令和時代最初の『このミス』国内編の第1位は、『medium 霊媒探偵城塚翡翠』相沢沙子著でしたね。推理作家と霊媒師のコンビで殺人事件に臨む作品です。そして海外編の第1位は、アンソニー・ホロヴィッツの『メインテーマは殺人』。こちらは既読です。同著者の『カササギ殺人事件』も良かったですが、こちらも同じくらいに良い(個人的には『カササギ殺人事件』の方が若干良いですが)。特に著者自身が出演して探偵役に翻弄される様は、ホームズに対するワトソンそのもの。スジも良いですし、犯人捜しを楽しめます。
そう言えば、本日から映画版『屍人荘の殺人』が公開されるんですね。原作の世界観をどう映像化するのでしょうか。気になります。
日頃お世話になっている方から無料観覧券を頂いたので、大阪の中之島にある国立国際美術館に行ってきました。
行く前はシーレの画を楽しみにしていたのですが、実際はクリムトの画が凄い‼️
クリムト画の持つ“凄み“にひたすら圧倒され、そして魅了されてしまいました。
彼の描く「寓話」「悲劇」「愛」などの寓意画を間近で観ると、難解な画に込められた意味を自分なりに想像せざるを得なくなります(想像を掻き立てられる)。それが非日常的で、刺激的で、楽しいのです。
目当てのシーレも観ることが出来たし、行って良かったぁ。
寓話
愛
悲劇
私は鉄道ファンではありませんが、なぜか列車の「車窓」は好きで、普段の通勤や移動目的で乗る列車の車窓から眺める何気ない「景色」に魅力を感じるときがあります。
そういえば、テレビ朝日に『世界の車窓から』という旅番組がありますよね。1987年スタートの長寿番組で、ちょっとした旅行気分が味わえるということで人気があるようです。
番組では、列車の「車窓」が旅の象徴になるよう演出されていて、知らない土地や知らない人と出会う「接点」になっています。これは言わば「旅の車窓」であって、普段乗る列車の「車窓」、つまり私の好きな「日常の車窓」とはちょっと違う気がしますが、とにもかくにも列車の「車窓」が好きな人は、私が思う以上に多いのかもしれません。特に「旅」に絡むと猶更の感があります。
ある日、友人と会話をしていて、ふとしたことから鉄道の話になったことがありました。そのとき私は、列車の「車窓」が好きなことを話したと思うのですが、それに対して、「乗り鉄」やね、と友人が私に言ったのでした。ちなみに「乗り鉄」とは、鉄道を「撮る」ことより鉄道に「乗る」ことを重視している鉄道ファンのことです。列車の「車窓」が好きとはいえ、私は通勤や移動のためなど必要がなければ列車に乗らないですし、そもそも鉄道ファンでない私が「乗り鉄」を名乗って良いものかどうかは未だに疑問です…
さて、先日昼休憩をしているとき、私はぼんやりと『大阪駅から行く 青春18きっぷの旅』という雑誌を見ていました。タイトルに釣られて、梅田の紀伊國屋書店で衝動買いしたものです。
読むと、これが青春18きっぷの旅の醍醐味と言わんばかり。旅程に慌ただしさはあるものの、普通列車の旅に魅力を感じます。続けてページを捲っていくと、途中にコラムがありました。題名は『青春18きっぷで近くの異国へ』。岡野大嗣という歌人が書いたもので、そこに次の歌が載っていました。
『何も起こらない映画を見るように降りない駅の眺めを愛す』
この歌では、鉄道の旅の「車窓」から眺める景色を「何も起こらない映画」だと例えています。私は、これは言い得て妙だと思いました。列車の「車窓」の外には、知らない駅があり、知らない土地があり、知らない人があり、知らない生活がある。想像すれば、そこには物語がある。それでも「車窓」から外を眺めている私は異邦人であり、「車窓」の外の世界は想像するしか出来ない。そこにもどかしさも感じる。しかし、それだから良いのだと思う。青春18きっぷの旅の魅力は、普通列車の「車窓」から見る景色にあり、というわけです。
日帰りでも良いので、青春18きっぷの旅に行きたい。そういう気に誘われた先日の昼休憩なのでした。
~社労士(社会保険労務士)は、どんな仕事をしているのか?~
これは、社労士の私が、公私ともによくされる質問です。
事務系の仕事をされている方でも、そもそも「社労士」という名称を知らない方や、名称は知っているけれどどんな仕事をしているのかよく知らない方がいますので、いわんや一般の知名度をや、というところでしょうか。
社労士の知名度は、私の実感では、弁護士・税理士・司法書士など他士業に比べて、圧倒的に低いのが現実です。会社の事務処理代行を主たる業務にしている上に、名称から仕事内容をイメージしにくいからかもしれませんね。
そこでまずは、社労士とは何か、についてご説明したいと思います。
社労士は、「労働保険」と「社会保険」、それから「年金」に詳しい「国家資格者」といえます。
少しでも、イメージが湧きますでしょうか?
