ケトン,アルデヒドの還元はアルコールの合成法として重要である.ケトン,アルデヒドの還元剤として多くの試薬が用いられるが,近年はいわゆるヒドリド(H-)反応剤が繁用される.ヒドリド反応剤の代表は水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)と水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)である.
水素化ホウ素ナトリウムは還元力は弱いが通常のカルボニル基を定量的に還元できる.また,この試薬はエタノール中で比較的安定であり,取り扱いも容易である.一方,水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)はアルコール中で直ちに分解するので,これを用いる場合には無水エーテルまたは無水テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒が必要である.水素化アルミニウムリチウムは強力な還元剤であり,エステル,アミド,ニトリルなどの還元に使用される.一方,水素化ホウ素ナトリウムはこれらの官能基を還元せず,ケトン,アルデヒドのみを還元する.ヒドリド反応剤については「現代有機化学」上,8章で学習した.
この実習では,次のような操作をマスターする.
かき混ぜ(磁気撹拌子の利用),有機溶媒中での反応,TLCによる反応チェック,濃縮,結晶のろ取
反応操作としては,基本的なものであるが,有機合成実験を行う上での,一連の手順をしっかり学習すると共に,データの記録方法,まとめ方についても理解を深めたい.
使用する試薬の性質など実験に入る前に充分注意しておくとともに,実習書の操作手順をよく読み,頭の中で,実験のイメージを組み立てることにより,スムーズに実習に取り組めるはずである.
(テキスト修正)
実験操作法の最後 (修正前)粗結晶をろ紙上に広げ風乾する.
(修正後)粗結晶を減圧乾燥する.
YouTubeで実験に関する説明を,あらかじめ視聴しておいてください.
全体で1時間程度の視聴時間です.当日の実験は,操作自体は比較的短時間で終了しますので,必ず,予め,動画視聴する時間を確保し,当日,スムーズに実習ができるようにしておいてください.
理論説明
操作説明
1.装置の組み立てから反応終了まで (YouTube 13:04)
理論説明に使用したスライドと簡単な説明は以下のページから確認できます.