ヒロズコガ上科は食性が非常に多様化したグループであり、腐食性・菌食性・植食性・動物質食性の種が含まれています。
採集も一筋縄ではいかず、様々な方法で行う必要があります。
腐植食性
腐植食性と言っても、樹皮・材・枯葉のほかコメの脱穀殻など、いろいろなものを食べています。
変な生態として、生きたシダに産卵し、幼虫は落ちてリターを食べるTineovertex属が居ます。
また、ツマオレガ亜科の一部は、ゴールや鳥の巣の乾燥した海藻を食べることが知られています。
採集方法
基本的に幼虫の存在を確認することは不可能なので、食べていそうなホストを持って帰る方法が主になります。
菌食性
ヒロズコガ科のオオヒロズコガ亜科には、シイタケの害虫が含まれています。
ヒロズコガは硬いキノコ(サルノコシカケなど)を好むため、これらをもいできて、しばらく置いておくと成虫が羽化することがあります。
また、菌類と藻類の共生体である地衣類を食べるものもいます。
採集方法
キノコに幼虫が潜っているとフラスが出ていることがあるので、このようなキノコを回収します。
地衣類食いの種は壁面や樹皮などに生えた地衣類を外からかじっているので、見つけ取りが可能です。
植食性
ミノガ科の多くは植食性であり、生きている葉を食べます。
また、ヒロズコガ科のPsychoides属のみが、シダの胞子を食べます。
採集方法
ミノガは幼虫のケースを見て回収します。
シダの胞子食いの種は、幼虫がいると胞子が荒らされているので、シダの裏面を頑張ってめくりながら見つけ取りします。
動物質食性
虫や鳥などの死骸や、ネズミ・鳥・コウモリなどの糞・毛などを食べるものがいます。
衣類の害虫であるイガもヒロズコガ科に含まれます。
ほぼすべての種は動かない動物質のもの食べていますが、コスタリカにはミノガ科では例外的な他の昆虫を襲って食べる捕食性の種が知られています。
採集方法
腐食物や羽毛などを用いたベイトトラップで採集できるものもいます。
おまけ:変わった食性をもつヒロズコガ類
ヒロズコガ科には変わったところから得られている種というの数多く確認されています。
一部の種はハチやシロアリ、アリのほかネズミなどに寄生している可能性があるとされています。
以下変な生態を持つヒロズコガたち(国内未確認)
・Acridotarsa属 (ヒロズコガ科フサクチヒロズコガ亜科)
分布:オーストラリア周辺
生態:シロアリの巣に生息し、幼虫などを食べている可能性があるとされている。
幼虫の形態が特徴的で、他のヒロズコガ類には見られない太い突起がある。
・Asymplecta属 (ヒロズコガ科メンコガ亜科)
分布:パプアニューギニア・ジャワ島周辺
生態:ピンポンノキ属の植物の葉に潜るという記録がある。
ヒロズコガ科は生葉食いの種はほぼおらず、リーフマイナーは上科レベルで確認されていないため詳細が気になる。
・Cephimallota属(ヒロズコガ科フサクチヒロズコガ亜科)
分布:汎世界。日本にはハチノスヒロズコガのみが記録されている。
生態:ハチの巣から得られる。内部から得られることもあるが、いくつかの種は入口に幼虫がいるらしい。
・Amydria属(トゲバネガ科)
分布:南米?
生態:ネズミの巣からメスのみが見つかっている。機能的な翅を持つ一方で、大きく発達したかぎ爪を持ち、ネズミの背中から複数の個体が得られている。
2024. 5. 27 朴鎮亨