具体的な業務内容となると、これではさすがに中々実感が湧かないと思います。
あえておおざっぱに言えば主に「会社の総務部のお手伝い」をしているのですが、社労士の業務について、少し補足してみます。
社労士の主な業務は、
① 従業員が業務中にケガや死亡したときなどのための「労災保険(労働者災害補償保険)」、従業員が離職したときや育児・介護を理由に休業するときなどのための「雇用保険」、業務を離れた私生活の様々な場面で必要な補償となる健康保険や厚生年金などの「社会保険」。これらの保険手続きのために必要な「各種書類の作成」や「官公庁への届出」を代行すること。
② 従業員の「給与計算」業務や、出勤簿や賃金台帳など「帳簿書類の作成」を代行すること。
③ 会社と従業員とのトラブル防止のために、「会社独自のルールブック(就業規則)」や「会社と従業員との協定書(36協定など)」を作成すること。
④ 必要な社内のルール作りに関連して、福利厚生の充実、給与体系の見直し、コンプライアンスや法令改正の対応など会社の「人事面での制度運用のサポート」をすること。
⑤ 従業員の採用から退職までに起こる、労働保険や社会保険、従業員とのトラブルに関する様々な「相談」を受けて、解決案を提示すること。
⑥ 「年金相談」を行うこと。
などです。
さらに最近ニーズが増えてきたのが、「公的助成金」や「障害年金」の申請代行業務です。こちらも、社労士の重要業務になります。
『ちなみに・・・さらに少し補足。
「労働保険」というのは、「労災保険(労働者災害補償保険)」と「雇用保険」の総称です。
「労災保険」とは、労働者が業務中にケガをしたり、亡くなってしまった場合に労働者を補償するための保険ですね。保険ですので、業務中にケガをしてしまったときの治療代の支払いや、ケガが原因で休業してしまった場合や亡くなってしまった場合の補償などを保険給付として行います。保険料は、全て会社が負担します。
一方「雇用保険」は、労働者が失業してしまった場合や、育児や介護で休業する場合に生活補償を行ったり、労働者が教育訓練を受ける場合に費用の一部補助などを行います。保険料は、会社と従業員双方で負担します。
ちなみに、厚生労働省管轄の「助成金」の財源は、原則事業主が負担する雇用保険料から支出しています(「特定財源」といいます)。つまり助成金は、会社にすれば国に支払った「保険料の還付」であるということです。
そして、
「社会保険」は、健康保険や介護保険など公的社会保障制度として定められたものを、「年金」は、国民年金や厚生年金保険、確定拠出年金などをさします。』
~小説『ひよっこ社労士のヒナコ』から見る、社労士の仕事とは。~
ここで、小説『ひよっこ社労士のヒナコ』(水生大海 著)をご紹介したいと思います。
最近何気なく読んだ本なのですが、なかなか読みやすく、今回の雑記のきっかけとなりました。
新米社労士の奮闘と活躍をとおして、「社労士の仕事」がよくわかる本です。
小説のあらすじは、26歳の新米社労士・朝倉雛子が会社で起こる6つの事件を社労士としての立場で解決するという内容で、一見地味な社労士の仕事をうまく読みやすい小説にまとめています。もちろん、エンターテイメント性もあります。
女性が主人公というのも、女性が多く活躍する社労士の現状をよく表していると思いますね。
ちなみに、6つの事件のポイントは、以下の通りです。(書籍ブックカバーの帯文から引用)
① 「使わなかった有給休暇分の給料をちょうだい」と要求する元社員。
② 「ネットに投稿した従業員を辞めさせたい」居酒屋チェーン店専務。
③ 「育児休業なんてあり得ないから」と言いはなつIT企業創業社長。
④ 年末調整のチェック作業が佳境のなか、幹部の重要書類が行方不明。
⑤ 部下が自殺未遂したのに「バカにつける薬はない」と罵倒する上司。
⑥ 「残業代が増えるのは困る」と苦悩するアパレルメーカー総務部長。
以上6つの事件を社労士として解決に導く過程は、小説というフィクションでありながらも、社労士の仕事内容(特に、会社で起こる様々なトラブルに対するコンサルティング業務)そのものです。
事件のポイントを見ると、何だかどの会社でもありそうな話ですよね。そのありそうな話を仕事として取り扱うのも「社労士の仕事の一つ」なのです。
一読して頂ければ、「社労士の仕事」についてのイメージを掴んで頂けるかと思います。
