自治会長の、任期令和7年度〜8年度における5つの方針について説明します。下記方針における、宗像市や吉武地区コミュニティ運営協議会などへの調査、及び、対外折衝は私が行います。皆さんのご意見を伺いたく存じます。
令和7,8年度 城南ヶ丘 自治会長 溝俣 洋一
目次:
1 防災・防犯
自治会加入率が全国的に低下する一方で、ゲリラ豪雨などの気候変動や犯罪リスクの増加という点で、全国的に自治会の存在意義が増しています。よって、この災害や犯罪から命を守る相互扶助を行うことを目指します。
2 自治会活動の軽減
現在の自治会業務を何とか遂行する工夫と同時に、宗像市に対して、具体的な数値を示して、行政からの依頼業務を減らしてもらう方策を考えていきます。
3 校区費徴収の適正化
不完全な代議員制のもとで、下部組織である自治会の会員から徴収する、コミュニティ運営協議会の負担金徴収事業のあり方の適正化を主張します。
4 自治会に関心を持ってもらう
自治会の仕事を透明化し、自治会に理解と関心を持って頂く狙いで、城南ヶ丘自治会情報共有サイトを公開するなどの施策を行います。
5 宗像市のまちづくり交付金の使い方への要望活動
自治会の校区費のお金の問題の根幹に当たるまちづくり交付金や、宗像市全体のコミュニティ施策の是正の提言を宗像市に対して行い、城南ヶ丘の利益に繋げます。
6 最後に
上記、5項目の方針を通じて、自治会に入っていない人も、退会した人も、自治会に戻ってきて頂けるような取り組みを行います。
※詳細は以降で説明します。
1 防災・防犯
自治会加入率が全国的に低下する一方で、ゲリラ豪雨などの気候変動や犯罪リスクの増加という点で、全国的に自治会の存在意義が増しています。よって、この災害や犯罪から命を守ることを目指して相互扶助を行う、この一点だけにおいても、自治会を存続させる意義があると私は考えます。私の任期である令和7〜8年度は、この防災・防犯に力を入れて取り組みます。今年度は、防犯・防災パトロールなどの自治会員の皆さんのご協力に対して、自治会としてパトロール結果を宗像市への改善提案に繋げるという形でアウトプットを出すことを目指します。
近々の具体的行動:
・防犯・防災パトロール記録の様式作成(5月役員会)
・地区防災計画の策定(6月役員会)
・防犯講演会と勉強会(7月15日、20日)
2 自治会活動の軽減
宗像市は、令和7年1月に公開した第3次コミュニティ基本構想・基本計画案(ページ01-28、ページ29-70、ページ71-86)の中で、総務省の「地域コミュニティに関する研究会、地域コミュニティに関する研究会報告書、令和4年(2022年)4月、総務省」を参照しています。この総務省の報告書の8頁に、全国の自治会共通の課題として、「役員・運営の担い手不足」、「役員の高齢化」、「近所付き合いの希薄化」、「自治会加入率の低下」、そして最後に「行政からの依頼事項が多い」が挙げられて、後述で詳しく分析しています。しかし、宗像市は、総務省の報告でも指摘されている「行政からの依頼事項が多い」については、第3次コミュニティ基本構想・基本計画案の中で全く触れていません。溝俣は、この基本構想・基本計画案に対して募集されたパブリックコメントで意見したところ、4月23日、宗像市のサイトで以下P3を含む回答があり、この指摘に関する原案の修正は行われませんでした。(補足:溝俣のコメントは、P3の他、P8、P10があります。)
溝俣のコメント(P3)は、リソースと、リソースを消費する因子を定量的に比較すべきという指摘(収支報告で支出の報告が無い報告なんてないよ!という意味)であるのに、アンケートで比較的低い値であったからと論点を外して、指摘に正面から答えていません。また、市が自治会に依頼する業務の棚卸しは「継続的に」行っていくという回答ですが、市はこれまでその棚卸しを行っていません。城南ヶ丘自治会は、宗像市や吉武地区コミュニティ運営協議会と約束している仕事は守らなければなりませんが、「行政からの依頼事項」に対する城南ヶ丘のマンパワー不足は限界に近づきつつあります。にも関わらず、宗像市の第3次基本計画は、そのマンパワー不足を隠した終戦前の大本営発表のようです。
さらに、城南ヶ丘が含まれる吉武地区と赤間地区の人口分布の統計データ(宗像市調べ、令和6年9月末現在)と、日本全国の人口分布の統計データ(総務省統計局調べ、令和6年10月1日)を比較しました。傾向として、吉武地区は、全国の人口分布と比較して、10~65歳までの人口が少なく、65~100歳までの人口が多いことがこの比較で分かります。組長などの自治会の役職が負担になる特に70歳後半からの人口が多いことが、役職が出来ないという理由による自治会からの退会の増加の一因であり、65歳以下の若年層の人口減少が自治会のマンパワー不足の主要因になっていることが分かります。一方、赤間地区は、高齢者層が少なく、中年層は全国並み、若年層は全国より多い傾向にあります。よって、自治会のマンパワーを考える場合、宗像市内で一律同じとして考えるべきではないことが分かります。詳しくは、宗像市12地区の人口分布をご覧ください。
