第3回 講義動画
7.五塩化リンがルイス酸に,三塩化リンがルイス塩基として働くことができる理由 (YouTube 14:46)
1.電気陰性度Summary
📚 第3回講義まとめ
定義: 原子が電子を引きつける度合い
数値: 最大3.98 (ポーリング値が一般的)
影響: 原子間の電子分布の偏りを決定
低い (<1.8) → 金属
中間 (約2.0) → メタロイド (例: Si, Ge, As)
高い (>2.1) → 典型元素
原因: 電気制度の違いによる電子の偏り
影響: 原子間の電荷分布が不均等に
記号: Δ+ (電子不足), Δ− (電子過剰)
表現: ベクトル (プラス→マイナス)
重要性: 結合の極性を示す指標
電気制度差 >1.7 → イオン結合 (強い極性)
電気制度差 <1.7 → 共有結合 (弱い極性)
実際の結合: 100%イオン結合 or 100%共有結合はほぼ存在せず、割合の混ざった結合が多い
🔑 キーワード: 電気制度, メタロイド, 分極, 双極子モーメント
水素の基本 💧
水素原子は1s軌道に1個の電子を持つ
1s軌道の電子が放出されるとH⁺(プロトン)に、受け取るとH⁻(ヒドリド)になる
プロトンとヒドリド 🔋
H⁺は高電気陰性元素との化合物で一般的に陽イオン
H⁻は低電気陰性元素との化合物で陰イオン
水素と反応する金属 ⚙️
水素が金属(例:ナトリウム)と反応すると、水素化ナトリウム(NaH)が生成される
反応性が高い金属はリチウム
結合開裂とラジカル 💥
結合開裂にはホモリシス(等しい電子分割)とヘテロリシス(不均等分割)がある
ラジカルは非常に反応性が高い
ナトリウム水素化物(NaBH₄) 🧪
還元剤として使われる
NaBH₄から水素を放出し還元反応が進行
ボラン(BH₃)の構造 🔲
不安定なBH₃はsp2混成の平面
ボランにヒドリドが結合する際、ホウ素原子はsp3ハイブリッド軌道を形成
プロトンの定義 🧫
アレニウスやブレンステッド-ローリーの定義
水が関与しない反応ではルイスの酸-塩基理論が適用可能
ルイスの酸・塩基の定義 🧪
ルイスは電子を受け取るものを「酸acid」、電子を与えるものを「塩基base」と定義。
水の関与なしでの定義 🌊
1923年、ルイスは水を使わずに「電子対の受け渡し」に基づいて酸・塩基を定義。
例:アンモニアと水の反応 💧
アンモニアが水中でプロトン(H⁺)を受け取り、OH⁻を生成、これによりアンモニアは塩基となる。
ルイス酸とルイス塩基の例 💡
ルイス酸:電子対を受け取るもの(例:BF₃)。
ルイス塩基:電子対を与えるもの(例:アンモニア)。
ルイス酸の例:錯体形成 🔬
銅イオン(Cu²⁺)はルイス酸として、アンモニアが電子対を提供して錯体を形成。
オクテットを超える化合物 ⚡
例:PCl₅など、d軌道を持つ原子がオクテットを超えて電子を受け取る。
カルボニル化合物 🔑
カルボニル(C=O)の炭素は部分的にプラスに帯電しており(ルイス酸)、ルイス塩基と反応。
炭素-炭素二重結合の役割 🔄
二重結合のパイ電子はルイス塩基として他の分子と反応できる。(電子対相当)
🔥 炎色反応: アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)は全て炎色反応を示す
リチウム: 赤、ナトリウム: 黄色
🔬 ナトリウムの仕組み: 電子が熱で3s軌道から3p軌道に遷移し、元に戻る際に黄色の光を放出
🧪 生体内での役割: ナトリウムとカリウムは重要な元素
ナトリウム: pH調整、浸透圧、情報伝達
カリウム: 細胞増殖、バッファー作用、血圧調整
📚 次回の講義予定: アルカリ金属の酸化物、リチウムの特殊性、応用反応を学ぶ
クラウンエーテルやマグネシウムの話題も
📝 テキスト参照: 109-110ページ(炎色反応)、168-170ページ(クラウンエーテル)
炎色反応の説明 🔥
動画4本目でナトリウムの炎色反応について説明。
2分36秒から図を使い、ナトリウムが黄色の炎色反応を示す理由を説明。
ナトリウムのD線 🌟
黄色の光はプリズムを通すと、二本の輝線として観察される。
589.995ナノメートルと589.59ナノメートルの2つの線が観察され、これをナトリウムD線と呼ぶ。
電子のスピンとエネルギー差 ⚛️
電子にはアルファースピンとベータースピンがあり、それぞれのスピンの向きによってエネルギー差が生じる。
このエネルギー差が、ナトリウムのD線として現れる原因となる。
励起と戻りの過程 ✨
ナトリウム原子がヒカリエネルギーを受けて励起され、戻るときにわずかなエネルギー差が異なる波長を持つ光として観察される。
ICP法(誘導結合プラズマ法): 金属元素を測定する方法🧪
測定原理: 高温プラズマで元素を原子やイオンに分解し、放出される光を検出🌟
波長と強度: 放出された光の波長と強度で元素の種類と量を判別🔬
利点: 複数の元素を同時に測定可能🔍
実際の流れ: サンプルを機械に投入 → 高温プラズマで分解 → 光を検出して元素の分析⚙️
ルイスの説明: ルイスの酸と塩基の考え方において、中心原子がオクテットを超えることができる分子がある。例えば、PCl5のようなハロゲン化物はルイス酸として機能する。
🧪
PCl5の構造: PCl5は三方両錐形で、リン中心に5つの塩素が結合している。
⚗️
リンの電子配置: リンは第3周期の元素で、d軌道が存在し、s、p軌道と混成させて5つの等価な結合を作ることができる。
🔬
混成軌道の役割: sp3d混成軌道により、リンは5つの等価なオービタルを形成。これにより5つの結合が可能になる。
🔧
d軌道の利用: 第3周期以降、d軌道を利用することで、より多彩な結合構造を作ることができる。
🌟
ルイス酸としての働き: PCl5のリン原子はd軌道が空いており、電子対を受け入れる能力があるため、ルイス酸として機能する。
🧑🔬リン原子が電気陰性度の大きい塩素原子と結合して電子不足状態となっていることも重要
PCl3の考察: PCl3もルイス塩基として働くことができる。PCl3のリン原子はsp3混成軌道を取り、ローンペアを供与することが可能。
🧑🏫