社労士って普段どんな仕事をしているのか、について知りたい方におススメの小説です。
~企業側に立つ、社労士。~
小説に描かれているとおり、社労士のクライアント(お客様)の多くは「企業(中小零細企業の社長さん)」です。ですから、労働者側に積極的に立つというのではなくて、職務上の立場としては企業側に立つことが多いです。
もちろん、労働者の側に立って、限定的ですが「個別労働関係紛争」や「団体交渉」に携わる方もいますし、個人相手の「年金相談業務」に携わる方もいますが、今のところは少数であるのが現状です。
とはいえ、社労士のほとんどが、自分が会社に関わることで労使関係を少しでも良くしたい、と思っているのは確かだと思います。そういう意味では、労働者のために働いている、と言えるかもしれません。
私も社労士として会社の制度作りのお手伝いをすることが、その会社にとってはもちろんのこと、更に「そこで働く従業員にとってもプラスになる」と信じて働いています。
~「勤務社労士」としての道もある。~
社労士の中には、「一般企業」に勤めながら企業内で社労士業務を行っている方もいます。また、年金事務所やハローワークなどの「行政機関」で社労士として勤務されている方もいます。
社労士としての「働き方」も様々なのです。
~社労士に業務委託するメリットとは。~
社労士に業務委託をする最大のメリットは、会社に「良い変化」をもたらすことです。
具体的には、「社内人事制度の適正化」や「コンプライアンスの取り組み」などを会社が社労士と協同することによって、労務面での環境改善を行い、その結果、従業員にとっては「より働き甲斐のある会社」になり、会社にとっては従業員の「生産性の向上」に繋がる、というメリットがあります。
一方、社労士に業務委託するには相応のお金が掛かる、ということがあります。
先ほど申し上げた「従業員にとっては「より働き甲斐のある会社」になり、会社にとっては従業員の「生産性の向上」に繋がる」というメリットは、すぐに会社の数字結果として表れるものではありません。
ですから、数字など目に見える形で、社労士に支払った料金分に見合うメリットを知りたい、という経営者様は多いかと思います。
そこで、私は社労士に業務委託する「その他のメリット」を知って頂きたくて、思いつく「3つの事例」を考えてみました。
まずは以下の3つの事例を見て頂いて、社労士に業務委託することによる「金銭的メリット」や「リスクヘッジ(損失回避)によるメリット」が、社労士に業務委託する費用に見合うかどうか一度検討してみて下さい。
・事例1(金銭的メリット)
「事務担当を一人雇ったときの「人件費の削減」効果」
この事例は、仮に事務担当者を一人雇用した場合の人件費をシュミレーションして頂きます。例えば、「月給〇〇円+従業員の保険料の会社負担分〇〇円+教育訓練費〇〇円+福利厚生費〇〇円」という具体的な金額計算で算出します。
・事例2(金銭的メリット)
「「助成金」受給の可能性」
この事例は、実際のところ会社の状況にもよります。状況によってはすぐに助成金の申請が難しい場合もありますが、助成金というのは受給要件さえ整えば、「どの会社も申請出来る可能性が高い」性質のものです。各助成金の受給額はわかっていますので、申請可能な助成金額から申請にかかる経費分を差し引いた金額を算出します。
・事例3(リスクヘッジ(損失回避)によるメリット)
「コンプライアンス違反などに対するリスクヘッジ(損失回避)効果」
この事例は、会社が法令違反を指摘され是正勧告を受けた場合に会社がこうむるであろうリスクを「事前に回避」することで受けるメリットになります。
例えば、仮に監督署から未払い残業代があることを指摘された場合、当然に会社は「未払い残業代」を支払う必要が出てきます。あとで未払い残業代を支払うとなると、会社はまとまった費用と正確な未払い残業代を把握するためにそれなりの時間を使わなければなりません。
ちなみに、先日公表された厚生労働省の報告によると、平成30年度に監督署から法令違反で是正指導された企業のうち「100万円以上」の未払い残業代を支払った企業、その1企業当たりの支払平均額は、「711万円」でした。
そして法令違反の場合、最も怖いのが目に見えない「社会的信用の喪失」です。
これは最悪の場合、顧客や取引先の減少による「売上の減少」が懸念されます。