従って、現在の業務を何とか遂行する工夫と同時に、宗像市に対して、具体的な数値を示して、「行政からの依頼事項が多い」を基本構想で無視している姿勢を正してもらう(行政からの依頼業務を減らしてもらう)方策も並行して考えていきます。
近々の具体的行動:
・長生会の解散予定を受けて分別ゴミの要員の見直し準備(5,6月役員会)
・退会の理由として多い組長の負担軽減の検討(6, 7月役員会)
・自治会活動のマンパワー記録(4月から開始)
・マンパワーのデータを提示して宗像市に提言
3 校区費徴収の適正化
宗像市内の12地区のコミュニティ運営協議会では、自治会員から徴収する負担金(城南ヶ丘で言う校区費)のルールを公開していない地区が10地区もあります。こういったルールを文書化及び一般開示せずに徴収する活動は、個人の口約束の内容で徴収が実行されたり、また問題が発生した場合、その個人の口約束に対して組織が責任を取らないことを許します。私は、不完全な代議員制のもとで、下部組織である自治会の会員から徴収する負担金のあり方の適正化を主張します。今回の城南ヶ丘と吉武地区コミュニティ運営協議会の問題だけでなく、宗像市の施策の根幹の問題を指摘し、全コミュニティ運営協議会の規約の是正を求めることにより、城南ヶ丘の住民の権利を守ります。
近々の具体的行動:
・校区費に関する今後の対応の役員会決議(5月役員会)
・宗像市の12地区の負担金(校区費のこと)の問題の説明(5月役員会)
・校区費の使われ方の説明(5月役員会)
・校区費を誤って徴収した自治会員の特定に関する調査経過報告(6月役員会)
・校区費問題の経緯と問題点を含めた説明(6月役員会)
・自治会費"等"の等には校区費も含むことを明確化する規程の改定の改正について(7月役員会)
・宗像市への提言
4 自治会に関心を持ってもらう
自治会がどういう理由で施策を決めたのかを説明しないやり方は、自治会員に疎外感を与えます。これが自治会員の自治会への不信感につながります。また、多くの自治会員は、理由を隠し続ける自治会に説明を求めるエネルギーを消費するよりも、黙って退会する方法を取ります。よって、城南ヶ丘自治会では、施策の理由を示すために、役員会の資料には必ず理由を書き、過去の役員会の資料も容易に照会できるようにします。このために、Google Siteで、この「城南ヶ丘自治会情報共有サイト」を作りました。今後、役員会の資料などの充実をこのサイトで図っていきます。但し、従来の紙の回覧板は今まで通り存続させます。従来の紙の回覧板は個人名表記、インターネット版は個人名をマスクしていますが、過去の記録や現在進行中の案件の記録などを照会可能にする棲み分けをします。
また、現在進行中の案件の記録を公開するために、このGoogle Siteのサイトの下層でドキュメント生成と保存機能として働いているGoogle Driveを用いて、執行役員間の起案、質疑、議論、素案の編集、そして合意形成のための協調活動の透明化、内部牽制機能の強化、効率化と、迅速化を図ります。(Google SiteとGoogle Driveの利用とサイト構築に経費は掛けていません。)
近々の具体的行動:
・本サイトの役員会への公開(5月役員会)
・自治会の文書管理ルールの公開(6月役員会)
5 宗像市のまちづくり交付金の使い方への要望活動
5.1 ボランティア活動の報酬は透明化され公平であるべき
宗像市のコミュニティ施策においては、まちづくり交付金の使い方自体にも問題があります。例えば、城南ヶ丘で、分別ゴミ収集のマンパワーを1年で計算すると、各ステーションの対応者を東5人、西5人とすると、10人x1.5時間x12ヶ月=180人・時間分の労働が発生していますが、それに対して、今年度は年38,400円しか支払われません。一方、コミュニティ運営協議会の会長職の報酬は12地区中、8地区が、規約や公開された規程による金額の開示なく、示し合わせたように年間一律90万円支給されています。地区によっては、この90万円は、まちづくり交付金の交付額の1割以上に当たります(最下の表2を参照)。分別ゴミ収集も、コミュニティ運営協議会長も、どちらもボランティアであるならば、双方の報酬について、反対給付を明確に文書化して報酬が決められるべきです。
