9月の一斉清掃の計画に再考を求める市長への手紙(R07.9.7)
令和7年9月7日、宗像市緊急情報伝達システムからも連日熱中症警戒アラートが発せらる状況で行われた一斉清掃において、城南ヶ丘の参加者から「このような暑い時期の屋外作業は危険です」という苦情が複数ありました。城南ヶ丘では常時200人前後(当日は173人)が参加する一斉清掃で熱中症を回避するための施策は非常に困難であったため、当日の役員会で、宗像市の「市長への手紙」制度を用いて、宗像市に対して、暑い時期に一斉清掃をさせないで下さいという手紙を、役員の全員賛成で可決して送付しました。
市長から以下の回答がありました:「本市では、春(5〜6月)と秋(9〜10月)の年2回、市民の皆様のご協力を賜り、市内の環境美化のため一斉清掃を実施しております。実施日は、各自治会が、上記期間内で決定し、コミュニティ運営協讒会が集約の上、市にご報告いただいております。」しかし、役員を含む自治会員にとって、自治会に一斉清掃の実施日の決定権があることは知らされていませんでした。
吉武地区コミュニティ運営協議会に意見書を送るも受理されなかった(R07.10.8)
城南ヶ丘自治会は令和2年度までは、10月に一斉清掃を行っていました。しかし、令和3年2月の自治会長会の議事録に、城南ヶ丘の一斉清掃を、他の7自治会と合わせて9月に変更する記録がありましたが、誰が、どういった理由で変えさせたのか等は書いてありませんでした。よって、運営協議会に対し、市長からの手紙で一斉清掃の実施日を決める権限は自治会にあると明確になったたため、一斉清掃の時期を9月から10月に戻して下さいと意見書を送りましたが、翌日、返却されました。
上記の運営協議会への意見書が受理されなかったことを伝えると共に、以下の内容を意見しました:「他の自治会も同様の独自判断が出来るように、宗像市の12地区のコミュニティ運営協議会全体に対しても、宗像市からの自治会員の健康や安全に関わる通達を自治会に実行させる場合、選択や決定する権利が自治会にあることを、文書や言葉ではっきりと明示して、議事録にも残させて、自治会員に示させるよう指導して下さい。それが、自治会長会等で行われていない場合は、毎月同席している、宗像市コミュニティ協働推進課の職員に指摘させて下さい。」
宗像市役所の環境課と話していたところ、自治会が提出した一斉清掃の日程と資材数の申請書について、市役所と自治会に認識のズレがあることがわかりました。市役所は、申請書に書いた日程は自治会の希望日だと解釈していましたが、自治会は運営協議会から指定された日を書いただけです。よって、市の秘書政策課に対して、R07.11.5の手紙に関する補足説明書を送りました。
市長から再度手紙のお返事が届いた(R07.12.15)
書面で城南ヶ丘自治会の主張を全て認めて頂きました。来月、1月7日の役員会で報告予定です。
令和7年11月7日の市長への手紙の補足説明書(R07.11.29)を以下で要約しました:
問題点1:公文書自体変更がないのに、伝達段階で実質的な意味が変わるプロセス
公文書の趣旨(自治会長に対して一斉清掃の希望を聞く趣旨)が、連絡途中で変化(運営協議会が決めた日程)に変化し、提出の際にまた変化して、各自治会が決めたことになっていること。
図1に、今起こっていること、即ち、宗像市からの一斉清掃に関する公文書自体は変更されていないのに、伝達段階で実質的に意味が変わるプロセスを説明します。
①宗像市長殿が一斉清掃を依頼する文書(添付資料1)が令和7年7月29日に交付されています。宗像市文書管理規程[1]第9条2項の”宗環”(環境課管理の一般文書)です。本依頼文書中で、前回頂いたお手紙の、「一斉清掃の日程は自治会に決める権限がある」というルールに従って、希望日を問い合わせたと思われます。
②8月1日の、令和7年度8月自治会長会会議議事録(添付資料2)で、会議冒頭で、報告事項として、秋の一斉清掃及び河川浄化運動は、9月7日(日)と決定事項として通知したことが分かります。そして、本日の配布資料として、「令和7年(秋)一斉清掃予定実施表、河川浄化運動の流れ」があり、本日の配布物として、「 一斉清掃提出資料一式」があります。この資料の中に①の市長が依頼する公文書、及び、一斉清掃実施予定報告書のフォーム(添付資料3)があります。
③自治会長である筆者は、8月28日に 一斉清掃実施予定報告書に必要事項を記入して提出しました。しかし、令和7年度8月自治会長会会議議事録(添付資料2)の冒頭で、一斉清掃の日程が決まっていること、かつ、「一斉清掃の日程は自治会に決める権限がある」というルールがあることをこの時点で知らなかったため、議事録にあった一斉清掃の決定日である9月7日と書かざるを得ませんでした。
④運営協議会は、この一斉清掃実施予定報告書(添付資料3)を、宗像市に提出したと思われます。
⑤市長からの依頼文書も回答書も書面上は完全に自治会の希望日を書く趣旨になっているため、自治会長が希望した日程ではないにも関わらず、各自治会が一斉清掃の日程を決定したと、市役所内で受け取られる可能性があります。これが、11/27に環境部環境課で受けた指摘です。
問題点2:一斉清掃の日程は自治会に決定権があるルールに気が付かせない問題
議事録を残さずルールも明文化されてないため、自治会員が一斉清掃の日程は自治会が決めるというルールを知り得ないこと。