また、ブラック企業の汚名がSNSなどによって社会に拡散することで、離職者が増え、更に新規採用がより困難になれば、会社の存続すら危うくなりかねません。
いかかでしょうか。
社労士に業務委託することで、法令に対応した適正な事務処理を継続して提供することが出来、法令違反による「余分な費用や時間の発生」や「社会的信用の喪失」を事前に回避することが出来ます。
~社労士を選ぶコツ。~
大阪では、社労士業務を仕事にしている方が沢山います。ちなみに、私が所属している大阪府社労士会の大阪北支部は、2019年4月1日現在で、565名(内開業311名)います。
そんな中、社労士を選ぶときの基準、どういう風に選ぶのかということがありますけれど、やはり当たり前のことではありますが、社労士としてだけでなく社会人としての倫理観をしっかりと持っている、社会人として信用が出来る、ということが最も重要です。
そういう意味では、信頼のある人からの「紹介」が良いと思います。
あとは、頻繁に改正される関係法令や人事労務に関する情報に対応出来ている人ですね。
法令が変わっていたのに対応出来ていなかった、とか、しなければならないことが出来ていなかったとか、そういう事例があることをたまに耳にします。
ちなみにですが、社労士としての業務に精通しているというのは、国家資格を持つ専門家でありますので、あえていうまでもありません。
その他、社労士の「専門分野」で選ぶ、という基準もあります。
保険や年金の手続きに始まり日々の労務相談までを取り扱う社労士の業務範囲は広く、社労士によっては特定の専門分野をお持ちの方が多くいます(例えば、就業規則の作成が得意な社労士、年金相談が得意な社労士、助成金の申請が得意な社労士など)。
社労士は国家資格を持った「労務と年金のプロ」ですが、ピンポイントに業務を委託したい(例えば、障害年金の支給申請など)という場合は、「専門分野」を基準に選ぶのも良いと思います。
~最後に、私から少しだけ「お願い」があります。~
信頼のある人からの「紹介」があれば安心ですが、残念ながら誰もが紹介を受けることが出来るわけではありません。紹介のツテがなく、どの社労士にお願いすれば良いのかわからない場合もあるかと思います。
その場合、まずは社労士に一度電話をしてみて、電話対応の印象で決めて頂いても良いかなと思います。
ここで私からの「お願い」ですが、その際には、まずはぜひ当事務所に気軽にお電話を頂ければ幸いです。
以上、恐縮ですが、最後に私から「営業」を少しさせて頂いて、本日はここまでにいたします。
長文失礼いたしました。
そして、最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。
今後とも何卒宜しくお願いいたします。
社会保険労務士 川口 康介
お問合せは、こちらまでお気軽に(^^)/:📞06-6136-5490
明日(今日?)は参議院選挙ですね。
今回の選挙では、年金・医療・介護などの社会保障と税の在り方をはじめ、少子化対策、教育・子育て支援、経済・金融・貿易対策、憲法改正の是非、外交・安全保障問題、環境対策、皇位継承問題など国政の政党や候補者を選ぶ上で様々な争点があります。どれも大事な争点ですが、中でも持続可能な社会保障制度と関連する「消費増税」の是非について、私は特に注目しています。今年の10月から消費増税が予定されていますが、現状のまま実施されることによる「生活への影響」を心配しているためです。
政府は、持続可能な社会保障制度を維持するためにはどうしても消費増税が必要だと言います。また、日本経済は順調に回復しつつあり、完全失業率は低下し雇用は確保され、最低賃金の引き上げにより賃金は着実に上がっていると言います。消費増税の下地は出来ている、というわけです。
それでも、私たちの生活の糧である「賃金」の状況を見ると、額面を示す名目賃金は上がっていても、購買力を示す実質賃金がほとんど上がっていません。それを裏付けるように、厚生労働省が先日公表した「平成30年 国民生活基礎調査」でも、生活意識が「苦しい」とした世帯は 57.7%もいます。
実際は、消費者の購買力がほとんど上がっていない状態です。そこへ国民にあまねく負担を強いる消費増税を課すことで、景気回復の兆しが少し見え始めた日本経済に冷や水を浴びせはしないか、という懸念を私は拭えません。何よりも、日本経済が悪化した場合、雇用や賃金などへの影響により私たちの生活意識が低下しないでしょうか。
