ヨーロッパのいくつかの国では、ものみの塔に対して税金がかけられています。例えばフランスでは、1998年6月22日に、それまでの出版活動によって得られた収入に対して日本円にして72億円の課税を決定しました。ドイツでは組織の所有している不動産に固定資産税が請求されていますし、スウェーデンでは支部で働く証人たちに対して、一般のサラリ―マンと同じ課税がされています。
ものみの塔本部は、1998年7月5日付けのニューヨークタイムズの日曜版に一頁を占める全面広告を出し、その中で、統治体を代表してライマン・スゥイングルがフランス大統領にあてた公開の手紙を掲載しました。そして自分たちの組織を、フランスのなかで「三番目に大きなキリスト教」であると定義していたのです。別に出された広報部の報道発表では、「他の二つのキリスト教教団が課税されないのに、三番目に大きなキリスト教教団が課税されるのは不公平である」とも述べています。エホバの証人とものみの塔は、自分たちのみが真のキリスト教だと主張していながら、お金のことになると自分たちは他のキリスト教教派と同列だと主張しだしたのです。
ものみの塔は1990年代から、冊子購読から信者の自発的な寄付に集金方法を変更しました。その理由は、プロテスタント伝道師の冊子販売の売上に対してアメリ力で課税が行われたからでした。この伝道師は収入に対して非課税を主張し、裁判は最高裁まで争われましたが、この時ものみの塔は、この嫌悪しているはずのキリスト教会の伝道師の立場を支持する文書を裁判所に提出しています。3月に出た判決は敗訴でした。その後の「ものみの塔」の反応は素早いものでした。3月の出版物には既に購読料の記述はなくなり、3月末には信者に自発的な寄付について説明がされました。税金逃れの一つの手段として「自発的な寄付」に変更したのでしょう。
ものみの塔は、国連を黙示録の「緋色の野獣」だと教え、ものみの塔1984年9/15号p15の記事には「国連は、獣のような組織(目に見える政治的,商業的組織)もろとも間もなく滅ぼされる」と書かれていますが、この国連に加盟していた時期があります。
国連のウェブサイトを詳細に調べた現役や元エホバの証人が、ものみの塔と国連に対しその信憑性を明らかにするように求めた結果、ものみの塔は「これは間違いである、そんなことはあり得ない」と片付けようとしましたが、国連からの手紙によりその全容が明らかになりました。
ものみの塔は、国連憲章の原則への支持と尊重を含む参加への必要条件に同意していたのです。
国連のウェブサイトでは、NGOの国連への協力の条件として次の四項目を挙げていました。
1.国連憲章の理想を共有すること。2.運営は非営利な基盤にのみ基づくこと。3.国連に関する問題に明らかな興味を持ち、教育者、報道関係者、政策遂行者、商業関係者などに呼びかける能力があること。4.ニューズレターや広報やパンフレットを出版したり、カンファレンスやセミナーを主催したり、報道機関を動員したりして、国連活動に関する効果的な情報プログラムを行う義務と能力をもつこと。
そしてその後、突然離脱したのです。1991年に国連の広報部門に協力することを申し込み、1992年に承認され 、2001年10月9日をもって提携を解消しました。この事実は、10月15日のイギリスの新聞、ガーディアンによって「『偽善』エホバの証人、国連との秘密の関係を放棄」という表題の記事で大きく報道されました。ものみの塔は信者たちに、国連の図書館を借りるためだけに加盟したと説明しましたが、図書館を借りるために加盟する必要は全くないことが、国連からの書面による回答で確認されています。
1990年代、ブルガリアで、ものみの塔が宗教団体として認められるために争点となったことは、輸血禁止と徴兵拒否でした。組織は、欧州連合の人権委員会の書類にサインをし、ブルガリアの信者が輸血することに統制や処罰は行わないことを公式に宣明したのです。また、非戦闘民間代替業務を提供してもらうことになりました。ブルガリアの信者には輸血を許したのです。しかし、その他の信者に対しては処罰が行われ続けてきました。その方法は、排斥から「自らエホバの証人を断絶したものと見なされる」までに変化し、さらに現在では、長老が説得して「悔い改めます」の言葉があれば処罰しないケースがあるそうです。
さらにものみの塔は、株式投資も行っていて、軍需産業にも投資しています。軍隊や娯楽などについて、信者には「すべからず」を突きつけておきながら、自らは利得のために世を大いに利用しているのです。
「神の王国は支配している!」 18章 p196『王国の活動の資金はどのように賄われているか』の記事では、次のように書かれています。ラッセル兄弟とその仲間たちは,キリスト教世界の諸教会のように,資金集めのために策を弄したりはしませんでした...「この雑誌は人間に支持を乞い求めたり,懇願したりはしない。『山々の金と銀はみな我がものである』と言われる方が必要な資金を供給しないなら,それは出版を中止する時である,とわたしたちは考える」。 また、ものみの塔 2013年7/1号p4『宗教を信頼できますか -お金に関して』の記事では、「証人たちは,決して寄付盆を回しませんし,手紙で寄付を要請したりもしません 」とも書かれています。
しかしものみの塔は、実際は資金集めのために策を弄しているのです。ベテルの大規模リストラを行いました。お金のかかる特別開拓者も減らしました。その自発的な奉仕者の老後の生活については何の援助もありません。出版物については、紙の質を落とし、発行数も減少させています。また、教理をコロコロ変更しているため、「廃棄を承認した出版物リスト」を作成し廃棄を指示しています。
一つの王国会館を複数の会衆で使うようにし、王国会館の売却を進めています。会衆の3ヶ月分の運営費を残して、あとは全部本部に送金するように指示が変更されました。近年では「寄付」という言葉は頻出し、組織からの手紙でもたびたび実質上の「懇願」がなされるようになっています。
また、ものみの塔がブルックリンの土地を買い占めていた時代には、アメリカでは宗教法人として認められていますから、土地の固定資産税は支払わずに済んでいました。そしてその不動産の売却益は莫大な金額となりました。
しかし一方では、ものみの塔本部はブルックリンを処分し、かなりの資金がかかる施設をウォーウィックに建設し移転しました。「終わりは近い」と宣伝しながら、「建物を楽園でも使用する」という苦しい説明です。信者たちには簡素な暮らしを勧めているにもかかわらず、統治体や上層部たちの生活は保障されているのです。
ものみの塔 2015年5/1号p7–8の記事では、「本誌は優に100年を超える期間,世界の出来事に関する情報を提供してきました。終わりが近づいていることを読者が自分で確かめられるようにするためです 」という内容と「エホバの証人は,終末論者ではありません」との内容が同時に書かれています。この二枚舌を使う組織から、信者たちがどうか早く救出されますように。