図1のプロセスが完成するには、自治会員が、一斉清掃の日程は自治会に決める権限があるというルールがあることに気が付かないことが必要です。令和3年2月度自治会長会議事録(添付資料4)の「4.宗像市役所及び吉武コミュニティ運営協議会より報告事項」の事務局からの報告事項として以下の表記があります。
*ー斉清掃予定表提出お願い。(3/31(水)まで)コミセン事務局に提出してください。
春: 5/9 (日)、秋: 9/5 (日)で決定
(城南ヶ丘も上記に合わせるのかは総会で決定)
通常総会ではこういったことは決めないため、記述ミスと思われます。 令和3年1月度自治会長会議事録でも、これに関する事前協議の記載はありませんでした。しかし、結果として、城南ヶ丘の一斉清掃は、令和3年度から他の7自治会に合わせて9月に変更されました。
この議事録には、誰が、どういった理由で、城南ヶ丘の一斉清掃の実施月を変えさせたのかが書かれていません。もしも、宗像市コミュニティ協働推進課等からの要請があったのであれば、それを依頼する公文書があるはずですが、添付資料にはありません。もしも、運営協議会から、城南ヶ丘自治会長に対して、「本来、一斉清掃の日程は自治会が決めることになっているが、ごみ回収車のスケージュールが合わないため、城南ヶ丘自治会長に日程を合わせるご協力要請を行ったところ、承諾を得た」といった記載が議事録にあれば、後任の城南ヶ丘自治会の役員も、一斉清掃の日程は自治会に決める権限があるというルールを継承して、近年の高温気象や自治会員の高齢化に対応して、適切な要望を挙げることが出来ました。
しかし、筆者のように、自治会の対面に立つ市役所窓口部署以外の部署に問い合わせを行う自治会役員は稀と思われます。よって、過去に起こった大事なことを記録に残さないことにより、どうして日程が変わったのか、そして、その日程を元に戻す権限は誰が持つのかが不明となり、宗像市長殿が出す公文書の指示内容が変わる図1のプロセスが完成するのです。
問題点3:これらの問題が発覚しにくい組織体制の問題
このような公文書の誤った伝達が行われる自治会長会議の現場に宗像市が同席しているにも関わらず、指摘していないこと。
今回の問題に気づくきっかけとなったのは、「一斉清掃の日程は自治会に決める権限がある」というルールを宗像市環境部環境課から教えて頂いたことでした。また、環境課からは、法令に基づき適切に依頼文書を提示し、運営協議会から受領した一斉清掃実施予定報告書(希望日および必要資材数)を証拠資料として説明して頂きました。これにより、宗像市が把握する「希望日」と、自治会長である筆者が実際に意図した日程との間に、認識の相違が生じていることに気づくことができました。この認識の相違は、市長が交付した依頼文書の趣旨が、運営協議会の運用で変化してしまい(図1の②)、自治会長が作成した実施予定報告書が宗像市に提出される過程(図1の③および④)でも、自治会長の意図と異なる内容として伝達されたことにより生じたものと考えます。
環境課をはじめとする宗像市の後方部門では、法令等に基づく根拠資料を示し、情報の透明性やトレーサビリティを重視した説明手続きが確立されており、筆者はこうした手続きが安定した行政運営を支える大きな強みになっていると考えます。一方、自治会が日常的に接する機会の多い市役所の窓口部門では、業務の性質上、複数部門の情報を統合して住民対応を行う困難さにより、説明手続きが十分に活かされにくい場面があるように見受けられます。
本補足説明でお願いする内容は、行政手続法第32条以下における行政指導に属するようなものではありません。より基本的かつ常識的な運用の明確化をお願いするだけです。即ち、「AとBは異なります」「それは市長が交付した文書の趣旨と異なります」といった、市から住民への伝達内容の整合性に関する確認を、窓口部門においても行われる体制の構築をお願いしたいということです。これを行って頂けなかったことが、ここで指摘した問題点1と問題点2の発覚を遅らせた原因だと考えます。なお、筆者が指摘の対象としているのは特定の個人ではなく、市役所およびその下位組織である運営協議会における組織体制・業務フローのあり方であることを申し添えます。
この問題は、校区費問題と同様に、上位組織が上位規定を文書開示しないことにより、下位組織でその規定違反が起こる組織構造的な問題とまとめることが出来ます。問題が発覚しない時点ではルールを開示せず、問題が発覚した場合は健全なルールを開示する、これにより、行政は責任を回避しつつ、住民に指示を与えることが出来ます。しかし、これは訴訟問題になりかねない考え方だと思います。
例えば、一斉清掃において、熱中症による重大事案が発生して、遺族が、自治会、コミュニティ運営協議会、宗像市を相手取って、国賠訴訟を起こしたとすると、宗像市と運営協議会は、確実に、「一斉清掃の実施日は各自治会が決めているので熱中症リスクを避ける責任は自治会にありました」とお答えになると思います。こんなことを言われたら、自治会としては、たまったものではありませんから、それならば、事故が起こる前に、せめて、自治会が出来る安全対策として、一斉清掃の実施日を涼しい時期に変更する対策を自治会に行わせて頂きたいのです。
市長への手紙を出したのは、単純に一斉清掃の実施月を9月から10月に戻してもらうことだけではなく、この補足説明に書いた3つの問題を是正して、市民の安全を第一に考えるよう、宗像市の12地区のコミュニティの組織体制そのものを根本から是正したいということなのです。