礼のあり方について提言する。