城南ヶ丘自治会長の、吉武地区コミュニティ運営協議会の運営委員としての、まちづくり交付金から支給される報償費(報酬)は11.1万円ですが、それだけの対価性がないことを証明するために、自治会活動の作業時間のページで、自治会長である私、溝俣の作業時間を記録して一般公開しています。この作業時間表を見ると、城南ヶ丘の自治会長としての仕事は沢山ありますが、吉武地区自治会長会のメンバーとしての仕事は僅かであることが、すでに6月の時点で明らかになっています。各自治会内での仕事は、自治会費から賄うべきであり、税金が原資のまちづくり交付金から支給されてはなりません。(私個人としては、これらの根拠のない褒賞費の受け取りを、文書等で拒否することを、吉武地区コミュニティ運営協議会に伝えています。)
5.2 特定の個人に反対給付を明らかにしない報酬を利益として配分することは公共的団体では不適切
通常、税金が原資となる交付金は、個人の利益配分となるような使い方(飲食や対価性のない報酬)は相応しくありません。宗像市は飲食についてのみ、一般公開されていないまちづくり交付金の手引きで禁止していますが、下関市(下関市まちづくり交付金事務の手引きの9頁と33頁)や高松市(高松市地域まちづくり交付金 ー事務の手引きーの8頁)では、個人の利益配分となるような利用全てを公開文書で明確に禁止しています。コミュニティ運営協議会の非収益事業という科目は、営利事業を禁止する意味ではありませんが、具体的根拠も無く、特定の個人にまちづくり交付金の1割以上に当たるお金を利益として役員に再配分する営利事業は、原資のほとんどが税金で賄われている公共的団体の活動として、極めて不適切だと思います。
5.3 不完全な代議員制による総会での報酬額決定プロセスも不適切
宗像市の12地区のコミュニティ運営協議会は、代議員制で運営されています。その代議員制を、コミュニティ運営協議会の下部の自治会と、構造的に比較したのが下の表1です。地方税を原資とするまちづくり交付金は、自治会員ではない住民も納税することで出資しているため、コミュニティ運営協議会の代議員制は、自治会の代表者と異なり、出資者全員を代表している訳ではありません。よって、コミュニティ運営協議会の代議員は、出資者の代議員とはみなせず、さらに、その代議員が承認して事務を委任したコミュニティ運営協議会長も、出資者の代表者とは言えません。この意味で、不完全な代議員制と言えます。また、真の代議員ではない人が委任したコミュニティ運営協議会長に、反対給付を示さずに地方税を特定の個人に利益として再配分することを、出資者(納税者)に合意を得ずに決定することは、報酬額決定プロセスも不適切と言えます。
表1:コミュニティ運営協議会とその下の自治会の組織構造の違い
5.4 今のコミュニティ運営協議会の代議員制を保ったまま改善するには
よって、今のコミュニティ運営協議会の代議員制を廃止せずに是正するならば、そして、もし、コミュニティ運営協議会長の報酬について対価性がどうしても示せないならば、総会でコミュニティ運営協議会長の報酬額について承認を得た後に、自治会員でない人にも、その金額を規程として自由に容易に照会出来るようにすべきです。そして、現在の代議員は実質、住民の代表ではないのだから、総会以外において、全市民から意見や批判を受け入れるようにして、コミュニティ運営協議会の役員は、それらの意見や批判に対する説明責任を持つべきです。そうでなければ、仲良しグループで他人の血税を山分けしているのと同じです。
5.5 こういった宗像市全体の問題に対して提言していくことが城南ヶ丘の利益につながる
反対に、問題が露呈しないような、そして、批判を受けないような(聞かれたら教えるけれど、聞かれないように分かりにくくする、これは嘘ついてる訳じゃないよね!という)仕組みの宗像市のコミュニティ施策は、市民全体の不信感を招き、自治会加入率低下を促進していると指摘します。よって、こういった宗像市全体のコミュニティ問題の是正の提言を宗像市に対して行うことが、城南ヶ丘の利益に繋がると私は考えます。
6 最後に
自治会長(溝俣)の考えでは、宗像市の危機管理課の行う防災対策は非常によく考えられていると思います。しかし、その一方で、コミュニティ施策は、方針2に書いたように、リソース不足を無視しています。よって、これを放置すると、コミュニティ施策によりリソースが消耗されてしまい、肝心な時に防災活動の機能が働かない恐れがあります。また、規約第19条を根拠にして、非自治会員でも地区費を徴収される時が来るかもしれません。両者は、自治会に入らないことで避けられる問題ではないと思います。そういう意味で、自治会員ではない人も自治会活動に関心を持って頂き、自治会等の集団で宗像市に意見することが、自分自身の命と権利を守ることに繋がると考えます。上記、5項目の方針を通じて、自治会に入っていない人も、退会した人も、自治会に戻ってきて頂けるような取り組みを行います。
表2:宗像市12地区コミュニティ運営協議会の令和5年度決算資料の収入、及び支出(内人件費と租税公課)