日本の少子高齢化の現状を考えると、消費増税が不要だとまでは言いません。しかし、それは「今」必要なのでしょうか。
年金でも金融経済でも、政府に大丈夫だと言われて、素直に「はい、そうですか」と信じることが難しくなってきています。だからこそ、現状政府に任せきりではなく、未来のわたしたちや子供たちのためにどのような社会であってほしいのか真剣に考えて投票しないといけないと思っています。
ところで、添付のリンクは、リクルートワークス研究所の「定点観測 日本の働き方」です。「賃金」についての記事が掲載されています。
https://www.works-i.com/column/teiten/detail024.html
以上、Facebook投稿(7月21日付け)より訂正転記しています。
7月5日、公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、2018(平成30)年度の運用結果を公表しました。
今回公表された運用資産額「159兆2,154億円」(2018年度末現在)のうち、GPIF基本ポートフォリオ(投資割合の内訳)※参考によれば、私たちの公的年金のおよそ半分「79兆6,000億円」が国内・国外株式で運用されていることになります。私は金融の専門家ではありませんが、率直な感想では、これはとてもリスクのあることだと思います。
一方、株式運用という形で、巨額な年金資産が株式市場に投入されていることで、日本の金融市場での株価上昇が支えられているという一面も否定できません。これが日本経済を支えている、もっと言えば「アベノミクス」を支えているといっても過言ではないでしょう。
アベノミクス政策の可否についてはわかりませんが、投機的な株式市場に公的年金積立資産の半分も投資して、本当に私たちの年金は大丈夫なのでしょうか?
現在のところ運用実績で運用益は出ているものの、改めて不安を感じました。
また、先般の金融庁の報告で、国は「年金制度の安定」しか保証しないことが明らかになりました。それでも政府は、年金を含む社会保障による「老後のくらしの安心」を掲げます。
そして、今年の10月には消費増税が予定されていて、税収は「全世代型対応」の社会保障4経費(年金、医療、介護、子育て)に充当されることになっています。
消費増税は「年金」のためだけではありませんが、GPIFによる公的年金の運用リスクをどう見積もるかによっては、社会保障政策にも影響が出るのではないでしょうか。それを考えると、先行きの議論も不十分なままで、国民全員に大きな負担を強いる形の消費増税が適切で、かつすぐに必要なものなのか疑問が残るところです。
参考:GPIF基本ポートフォリオ(投資割合の内訳) 「2018(平成30)年度 業務概況書」より。
国内債券:35%
国内株式:25%
外国債券:15%
外国株式:25%
外部サイトリンク:「2018(平成30)年度 業務概況書」(年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF))
https://www.gpif.go.jp/operation/annual2018_report_q4.pdf
以上、Facebook投稿(7月9日付け)より訂正して転記しています。
(追記)
コメントへの返信
コメント:GPIFによる年金積立資産の株式投資について。
日本の株式市場で日本人同士で潰しあいにならない保証がどこにあるのでしょう?大切なお金を、簡単にリスク資産につっこんで、世界と太刀打ちできる戦略と勝算があるのか、不安になります。
返信:川口社会保険労務士事務所
株式の売買損益のみを考えた場合、結局は、投資家たちの投資資産で、株式市場での限られたパイ(収益)を奪い合っていることになるのではないかと思っています。
GPIFは間違いなく大口の機関投資家ですが、株式市場には、その他国内外の機関投資家も、国内外の個人投資家もいます。そこにはもちろん、知識の差による、あるいは資産の差による「力関係」が存在します。その「力関係」を認識せずに行われる株式投資は怖いと思います。
金融庁は、不足する老齢年金を補充する形での「自助努力」として、投資による資産形成を推奨していますが、本音をいえば、個人資産を金融政策に利用したいのではないでしょうか。
