自治会長(溝俣)は、自治会のマンパワーを考える場合、市内一律一様に考えるべきではないと思います。高齢者の多い過疎地域では、行政が自治会への依頼業務の負荷を減らさなければ、自治会活動の負担を理由にした自治会からの退会が特に高齢者世帯に増えます。これにより、防災活動で、自治会の力が必要になる場合に、自治会が、避難行動要支援者を中心とした高齢者の情報を得にくくなり、多くの人達が助けられない事態にもなり得ます。私は、令和7、8年度の自治会長の任期の間に、自治会活動の負担の検証と防災活動の計画を行い、自治会活動における、防災活動と、その他の活動のトレードオフの関係を明らかにしたいと思います。以下の宗像市の人口分布の統計データを元にしたグラフの示す3つのパターンは、その最初の段階で把握しておくべきものと考えます。
宗像市の人口分布の統計データ(宗像市調べ、令和6年9月末現在)と、日本全国の人口分布の統計データ(総務省統計局調べ、令和6年10月1日)の数値を、年齢分布によるグラフ化して比較しました。宗像市の12の地区を、パターン1(過疎地域)、パターン2(商業施設や駅に近い地域)、パターン3(ベッドタウン)に分類しました。
特徴:全国平均と比べて、高齢者層の人口が多く、中年層、低年齢層が少ない。
特徴:全国平均と比べて、高齢者層の人口が少なく、中年層、低年齢層が多い。
特徴:高年齢層、中年齢層は、全国平均や宗像市全体に近い分布であるが、20〜35歳の年齢の人口が低い。
宗像市内の吉武地区は、令和6年9月末時点の人口は、1769人である。その内の約半数である45%、806人が、吉武地区内の小さな団地である城南ヶ丘に集中している。吉武地区は古くからの農業を中心とした産業が中心の地域であるが、その中で、城南ヶ丘は、1960年代前半にベッドタウンとして生まれた。このような経緯から、自治会活動や、その活動の一つである防災対策については、特性を見極めて施策を行わなければ、行政がマンパワーを無視した仕事の依頼をすることにより、自治会加入率が下がり、自治会活動も、防災活動も機能しなくなる。よって、前節で扱った吉武地区の人口の内、城南ヶ丘の人口を宗像市に情報公開依頼し、分析比較してみた。
以下の城南ヶ丘の人口分布と、城南ヶ丘以外の吉武地区の人口分布を比較すると、城南ヶ丘は、吉武以上に高齢者に人工分布が偏重する過疎地域型(パターン1)であり、それと同時に、18〜30歳の若年層が少ないベッドタウン型(パターン3)の2つのパターンにおける脆弱な特徴を継承していると言える。そして、30〜60歳の働き盛りの年齢層は宗像市平均より若干多い特徴があるが、農業など自営業中心ではなく、会社勤務の共働きが多いため、昔の感覚での自治会業務をこなす時間がない。そして、60〜75歳の層に自治会活動の負担が期待されるが、城南ヶ丘ではこの年齢層が少なく、また定年年齢の延長で、30〜60歳の年齢層と同じ会社への勤務による時間の拘束もあることを考慮しなければならない。
以上の特性を持つ城南ヶ丘における、抜本的な対策はまだ無いが、自治会の執行委員会の実務レベルでは、現在行っている、Google DriveやGoogle Siteの機能、及びLINEを使った自治会業務の協調活動を行うことによって、30〜60歳代の執行役員の隙間時間を使えるようにして、多忙な30〜60歳代のマンパワーを引き出すように工夫している。具体的には、情報はなるべく早く提供し、その情報はより具体性を持たせ、組織における内部牽制の役割を引き出すことを心がけている。ただし、これは5人の執行委員の中では成立するが、自治会全体ではオンラインが使えないため、そのまま適用することは出来ない。
城南ヶ丘の人口の年齢別分布を実数値で表したグラフを以下に示します。