ハマキガ科の共有派生形質は、頭部の前額の鱗粉の向きや、雌交尾器のpapila analisの形状などが挙げられています。
しかし、例外が存在することや、形態形質がわかりづらい種、それぞれの形質に似た形態的特徴をもつ別のグループの存在があるため、形態形質をいくつか組み合わせて判断することをお勧めします。
そこで、共有派生形質の2つと、それ以外のわかりやすい特徴である下唇鬚の形態的特徴を紹介します。
1.前額の鱗粉の向き
ハマキガ科の種は頭部の前額の鱗粉が、上半分は上から下に向かい(下画像紺色)下半分は下から上に向かう(下画像水色)という特徴をもっていることが多いです(一部のハマキガでは例外も存在します)。
2.下唇鬚
ハマキガ科の下唇鬚は3節で成り立ちます。
多くの種では、1節目(下画像緑円)はとても短く、2節目(下画像水色円)は長く、先端に向かうにつれ、鱗粉が密に突出するため、先端に向かって広がっていくように見え、3節目(下画像茶円)は短く、やや下に向かうという特徴がみられます(ハマキガ以外のグループにも見られることがあります)。
3.雌交尾器のpapila analis
ハマキガ科の雌交尾器のpapila analis(下画像水色円)は扁平な1対のわらじ状です。
この特徴は解剖せずとも、雌の腹部先端を見ることで確認できます。
これ以外にも、単眼が存在することや口吻に鱗粉が存在しないことなど、ハマキガ科を特徴づける形質がいくつか存在します。今回挙げた3つは、特徴的でわかりやすい形質かと思います。
皆さんのお手元にもハマキガらしき個体があれば、ぜひこれらを見てみてください。
2023. 12. 07 鈴木信也