昨年の7月1日、宗像市では、7月としては観測史上最大となる1時間に65.5ミリの豪雨があり、道路の冠水や土砂崩れが発生しました。宗像市が接する日本近海の海面水温は徐々に上昇しており、2000年から比べると2020年の時点で約0.25度上昇しています。基本的に、日本周辺の年間の海水温度の推移は、大気の温度推移から数ヶ月遅れますので、5月が最も海水温度が低温になる時期です。しかし、5〜7月以降の海水温度は、この平均的な海水温の上昇により底上げされます。海水は大気と比較した比重の大きさにより、大気よりも熱を多く蓄えており、地球全体では、大気の約1000倍の熱容量を持つため、ほんの少しの海水温上昇でも、従来から雨が多い6月と7月の天候を激変させます。これが、海上の積乱雲の発生を活性化させ、線状降水帯を形成し、ゲリラ豪雨などの異常な降水を発生させる原因であり、ここの所毎年、「観測史上最大」を繰り返す豪雨の原因です。
今年度、城南ヶ丘自治会では、災害対策基本法で定められている地区防災計画の検討を行いながら、まずは、上記の異常な豪雨に備えるべく、その実現可能な範囲の確認と、地域住民の防災意識向上を図りたいと考えます。この中で、宗像市からの依頼事項である、避難行動要支援者の対応も行い、その結果として、従来行なっている役割分担表の作成なども行います。この活動について、自治会員の皆様からご意見を伺い、修正と改善を行っていきます。
豪雨による被害を想定して計画を立て、適用できる分野は震災にも当てはめます。
※令和7年3月2日に行われた、「宗像市地域防災能力UP講座」の村江史年先生のご講演の、震災と比べた場合の水害対策の明確性のお話を参考にしています。
目的:
防災計画の究極の目的は「人命を守る」ことですが、自治会の初年度の取り組みの到達点として、以下の目的を挙げます:
災害リスク、自治会の資源(リソース)、及び、負荷を自治会員全員が把握し、自治会が城南ヶ丘の防災について、どこまで出来るか(自助・共助の範囲)を検討して、明確化する。
そして、行政がどこから公助してくれるのかを確認し、明確化して次年度の活動につなぎます。
目的に到達するに当たっての基本方針:
具体的な議論するために、行政等が公開している資料を調査し引用します。
自治会のマンパワーを考える場合、市内一律一様に考えるべきではないと考えます。よって、城南ヶ丘の特徴を検討して、それに見合う計画を立てます。
令和7年度、以下3点を行います:
災害対策基本法第42条3項に定められている「地区防災計画」を策定します。
地区防災計画に基づいて、防災訓練(避難訓練を含む)を実施します。
行政との連携体制(自助・共助・公助の区分の明確化)を確認して、市から回答を得ます。
災害による危険(避難経路の危険も含む)とリソースの確認:
防災情報と宗像市と城南ヶ丘の市勢情報(人口, 産業, 施設等)の調査
人口:宗像市のデータの可視化(実施済)
災害:国土交通省の災害データの可視化(実施済)
資源:自治会のリソース(特に人的資源)の把握(実施中)
避難場所の検討、防災資材(布団、食料など)の備蓄状況確認:
現状は、吉武地区コミュニティセンターが優先避難所ですが、城南ヶ丘の避難所として、吉武小学校を検討します。
図:城南ヶ丘から避難所への避難経路3案
表:避難経路3案の特徴
宗像市の危機管理課より、吉武小学校を優先避難場所と設定して、避難ルートを作成して、訓練して構わないと了承してもらっていますが、吉武コミセンが、宗像市が定めるステップ2から開設されるのに比べて、吉武小学校は、最悪の段階であるステップ4からしか開設されないという問題があります。
普及・啓発活動など:
防災情報と宗像市と城南ヶ丘の市勢情報の情報共有(サイト公開実施中)
避難行動要支援者への声掛け (5月地図作成配布済み)
避難行動要支援者の情報収集の適正化:
避難行動要支援者の対応は、本来、高難易度であり、地区防災計画の概要を決めた後で行うべきです。しかし、その手順の後先は別にして、危機管理課の依頼には応じます。但し、民生委員法第15条における民生委員の守秘義務の関係で、市の避難行動要支援者の状況確認は、まず民生委員に行うべきこと、福祉政策課と危機管理課で連携して、来年度は改善して欲しいと要望しました。その上で、自治会は以下の点を行います:
配布には問題ないと危機管理課が確認済みの避難行動要支援者の地図をA3用紙にコピーして各組長に渡して、見守り活動の予備知識にしてもらいます。
各組長から照会の要望があった場合に、避難行動要支援者名簿を見てもらい、実態と合っているかを確認してもらいます。
防災マップ、避難経路、避難誘導とその訓練プランの作成。
トリガーとなる避難情報と気象警報に対する具体的行動計画。
レベル1:早期注意情報、レベル2:大雨注意報、レベル3:高齢者等避難、レベル4:避難指示、レベル5:緊急安全確保
避難行動要支援者対策:
対象者の把握、避難誘導、救出、救護方法の検討。
地区防災計画の策定のために行うこと:
避難ルートの策定
地域防災マップ・タイムラインの作成
防災訓練、避難訓練プランの策定
情報の収集伝達訓練プランの策定
救護支援、給食給水、出荷防止の初期消火の訓練
他組織との連携
防災資材機材の確保
役割分担
避難所の運営支援訓練プランの策定
少人数での訓練の予行演習
以上の素案を具体化して、毎月の役員会で報告し、役員や、その他の自治会員の皆様からご意見を伺い、修正と改善を行っていきます。