その結果は、投資された個人資産はもとより、私たちの年金積立金という自分たちの将来資産を国内外の投資家たちと奪い合っていることにも繋がるような気がします。
また、老後資金のために個人が株式投資をすることによって、株式市場に大量の資金と弱い個人が入ってくる。そういう背景のなか、株式の売買収益という形でGPIFに仮に資金が流れたとして、これが老後資金の形成といえるのでしょうか。
私は、何となくという以上に、恐ろしいことに思えてなりません。
個人が金融の知識もないままで、仮に国や機関投資家の言いなりで投資をしたとして、「リスク」という名分で資産が減っていくことも可能性として十分にあるわけです。これはとても危険なことではないでしょうか。
以上、Facebook投稿より訂正して転記しています。
『RPA とは、機械学習・人工知能等を活用し、ホワイトカラー業務を自動化する仕組みで、仮想知的労働者(Digital Labor)とも呼ばれる。』
上記は、「第13回労働政策審議会労働政策基本部会(3月18日開催)ヒアリング概要 資料1」(以下、「参考資料」という)からの引用です。
ちなみに、労働政策審議会は、法律によって厚生労働省に設置されている審議会の一つで、大臣の諮問に応じ、国の労働政策に関する重要事項の調査や審議を行っています。
一社労士としては、HR(人事)を取り巻く「AIによる業務の効率化」の状況を理解しつつ参考資料に目を通しましたが、それでもまだ勉強不足なところは正直にあります。
それにしても、私たちの「労働」環境はどう変わっていくのでしょうか。
もう少し、参考資料から引用します。
『RPAが適している業務は次の3つを満たすもので、①情報が電子化されているもの、②定常的に発生するもの、③処理方針や判断ルールが明確なもの。これに照らして考えると、かなり多くの業務にRPAの導入が可能と考えられる。』
『RPA BANKという会員制サイトの情報では、既に大企業では約40%の企業が本格展開に進んでおり、300名未満の中小企業においても約50%の企業がトライアル等の何らかの形で導入に取り組んでいる。』
上記のように、 HR(人事)の世界では、既にAI技術を用いた業務の効率化が始まっています。そして、我々社労士の独占業務である労務関係手続きにおいても、政府の電子政府化の推進により、各種届出書類の作成・届出・申請などの電子化による業務の効率化が今後もますます加速拡大していくものと思われます。
AI技術は、「将来の生産人口の減少」や「生産性の向上」とも関わってきます。各企業は、慢性的な人手不足の中で、法による労働規制の強化に対応し、かつ将来の生産人口の減少が見込まれるビジネス環境に適応する必要があります。それができなければ、これからの社会で企業として生き残ることが難しい。その点で、ダーウィンの「適者生存」はビジネスにも当てはまる、といえます。つまり、変化するビジネス環境に適応した企業だけが生き残る。
ですから、生産人口減少社会において、最早解決しがたい人手不足解消を願うよりも、より少ない人材で利益を出すために、いかにAI技術を活用し、ビジネスに利用できるかを考えることにシフト・チェンジする企業が増えるのも頷けます。それが、日本企業において、大企業で約40%、300名未満の中小企業で約50%が、実際にAI技術の活用に乗り出している背景でしょう。
まだ課題も残りますが、AI技術が、企業に係る労働法規制の強化と生産人口減少社会においての更なる人手不足予測を背景に、よりビジネス社会に、とりわけ労働環境に浸透するのは最早待ったなし、というところでしょうか。
更に、注目されるのは、次の参考資料からの引用部分です。
『従来、財務や経理の人はその部門の基礎知識を伸ばし、マネジメントスキルを身につけてキャリアアップすることが一般的だったが、RPA等の導入に伴い、RPA等による改善の推進やIT活用という新たな軸ができ、労働者とロボット等を両方とも活かすスキルが必要になる。』
これは、いわゆる中間管理職や上級マネジメント層での、必要とされる労働技術の増加です。
働く人にとっては、業務効率化の恩恵を一部受けながらも、生産性向上のため個人の高いスキルがより要求される厳しい時代になりつつあります。
ともすれば、アナログ派のわたくし。
他人事ではなく、参考資料を単純に興味深く読んでしまいました。そして、AI技術に関する日々の勉強と対応の柔軟さを持つことが、当然の様に必要な時代なのだと改めて思いました。